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A.赤ちゃんの頭の形が変形しやすいのは生後7~8か月頃までなので、それまでに頭の形が整っていれば過度に心配する必要はありません。
頭の形は自然と良くなる
赤ちゃんの頭の形は発育とともに安定していきます。
生後7~8か月頃までの間は頭蓋骨の骨がやわらかいため変形しやすいといわれていますが、生後9~11か月頃には頭が成長して大きくなり、
1歳~1歳半を迎える頃にはある程度頭の形が定まると考えられているのです。
また1歳ぐらいになると、だんだんと寝ている時間は減り、ハイハイをしたり歩いたりする時間の割合が増えていきます。
頭蓋骨の成長に合わせて、頭の形や歪みはだんだんと気にならなくなっていくことでしょう。
それでも心配になるのが親心
それでも心配になるのが親心ですよね。
昔は「頭の形なんてそのうち治る」という考え方一択だったので、赤ちゃんの頭の形を整えるためのノウハウもなければ、治療をするという選択肢すらありませんでした。
でも現代は違います。
できることなら早いうちからできうる限りの対処をしてあげたいと思うのが一般的な親心でしょう。
できることなら早いうちからできうる限りの対処をしてあげたいと思うのが一般的な親心でしょう。
そして実際、昔と比較すれば明らかですが、頭の形を治すための知見も医療も発達しています。
それでも赤ちゃんの頭の形が心配な親御さんは、遠慮せず気軽に、医療機関に相談してほしいと思います。
その際どの科に問い合わせるのが適切なのかというと、小児外科、小児科、形成外科が一般的です。
迷ったらまずはこれら専門の医療機関に問い合わせてみてください。
迷ったらまずはこれら専門の医療機関に問い合わせてみてください。
次に当てはまる方は受診したほうがいいかも?
冒頭から「赤ちゃんの頭の形は成長に合わせて安定するので過度に心配する必要はありませんよ」「それでも心配なら受診してみてくださいね」という話をしていますが、
場合によっては早めに、積極的に、医療機関に相談した方がいいケースもあり得ます。
それは例えば以下のようなケースです。
多胎児妊娠
双子や三つ子など多胎児を同時に妊娠し、出産したときは、胎内の赤ちゃんが子宮内で圧迫されて頭の形が変形してしまうこともあり得ます。
なので多胎児妊娠をした方で、かつ赤ちゃんの頭の形が気になる方は、早めに医療機関に相談した方がいいかもしれません。
逆子
逆子もまた子宮内での圧力を受けやすいため、胎児のときに頭が変形する可能性があり得ます。
のちの成長に合わせて自然と頭の形は修復するかもしれないとはいえど、逆子を出産してかつ赤ちゃんの頭の形が気になる親御さんは、きっと受診した方が心配は晴れるでしょう。
吸引分娩
上記2例は胎内の話でしたが、産道を通過する出産時に赤ちゃんの頭の形が歪んでしまうこともあり得ます。
その典型例が吸引分娩です。
難産でなかなか出産に至らない場合には吸引分娩などの方法で出産させるわけですが、吸引で頭部を引っ張ったり、長時間産道にいることで頭が歪んでしまったりすることがあるので、
このようなケースを経験した方は、受診してドクターの意見を聞いた方が最善策を見出せるでしょう。
頭の歪み以外に気になる症状がある場合
頭の歪み以上に他の症状が気になるとき、場合によっては病気が原因で頭の歪みを引き起こしている場合もあり得ます。
それは例えば、生後2~3週頃の赤ちゃんに首のしこりが見つかったり、しばしば首をかしげていたりすると「斜頚(しゃけい)」という病気の可能性があり得ます。
また頭の歪みが気になるとともにけいれんや嘔吐などの症状がある場合には、水頭症の可能性があり得るのです。
他にも先天性の病気が原因で頭の形が変形する症状として、クルーゾン症候群やアペール症候群などの病気があり得ます。
他にも先天性の病気が原因で頭の形が変形する症状として、クルーゾン症候群やアペール症候群などの病気があり得ます。
これらの病気の場合は、頭の歪みの他、手足や眼球、呼吸などに異常をきたすことが多いようです。
つまり、頭の歪み以外で気になる症状がある場合は、なるべく早めに医療機関を受診するのが賢明です。
つまり、頭の歪み以外で気になる症状がある場合は、なるべく早めに医療機関を受診するのが賢明です。
日常的にできる対策
以上「頭の形はいずれ良くなるから心配はいらないよ」と述べておきながら、「実は病気の可能性もあるよ」なんて言われたら、親御さんは困ってしまいますよね……。
なので本稿の結論としては、赤ちゃんの頭の形が気になる親御さんは(さらに他の症状も気になるのであれば尚更)、些細な事であっても、小児科などの医療機関に相談するのがベストです。
とはいえ日常の些細な習慣を改善するだけでも赤ちゃんの頭の形を整えることに繋がるので、最後にそれらを紹介しておきましょう。
向き癖を変える
定位置にあるゆりかごやベッドは知らず知らずのうちに赤ちゃんの「向き癖」をつけてしまいます。
同じ方向ばかりを向いていると、それは頭部の同じ部分にのみ重圧がかかってしまうことになるのです。
当然やわらかい頭蓋骨にも負荷がかかります。
当然やわらかい頭蓋骨にも負荷がかかります。
だから寝ている赤ちゃんに対して、いつもとは違う、反対側から声をかけたり、お気に入りのおもちゃを反対側に置いたりするなどの工夫をすれば、「向き癖」はいくらか軽減することができます。
授乳は左右交互に
日常的な習慣である授乳も、向きを交互に変えるだけで効果があると考えられています。
母親にとっても赤ちゃんにとっても実際いつも慣れ親しんでいる向きの方がラクだとは思いますが、
赤ちゃんの頭部に対する負荷のバランスを鑑みると、毎回左右交互のバランスで授乳をするぐらいの心持ちでいた方がいいでしょう。
ドーナツ型の枕に変える
枕ひとつでも赤ちゃんの頭の形を整えるのに有効だといわれています。
その点ドーナツ型の枕ですと、通常の枕だと後頭部や則頭部にかかる負荷をやわらげてくれる効果があるので、頭の形を丸く整えるのに効果があると考えられているのです。
とはいえドーナツ型の枕でも、枕が硬すぎたり穴が大き過ぎたりすると効果が薄れてしまう場合があるので、医療機関に相談しながら赤ちゃんに適切な枕を選んだ方が無難でしょう。
おわりに
一般的に、赤ちゃんが成長するにつれて頭の形は安定するので、親御さんたちが過度に心配し過ぎる必要はありません。
でも、それでも気になるのであれば、小児科などの医療機関に相談するのが得策です。
とりわけ現代では「赤ちゃんの頭の形外来」とい専門的な診療科まであるので、気になる方は一度先生に相談してみるのがいいでしょう。