海藻が薄毛予防に?含まれている「栄養素」で効率的に髪にいいモノを摂取

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海藻を食べると髪が生えてくるという巷のうわさ。
この記事では海藻がなぜ薄毛予防になると言われているのか、その秘密に迫ります。

海藻が髪に良い・育毛効果があると言われる理由の秘密は栄養素

海藻が髪への健康に良いと言われている理由は海藻の栄養素に秘密があります。 海藻に潤沢に含まれる「ミネラル」が、髪の毛の構成成分である「ケラチンたんぱく」の合成をサポートすることがわかっているからです。
海藻類にはミネラルのほかにも、ビタミン類も含まれていて髪の健やかな生育をサポートします。
また、タンパク質も髪の構成成分で髪の健やかな健康には必須の栄養分です。 海藻には髪の毛の健やかな生育につながる「ミネラル・ビタミン・タンパク質」が含まれています。

海藻に含まれる主な栄養素は「ミネラル・ビタミン・タンパク質」

海藻には髪の生育に必要な「ミネラル・ビタミン・タンパク質」などさまざまな栄養素が含まれていることがわかりました。
頭皮の健康な状態は髪の成長に直結し、薄毛の予防にも役立ちます。 以下で詳細について解説します。
1. ミネラル
海藻にはいくつかのミネラル成分が含まれています。 主な含有ミネラルは「亜鉛・鉄・マグネシウム・カルシウム」などです。
その中でも特に、髪の成長をサポートする成分は以下の2つです。
(亜鉛)亜鉛は細胞分裂に欠かせないミネラル成分です。
亜鉛を摂ることにより髪の毛を伸ばす細胞分裂を起こす毛乳頭の働きをサポートし、ケラチンを生み出します。
亜鉛、鉄分、カルシウムなどのミネラルは頭皮の血行を促進し、髪の栄養供給をサポートします。 亜鉛は体にためておくことができないので、定期的に摂取することを意識しましょう。
海苔やわかめ、昆布、ひじきのほかに牡蠣、赤身の肉、豆類なども亜鉛が豊富な食品です。
(鉄分)鉄分はヘモグロビンを生産します。
ヘモグロビンが十分に充足していると酸素の運搬がスムーズに行き、髪の健やかな成長をサポートします。 鉄分は髪の毛根に酸素を供給し、血行を促進するための重要な栄養素です。
海苔やひじきの他に小松菜、ひらたけ、赤身の肉などの食品に多く含まれています。
2. ビタミン類
海藻にはビタミンA、E、B群、Kなどが含まれています。 これらのビタミンは抗酸化作用を持ち、頭皮や髪をダメージから守ります。
ビタミンA、E、B群などは頭皮の健康をサポートし、髪の成長とヘアサイクルを正常に保ちます。
(ビタミンA)ビタミンAは皮脂のバランスを整え、頭皮の状態を整えてくれます。
もずく、ところてんの材料になる天草、昆布、わかめ、ひじきなどの他ににんじん、かぼちゃ、ほうれん草などはにビタミンAが豊富に含まれています。
(ビタミンE)ビタミンEは抗酸化作用があり、血行を促進し頭髪に向けた血流を促します。 酸素や栄養素の供給と老廃物の運搬をサポートします。
もずく、天草の他にアーモンド、ひまわりの種、ほうれん草などにビタミンEが多く含まれます。
(ビタミンB群)ビタミンB群はタンパク質の代謝をサポートします。 髪の毛の主要構成成分もタンパク質なので代謝を健やかに保ち、髪の生育しやすい土台を整えてくれます。
天草、ふのりやわかめ、ひじきなどの他にビタミンB群はもずく、豚肉やレバー、牛肉、鶏肉など、肉類に多く、その他ナッツ類や卵、牛乳、バナナなどにも含まれています。
(ビタミンK)海藻に含まれているビタミンで最も多いのがビタミンK。
髪の成長に直接的な作用はありませんが、ビタミンKの摂取量が低いと他のビタミンの吸収量が落ちてキューティクルがダメージを負いやすくなる可能性があるとされています。 日常、食卓に上がる海藻類には、ビタミンKが含まれています。
海藻を摂取することで、他のビタミンの吸収効率を上げるサポートにもなるのです。
3.タンパク質
海藻の中でも特に、褐藻類(わかめ、昆布、ひじき、もずくなど)には豊富なタンパク質も含まれています。
タンパク質は髪の強化や成長に不可欠です。 海藻由来のタンパク質は髪のタンパク質合成を助け、傷んだ髪を修復し健康な髪を保ちます。
髪の毛の主成分はタンパク質です。 タンパク質をしっかりと補給することが、髪が健やかに成長する土台を整えることになるのです。
髪の主成分であるケラチンはタンパク質から作られます。 わかめや昆布の他に肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質が豊富な食材を摂ることで、髪の成長や強化につながります。
4.オメガ3脂肪酸
あおさ、わかめ、ひじきなどの海藻にはオメガ-3脂肪酸が豊富に含まれています。 これらの脂肪酸は頭皮の炎症を和らげ、血行を促進して栄養分の供給をサポートします。
サケ、マグロ、チアシード、亜麻仁油などオメガ-3脂肪酸を摂ることで、髪のコンディションの向上効果が期待できます。
5.ヨウ素
ヨウ素は新陳代謝を促す際に活用される栄養素です。 新陳代謝を促す臓器のひとつに甲状腺があります。
ヨウ素は甲状腺の働きを良くして、新陳代謝を活発にしてくれます。
タンパク質の合成にも関与するので、育毛につながる働きがあるとされています。 ひじき、昆布、もずくなどはヨウ素の多い海藻です。

海藻の栄養素に期待できる育毛や髪質改善効果

海藻が育毛や髪質改善に期待できるとされる効果は、その豊富な栄養素に由来しています。 海藻からは髪の生育に必要なミネラル分とタンパク質、ビタミンの補給が一度に叶います。
以下に、海藻が髪の健やかな成長につながる効果を詳しく解説します。
(髪の成長を促す)
海藻に豊富に含まれるビタミンやミネラルは毛根の働きを活発にします。 ミネラルやビタミンは血流を促進し、頭皮に必要な酸素や栄養素を供給します。
また、髪のタンパク質合成を助け、髪を強化します。髪の軟毛化を抑制することで薄毛予防の一助となるでしょう。
(頭皮の健康維持)
海藻に含まれるビタミンEやC抗酸化作用によって髪や頭皮に生じるダメージからの回復をサポートします。 頭皮や髪の健康維持の一助になるでしょう。
さらに海藻の種類によってはオメガ-3脂肪酸が含まれており、薄毛の要因の一つである頭皮の炎症の回復サポートも期待できます。
ビタミンやミネラルの補給は頭皮の健康な環境を整え、適切なpHバランスを維持します。 これにより、頭皮が清潔で湿潤な状態をキープし、髪の健やかな生育が期待できる土台が整います。
(抜け毛や薄毛の予防)
海藻に含まれているビタミンEやオメガ-3脂肪酸は抗酸化作用があり、頭皮や髪をストレスやダメージから保護します。 頭皮のストレスを取り除き、リカバリーを促すことで抜け毛や薄毛の予防につながります。

海藻類だけでは足りない!育毛につなげる要因

海藻は一つの健康食材として摂取することは良いですが、それだけで育毛につながるわけではありません。
育毛効果を期待するには海藻類の摂取だけでは不十分と言えます。 その理由を以下に解説します。

海藻だけでは栄養素が補完できない

海藻にはさまざまな栄養素が含まれていることを解説してきましたが、育毛にはバランスのとれた栄養摂取が重要です。 髪の成長や健康を維持するために必要な栄養素はタンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンDなどです。
海藻にはこれらの栄養素が含まれていますが、海藻だけで全ての栄養素を必要な分だけ補うのは難しいでしょう。
特に海藻類にはビタミンB群などの栄養素は不足しやすいです。
その中でもビタミンB12は赤血球の生成や神経系の機能に関与し、不足すると貧血や神経障害のリスクが高まります。 貧血になると、育毛につながる酸素の運搬がスムーズにいきません。
基本的に健やかな髪の生育を期待するには海藻を食べているだけだと栄養素が不足することがほとんどです。
野菜、果物、健康な脂肪、良質なタンパク質も総合的に摂取しましょう。さらに忘れがちなのが水分補給です。
水分は髪や頭皮の保湿に関与しています。パサつきや枝毛を防ぐことにもつながります。 また、脂質も適切な量で摂取することが大切です。脂質は頭皮と髪の保湿を促し、乾燥やかゆみを防ぎます。
結果として、髪に良いと言われている海藻でも、海藻ばかり摂取していては髪の健やかな健康に必要な栄養素が不足してしまうのです。

生活習慣やストレスの影響が要因の薄毛の場合もある

食事だけでなく、生活習慣やストレスも薄毛につながる要素です。 薄毛を自覚しているなら、生活スタイルを見直す必要もあるでしょう。
良好な睡眠、適度な運動、ストレスの管理も育毛につながる要素です。
ストレスや睡眠不足は交感神経を優位にして血管を収縮させます。 頭部に向かう末梢の血行不良が起これば、酸素の運搬だけではなく、栄養素の運搬も滞ります。
さらに老廃物の排泄もスムーズに行かなくなり、場合により更なる薄毛の進行につながってしまうでしょう。
適度な運動も生活の中に組み込むと血流が良くなり、血行不良による頭髪へのダメージ蓄積の解消が期待できます。 さらに運動によりリフレッシュすれば、ストレス解消にもなります。
すると副交感神経が優位になり緊張がほぐれて、血流UPだけではなく寝つきも良くなります。
良質な睡眠が取れれば成長ホルモンの分泌も促され、育毛につながりやすくなります。

個人差

薄毛対策は個人差も考慮する必要があります。 同じ食事でも個々の体質や健康状態によって摂取された栄養素の効果のあらわれ方は異なります。
育毛に関する問題は多岐にわたるため、個別の悩みに合わせたアプローチが必要です。
育毛を期待するには食事だけでなく、全体的な生活習慣や個人の体質に合わせた対策が重要になってきます。

海藻で薄毛やAGAの改善は難しい

海藻には髪に良い栄養素が豊富に含まれています。 しかし、薄毛やAGAの原因となるホルモンバランスの変化や遺伝的な要因に対処するためには、海藻の摂取だけでは改善は難しいでしょう。
薄毛やAGAには早い段階での対策が重要です。薄毛が進んでしまうと、症状の改善が難しくなります。
海藻の摂取を試みるだけではなく、早い段階で専門家と相談し、適切な治療法を選択しましょう。
海藻は健康な髪を育てるサポートにはなりますが、それだけでは薄毛やAGAの改善には不十分であり、総合的なアプローチが必要となるでしょう。

海藻の食べ過ぎは要注意!?健康にも影響する

海藻は栄養豊富で髪や健康に良いとされていますが、過剰摂取により健康に対していくつかのリスクや副作用を引き起こす可能性があります。 以下に、その主なポイントを解説します。

ヨウ素の過剰摂取

海藻にはヨウ素が多く含まれています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの生成に関与しますが、過剰なヨウ素摂取は甲状腺機能を低下させてしまうことがあります。
甲状腺の機能低下症は「バセドウ病」と言われており、脱毛や体重増加、疲労感などさまざまな症状を引き起こします。

下痢

海藻は食物繊維が豊富な食材です。 食べ過ぎにより便が緩くなったりお腹が張ったりと、思わぬ消化器症状を引き起こすことがあります。

海藻の適切な摂取量は?

海藻を摂取する際、心配なのは「ヨウ素」の多量摂取です。 厚生労働省の資料を参照すると、連日1.7mgのヨウ素を摂取した際に甲状腺機能低下症が現れるとされています。
日本人は海藻を分解できる酵素 を持っているとされているため、欧米よりもヨウ素の最大許容量として多く設定されており3.0mg/日としているようです。
一例として、ヨウ素の海藻内に或る含有量を抜粋しましたが、いずれも100g摂取するとしても、ヨウ素の含有量は「μg(マイクログラム)」なので、1日3mgを超える心配はほとんどないと言えます。
普通に食べる分でのヨウ素の過剰摂取については大きな心配にはならないでしょう。

まとめ

海藻にはさまざまな髪の成長につながる栄養素が含まれています。 しかしながら、海藻だけ食べているだけでは薄毛の改善や予防につながるとは言えません。
薄毛の進行にはさまざまな要素が複雑に絡み合っているため、個々の要因に応じた対応が必要です。
海藻は、昔から日本人の食卓になじみ深い食材です。 日常生活を意識しながら海藻を上手に取り入れ、育毛につなげる一助になるよう上手に活用しましょう。