〈 約 8分13秒 で読めます 〉
AGAの治療を始めると、一時的にさらに抜け毛が増えることがあります。これは一般的に初期脱毛と呼ばれますが、そんな症状に見舞われると多くの人は「治療の効果がなかった」と不安に感じるかもしれません。しかし、AGA治療ではなぜ初期脱毛がよく起きるか理解しておけば、AGA治療の際、不安な気持ちは和らぐでしょう。
そこで今回は、初期脱毛の特徴や発生メカニズム、また症状の継続期間や対策方法をご説明します。
そこで今回は、初期脱毛の特徴や発生メカニズム、また症状の継続期間や対策方法をご説明します。
初期脱毛とは?
初期脱毛とは、AGAの治療を開始したとき一時的に抜け毛が増える症状です。AGAの治療薬を使えば誰にでも起こりえる症状で、特に心配する必要はないと考えられています。
どんな治療薬で引き起こされるか
初期脱毛を引き起こす代表的な治療薬は、ミノキシジルです。その発毛効果は高く評価され、国内でも薄毛を改善する有効成分として広く知られています。ミノキシジルには血管を拡張する性質があり、元々は血圧を下げるために使われていましたが、服用すると体毛が増える副作用が認められたため薄毛の治療薬として改めて開発されました。基本的にはヘアサイクルの乱れにより短くなった成長期を、本来の長さに回復させる機能がありますが、その過程において初期脱毛をもたらすケースがあるのです。
初期脱毛には個人差がある
AGA治療に伴う初期脱毛には個人差が見られます。病院が薄毛治療にミノキシジルを処方しても、すべての患者さんに同じ症状が現れるわけではありません。人によっては髪を少しいじっただけでも簡単に抜け落ちますが、抜け毛が緩やかで初期脱毛に気づかないケースもあります。いずれにしても、初期脱毛はヘアサイクルが正常な状態に戻り始めている証拠なので心配はいりません。
初期脱毛が起こるメカニズム
AGA治療の際、初期脱毛が起こるメカニズムにはミノキシジルの働きが大きく関わっています。AGAではなぜヘアサイクルが乱れるか
ヘアサイクルとは髪が生え始めてから抜け落ちるまでの周期であり、大きく「成長期」「退行期」「休止期」の3段階に分かれます。中でも成長期は新しい髪が生える重要な時期であり、その期間は本来であれば4~6年ですがAGAを発症すると成長期が短くなります。その原因の1つとして挙げられるのが、男性ホルモンのテストステロンの増加です。
テストステロンが5αリダクターゼと呼ばれる酵素と結びつくと、ジヒドロテストステロン(DHT)が生成されます。DHTは髪を生成する毛母細胞に作用し抜け毛を誘発するため、髪の育成は成長期の途中で止まり頭皮のヘアサイクルは乱されるというわけです。
ミノキシジルが抜け毛をもたらすメカニズム
ミノキシジルには細胞のアポトーシス(細胞死)を抑制する働きがあり、頭皮でその効果が発揮されると毛母細胞は活性化します。ミノキシジルの影響によりそれまで活動を休止していた毛母細胞が再び細胞分裂を開始して髪を生成するため、古い髪が下から伸びてくる新しい髪に押し出され、抜け毛が起こるのです。
ミノキシジルの効果が大きいほど数多くの毛母細胞が活動を再開し、結果的に発毛が促進され髪が抜ける量も増えます。
ミノキシジルの効果が大きいほど数多くの毛母細胞が活動を再開し、結果的に発毛が促進され髪が抜ける量も増えます。
初期脱毛は効果が出ている証?
AGAの場合、ミノキシジルの影響により髪が抜けているので、初期脱毛は治療薬の効果が出ている証といえます。初期脱毛は薄毛と混同されやすい
治療薬を服用しても、抜け毛が増えればAGAが進行していると勘違いするかもしれません。初期脱毛の状態によっては治療の効果がなかったと誤解し、ミノキシジルの使用を止める方も少なからずいると指摘されています。しかし実際のところ、初期脱毛は上述の通りミノキシジルの効果により毛母細胞が本来のヘアサイクルを取り戻した証拠。成長の止まった髪から健康的な髪へと生え変わっている段階であり、多少抜け毛が増えても治療は継続した方が良いでしょう。初期脱毛かどうか判断するには?
初期脱毛かどうかを判断するポイントは、抜け毛の状態です。DHTの作用によりヘアサイクルが乱れると髪は十分に育たず、毛母細胞が活動を休止した毛穴の髪は細く短い状態になります。
そのためミノキシジルがヘアサイクルの乱れを修正したときには、この細く短いまま成長を止めた髪が抜け落ちます。AGA治療を始めた際、抜け毛の中にこのような発育不良の髪が目立てば初期脱毛が起きている可能性は高いと考えて良いでしょう。
そのためミノキシジルがヘアサイクルの乱れを修正したときには、この細く短いまま成長を止めた髪が抜け落ちます。AGA治療を始めた際、抜け毛の中にこのような発育不良の髪が目立てば初期脱毛が起きている可能性は高いと考えて良いでしょう。
初期脱毛の期間はどのくらい?
AGA治療による初期脱毛は、頭皮のヘアサイクルが本来の状態に戻るまでの一時的な症状です。通常、古い髪が抜け落ちてから新しい産毛が頭皮表面に出てくるまでしばらくかかります。初期脱毛の継続期間は平均1カ月ほど
初期脱毛の期間には個人差がありますが、早ければミノキシジルの使用を開始してから10日前後で始まります。多くの場合、症状は1週間~2カ月ほど続くといわれ、平均すると1カ月くらいのケースが一般的です。 ただし初期脱毛の期間が過ぎても、すぐに髪がフサフサになるわけではありません。ヘアサイクルが正常化した場合、髪が十分な長さに伸びるまでには数年かかります。その間は焦らず、髪の健康的な成長を妨げないように頭皮環境を整えておきましょう。症状によっては注意が必要
初期脱毛が2カ月以上続くときや、大量の髪がまとめて抜け落ちた場合、ミノキシジルによる初期脱毛であるとは限りません。その他の原因から、薄毛がさらに進行している可能性もあります。 脱毛がいつまでも長引くなど初期脱毛ではない可能性が疑われるときは、一度、AGA専門の医師に相談した方が良いかもしれません。初期脱毛の対策はないの?
初期脱毛はAGA治療を開始したときに見られる一時的な現象といっても、髪が抜け落ちれば周りの目は気になるものです。初期脱毛をカバーしたいとき、有効な対策としていくつか活用できるアイテムがあります。1つ持っていると便利な帽子
AGAの治療中、初期脱毛のため髪が少なくなっても帽子をかぶれば簡単に頭部を隠せます。帽子があれば、地肌が目立つからと外出を控える必要はありません。お気に入りのデザインを選んでおけば、治療が成功して髪が増えた後でも外出時にオシャレを楽しめるでしょう。カチューシャや髪飾りでヘアアレンジ
カチューシャや髪飾りは、帽子と違いヘアアレンジすることで髪の薄くなった部分をカバーできます。会社の仕事中などTPOの関係で帽子をかぶれないときは、とても役に立つアイテムです。最近は男性用もあり、性別を問いません。ウィッグは部分ウィッグがおすすめ
ウィッグは、頭全体に装着するフルサイズを選ぶと高額になる傾向があり見た目も大きく変わります。自然な雰囲気を保ちながら薄毛の部分だけ隠すなら、部分ウィッグがおすすめです。サイズが小さく手軽につけられる上、見た目もあまり違和感なく仕上がります。メーカーによって使い心地は異なるので、興味のある方はいろいろ試してみると良いでしょう。
おわりに
初期脱毛は、AGAの治療を開始したとき多くの方が経験する症状の1つ。基本的には、薄毛治療に多く用いられるミノキシジルの成分が有効に働くと、ヘアサイクルが正常化する過程で初期脱毛が見られます。
一時的に症状が現れる程度であればミノキシジルの効果が表れている証拠なので、特に問題視する必要はありません。薄毛が目立ち気になる場合は、帽子やカチューシャ、また部分ウィッグを使うと上手く隠せるでしょう。ただし、脱毛症状がいつまでも続くときは、専門医への相談をおすすめします。