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A.落ち着いて、穏やかに店側へと告げましょう。会計時でも構いません。
今回の質問はアンサーが大変難しい問題です。
お店に行った客の心境としては、ただただ(静かに)美味しい料理を食べて、お腹を満たしたい。
それだけです。
だからできるだけ波風は立ってほしくはありません。
しかしながら明らかに自分の髪の毛ではない髪の毛が料理に入り込んでいるのを発見してしまった場合、きっと一時的に時間が止まることでしょう。
「これは言うべきか?言わないべきか?」長いようで短い葛藤の中、箸も止まってしまいます。
「店側へは何も言わずに我慢して店を出る」が正解?
客としては間違いなく不快です。髪の毛は食べられません。
しかも他人の中の他人、奥まで見えない厨房の中にいるであろう、どこの誰かもまったくわからない赤の他人の髪の毛なわけです。
それを一歩間違えれば、口の中へと運んでいて、下手したら飲み込んでいて今頃胃袋にあったかもしれないわけですから、気持ちが悪くなって当然です。
本心では怒りすらわいています。
ただその本心にまかせて、今この怒りを店員にぶつけるとします。
するとどうなるか。
おそらく怒りをうまくコントロールできなくなって声を荒らげることになり、ほかのお客さんから痛々しい目で見られることになる。
あわよくば料理はタダになるけれど、店をあとにしたらイヤーな気分で満たされるにちがいない。
そんなことなら言うのは我慢しようかな……。
その判断がベターだという気分に傾いてしまいそうになります。
髪の毛が入っていたとはいえ、たかが髪の毛一本ではないか。毒が入っていたわけでもあるまい。
目をつむりさえすれば、髪の毛以外の部分は全部食べられるじゃないか。
しかも味だけみれば、美味しい。
この髪の毛の持ち主だって、わざと髪の毛を混入したわけではないわけだ。一生懸命働いているはずだ。
もしかしたら学費や生活費を自分でまかなうために寝る間を惜しんでアルバイトをしている学生かもしれない。
むしろ髪の毛一本ぐらいで、私は何をそう怒っているのだ。
発展途上国を見よ。
露店に並んでいる料理は、正直どんな衛生管理のもと作られたのかまったくわからないではないか。
露店に並んでいる料理は、正直どんな衛生管理のもと作られたのかまったくわからないではないか。
しかも無数の虫たちが周囲を飛び交っていることだってある。それと比べたらマシではないか。
何を私は、髪の毛一本ごときで店員を説き伏せようとしているのだろうか。
優位に立とうとしているのだろうか……。
……というわけで料理に髪の毛が入っていても、店側へは何も言わずに我慢して店を出る。
葛藤の末、このような結論に達する人もいることでしょう。
店をあとにしてから多少のしこりは残るでしょうが、明日になればすっかり忘れ、そのときの怒りは嘘のようにどこかへ消えていることでしょう。
ほんの一時的に、自分が我慢すればいいという結論です。
最後に
しかし、この結論この対応はオススメできません。
なぜなら客側にとっては我慢で一件落着かもしれませんが、店側にとっては改善の機会すら与えられていないからです。
仮に店側が何も知らぬまま今後も同じように営業を続けていけば、きっとまたいつか同じミスを繰り返すでしょう。
だから問題があるなら、どこが問題だったのか何が問題だったのかを店側は知りたがっています。
これを知ることでさらなる改善、さらなる顧客満足を実現できるはずです。
よって髪の毛の混入があった場合、客であるあなたが我慢せずに店側に伝えれば、店側としては謝罪の気持ちとともに感謝の気持ちでいっぱいなのです。
とはいってもやはり対人間のコミュニケーションですから、声を荒らげるのではなく、落ち着いて穏やかな気持ちをもって店員へと告げるようにしましょう。
ほかのお客さんの目が気になるようであれば、会計時にさらっとお伝えするのがスマートです。
代金はあなた持ちになりますが、大人な対応をすることで店をあとにしたあなた自身もすがすがしい気分になれることでしょう。