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A.幹細胞培養上清液とは、ヒトの体内に存在する幹細胞を培養し、各種処理を済ませた上澄み液のことです。この液体を用いた治療が薄毛にも…と期待されています。
美容業界が熱い視線を送る幹細胞技術
おそらく初耳の方が多いと思われる「幹細胞培養上清液」。
何やら難しそうなこの言葉について説明する前に、まずは幹細胞について触れておきましょう。
幹細胞は主に再生医療とセットで語られます。
なぜなら再生医療は病気や事故によって失われた身体の組織の再生を目的とした最先端の医療技術のこと。
まだまだ発展途上の再生医療ですが、幹細胞ととても相性がいいと考えられているのです。
というのも幹細胞の大きな特徴として挙げられるのが「分化能」と「自己複製能」という二つの能力です。
これらの能力を有している幹細胞は、体内にある他の細胞に変化することができたり幹細胞自体をそっくりそのまま複製できたりするため、
我々が自在にコントロールできるようにさえなれば再生医療の分野で存分に活用できる見込みが高い。
よって幹細胞技術の発展は医療業界を筆頭に熱望されていたのです。
その最中に登場したのがiPS細胞。
新型万能細胞とも呼ばれる新しい幹細胞の登場によって、「幹細胞」や「再生医療」という言葉も一気に注目されるようになったのです。
当然、医療以外の業界からも幹細胞技術は熱視線を浴びることになります。
とりわけ美容業界には朗報として受け止められました。
なぜなら幹細胞技術が現実的になれば、エイジングケアなどで絶大な効果があると期待されたからです。
幹細胞培養上清液の誕生
しかしながら時間はかかるもの。
2006年に誕生したiPS細胞もまだ一般化にはほど遠いのが現状です。
それは単に科学技術だけの問題ではなく、予算や法整備などをも含めた諸問題が複雑に絡み合っているからでしょう。
よって美容業界で幹細胞を直接的に取り扱うまでにはまだまだ時間がかかりそうです。
倫理的な反発も根強いため簡単には進まないでしょう。
倫理的な反発も根強いため簡単には進まないでしょう。
ただ、これで話は終わりません。
遅々としながらも一歩ずつ進んでいるようです。
遅々としながらも一歩ずつ進んでいるようです。
「幹細胞培養液」というものがあります。
幹細胞を増やすために使用する特殊な液体です。
仮にこの液体を人体へ自由に注入できれば簡単にエイジングケアができそうなものですが、美容業界が好き勝手にそのまま使用することはできません。
幹細胞培養液の中にはたくさんの幹細胞が含まれています。
ところが一転。
幹細胞培養液から幹細胞を完全に取り除き、滅菌などの処理を施した上澄みの液体であっても、
身体の組織の再生を助けるような成長因子やたんぱく質、脂質や核酸などの生理活性物質が豊富に含まれていることがわかったのです。
含まれている生理活性物質は計500種類以上にも及びます。
幹細胞培養上清液の誕生です。
待ちに待った幹細胞技術が、ついに美容業界でも活用できるようになったのです。
薄毛治療としても期待
幹細胞培養上清液の美容効果として紹介されるのは、シミやしわの改善やコラーゲンの促進といった美肌への効果が今のところ主ですが、薄毛治療としても有効だと考えられています。
例えば幹細胞培養上清液に含まれているIGF-1やPDGFという成長因子には、毛根を刺激して髪の毛を強くしたり育毛を促進したりする効果があると期待されています。
では実際の治療はどのようなものなのでしょう。
すでに一部の病院やクリニックでは薄毛治療として幹細胞培養上清液を使用しています。
その方法としては、専用の機器を利用して頭皮に直接幹細胞培養上清液を注入するという施術方法です。
痛みはほとんどないうえ、頭皮に均等に幹細胞培養上清液を注入することが可能です。
ただ発毛周期に合わせて計5回ほど注入するのが望ましいため、費用は現在の相場で合計50万円以上かかる計算になります。
以上、最新の薄毛治療をご紹介しました。
他のあらゆる薄毛対策を検討しながら、選択肢の一つとして押さえておくのはアリかもしれません。