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A.あくまで個人の見解だということを前置きすると、『なし』でしょう。令和の時代に沿った形での校則をしっかり策定すべきです。
そもそもこの問題が注目されるきっかけとなったのは、2020年3月におこなわれた東京都議会予算委員会でのこと。
一部の東京都立高校が校則でツーブロックを禁止しているという事実を受けて、ある都議会議員がその理由や意図について質問したところ、東京都教育委員会から次のような答弁があったわけです。
「その理由と致しましては、外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているものでございます」、と。
この発言に端を発して、ツーブロックの校則問題は世の中に広がりをみせていくことになります。
「ツーブロックが原因で事件や事故に遭うなんてことはない!」という強い反対意見からはじまり、「そもそもよくわからない謎の校則があるけどなんなんだ!」と自分の知っている謎の校則を披露し合う事態へと発展していきました。
謎の校則には「本当にやる意味があるの?」というようなものが多いので、また機を改めてツーブロック校則問題を深掘りしつつ記事にしたいと思います。
なぜ「なし」と考えるのか
さて、では今回の問いに対してなぜ個人の見解として「なし」と答えているのでしょうか。
ツーブロックが校則として設定されていることを「なし」だと思う理由についてご説明します。理由は大きく二つです。
ツーブロックは不良の代名詞?
まず一つ目の理由は、校則を設定した一部の大人たちは、どうやらツーブロックを不良の代名詞ととらえているようです。
その勘違いは社会の認識とズレていないでしょうか。
きっと彼らのなかではリーゼントやパンチパーマ、剃り込みと同列にツーブロックが並んでいるのでしょう。
たしかにツーブロックはいわゆる「コワそうなお兄さん」のあいだでも愛されているので、その印象が強すぎるのかもしれません。
でもそれを言い始めたら、ボウズなんて野球部の好青年がボウズにしていることもあれば、コワそうなお兄さんのあいだでも今なお支持されているではありませんか。
だからもっとその髪型の社会的な印象まで深く考えたうえで、それでも校則にするならすればいいと思います。一部の大人たちの勘違いを押し付けないでほしいですよね。
そもそも日本で「ツーブロック」が流行し始めたのは15年ほど前からだったと思います。
メンズ向けのファッション誌やヘアスタイル誌を見ると、憧れの読者モデルたちが「ツーブロック」にしていて、「ツーブロックってなんだろう?」と思ったわけです。
のちにわかったのは、80年代の後半から90年代の初頭にかけて、テクノカットやボブとミックスしたツーブロックスタイルが流行しました。
ツーブロックで今なお続くこのツーブロックブームは初出ではなくリバイバルなのです。
ともかく、ここで言いたいことは、ツーブロックというヘアスタイルは最先端のオシャレだったということです。決して不良の代名詞ではありません。
つまり、ツーブロックは不良で、不良はほかの不良にもからまれやすいので、事件や事故に遭う危険が高まる。
だからツーブロックの禁止を校則に盛り込むというロジックは、一部の大人たちの壮大なる勘違いだといっていいでしょう。
現に、東京都の教育委員会はのちの取材で、「実際にツーブロックにしたことで事件に巻き込まれた事例はない」と答えています。
校則作りには明確なロジックが必要
次に、個人の見解としてツーブロックが校則として設定されていることを「なし」だと思う二つ目の理由です。
それは、校則作りに一貫性やロジックがないと感じるためです。
教員や教育委員会がどれぐらいの真剣さと熱意をもって、あるいは効果を信じて、校則をつくっているのかはわかりませんが、どう考えても「ツーブロックの禁止」が秀逸な校則とは言い難いです。
とはいえ彼らの気持ちがわからないでもありません。
「外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているもの」という言葉に嘘はないと信じるなら、生徒たちの安全のために何か策を講じたいというその姿勢自体は素晴らしいと思います。
にも拘わらずピンポイントで「ツーブロック」ですから、んーと首を傾げてしまいます。
もっと効果的な校則を上手に設計できるよう陰ながら応援しています。