髪の毛の不思議(髪の傷み編)修復するにはどうすればいいの?

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A.髪の毛は死滅細胞のため修復することができません。
とはいえ正しいヘアケアをおこなうことで髪の傷みを予防することが可能です。
残念ながら一度傷んでしまった髪の毛が自然と元にもどることはありません。
なぜなら髪の毛は、自己修復機能を備えていない細胞でできているからです。自己修復機能を備えていない細胞のことをわかりやすく言うと、死んだ細胞、死滅細胞ということになります。
では自己修復機能とは何なのか。
髪の毛は一人あたり平均で10万本ほど生えていて、しかも一本一本がとても細長いため、自己修復機能があろうとなかろうと自身の目で確認するのが困難といえます。
そこで、わかりやすい代表例が爪と歯です。爪と歯も髪の毛と同じように自己修復機能を備えていない死んだ細胞ですが、比較的大きいうえに本数がかぎられているため、目視で観察することが可能ですよね。
爪と歯は一度欠けたり割れたりすると、時間が経ったからといって元にはもどりません。身に覚えのある方もきっといることでしょう。
反対に、生きた細胞、自己修復機能を備えている細胞でできているのが骨や皮膚です。骨折しても数か月後には骨が引っ付いて元どおりに治りますよね。
あるいは切り傷や擦り傷は数日で見事きれいに治ります。よって骨や皮膚を構成する細胞は、自己修復機能を備えている生きた細胞なのです。自然治癒力といってもいいでしょう。
さて、髪の毛を完全に修復することができないことは十分にご理解いただけたかと思います。では予防するにはどうすればいいのでしょうか。
これを理解するにはまず、髪の毛の構造について理解しておく必要があります。
髪の毛は三層構造でできています。三層は内側から順に、「メデュラ」「コルテックス」「キューティクル」です。
このうち「キューティクル」は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。髪の毛の傷みを語るうえで欠かせないのは、「キューティクル」と、その一つ内側「コルテックス」なので今回を機に覚えておきましょう。
コルテックスの層は厚く、髪の毛の85~90%ほどを占めているといわれています。その主な成分はタンパク質で、水分も多く含んでいます。
よって、外側でコルテックスを保護しているキューティクルが傷ついたり剥がれたりすると、コルテックスが損傷してタンパク質や水分が外へ流出してしまうのです。
潤いのないパサついた髪の主な原因はコルテックスの損傷なのです。まさにこれが髪の傷みの正体です。
なお、キューティクルが傷ついたり剥がれたりするだけでももちろん髪の毛がいびつな形状となり傷んで見えます。
では肝心要のキューティクルは、何を原因として傷ついたり剥がれたりしてしまうものでしょうか。
主な原因は、紫外線や静電気、熱や摩擦といわれています。
特にここで注目したいのは熱と摩擦です。なぜなら「ドライヤーをかけると髪が傷む/傷まない」、「タオルドライだけのほうが髪が傷む/傷まない」というような半ば対立した意見が私たちのあいだではっきりとしていないからです。
タオルドライは摩擦を生むけれど、そこにドライヤーで熱を加えるのははたして髪にとって良いのか悪いのか……。たしかにいっけん難しそうな問題です。
ところが美容業界のプロたちは口をそろえて言うのです。基本的には「髪の傷みを予防するにはドライヤーをかけたほうがいい」と。それはキューティクルの性質に理由があるそうです。
キューティクルというのは「濡れると開く」性質があります。
よって入浴後にタオルドライだけで布団に入ると、キューティクルが開いたままの状態で眠りにつくことになります。タオルドライだけでは水分の多くが髪の毛に留まっているからです。
その状態で眠りにつくと、髪の毛が枕や衣服とこすれ合います。このような行為が想像以上にキューティクルにダメージを与えるのです。髪を守るために今後はドライヤーで水分を飛ばしてから寝るようにしましょう。
そのほか髪の傷みを予防するためには、「シャンプー後のトリートメント・コンディショナーは必須である」と多くのプロが口をそろえて言っていますが、ほかの予防法についてはまたの機会にゆずらせてもらいますね。
今回の記事を機に、髪の傷みは修復できないけれど、ドライヤーをかけることで最低限の予防を実践していきましょう!