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「t-フラバノン」は、育毛剤成分として近年注目を浴びている成分です。
薄毛や脱毛に対して有効であるとされていて、男性にも女性にも効果があることでさまざまな育毛製品に活用されるようになりました。
この記事では「t-フラバノン」についての効果や副作用などについて詳しく解説します。
t-フラバノンとは
t-フラバノンは、花王によって開発された髪の毛の成長に関する革命的な成分です。
その源となる成分は「アスチルビン」で、この成分は西洋オトギリソウという生薬に含まれています。
アスチルビンは毛髪の成長に重要な、毛母細胞の増殖を刺激する作用があることが科学的に確認されました。
アスチルビンは毛髪の成長に重要な、毛母細胞の増殖を刺激する作用があることが科学的に確認されました。
しかし、アスチルビンをそのまま利用するには成分の安定性などに課題がありました。
そのため、花王は長い研究と検証の過程を経て、アスチルビンをベースにして新しい合成成分「t-フラバノン」を生み出したのです。
アスチルビンをt-フラバノン(トランス-3,4’-ジメチル-3-ヒドロキシフラバノン)として合成することにより、安全性が高く効果的な髪の毛に対するケア成分が誕生しました。
t-フラバノンは、髪の毛の健やかな成長を促進し、育毛の効果が期待できる画期的な成分として注目を浴びています。
t-フラバノンの効果は?どのように作用する?
t-フラバノンは、研究により髪の毛の成長サイクル維持をサポートする働きがあることもわかりました。
以下にt-フラバノンの作用について紹介します。
・脱毛因子TGF-β1の抑制
t-フラバノンは男性型脱毛症の原因の1つとされる「TGF-β1」※を抑制することで、ヘアサイクルの成長期維持を助けます。 正常なヘアサイクルを維持することで抜け毛や薄毛を減らし髪の量を維持しやすくします。
t-フラバノンは男性型脱毛症の原因の1つとされる「TGF-β1」※を抑制することで、ヘアサイクルの成長期維持を助けます。 正常なヘアサイクルを維持することで抜け毛や薄毛を減らし髪の量を維持しやすくします。
※TGF-β:毛乳頭や毛母細胞の働きを抑える成分。男性ホルモンが毛母細胞に働きかけることで産生される。
TGF-βが産生されるとAGAに特徴的な毛包が退縮し脱毛がすすみ、薄毛になる。
・毛母細胞の活性化
t-フラバノンは毛母細胞を活性化し、その分裂や増殖を促進します。 実際に花王が行ったt-フラバノン添加試験による72時間後比較テストでは0.4㎜以上の毛の成長に関する有意差が確認できました。
t-フラバノンは毛母細胞を活性化し、その分裂や増殖を促進します。 実際に花王が行ったt-フラバノン添加試験による72時間後比較テストでは0.4㎜以上の毛の成長に関する有意差が確認できました。
・毛髪の抜けにくさの向上
t-フラバノンは花王の研究により髪の毛を抜けにくくする「接着分子」※を増やすこともわかっています。 t-フラバノン使用者の方が未使用の人よりも髪の毛を引き抜くのに力が必要だったとの研究結果もありました。
t-フラバノンは花王の研究により髪の毛を抜けにくくする「接着分子」※を増やすこともわかっています。 t-フラバノン使用者の方が未使用の人よりも髪の毛を引き抜くのに力が必要だったとの研究結果もありました。
※接着分子:細胞の表面に存在し、細胞同士の接触と接着に関わる分子のこと
つまりt-フラバノンは髪の成長期を正常に維持し、脱毛を予防する助けになることが研究によって明らかにされています。
髪の健康を維持し、薄毛や抜け毛の問題を軽減するための有望な成分として注目されているのです。
t-フラバノンの育毛効果
毛乳頭や毛母細胞に作用し、育毛につなげる効果が研究によって確認された「t-フラバノン」。
使用することで以下のような効果が期待できます。
使用することで以下のような効果が期待できます。
・脱毛を抑制する: 脱毛因子TGF-β1を抑制するため、毛包がしっかりと保たれ脱毛を防ぎます。
・髪の本数が増える: 成長期の長さが正常になることで、抜ける本数が減り髪の量を維持できます。
・毛が太くなる: 毛母細胞の増殖を促進し、新しい髪の毛の成長をサポートします。また、太くしっかりとした髪の毛が育ちます。
・髪の本数が増える: 成長期の長さが正常になることで、抜ける本数が減り髪の量を維持できます。
・毛が太くなる: 毛母細胞の増殖を促進し、新しい髪の毛の成長をサポートします。また、太くしっかりとした髪の毛が育ちます。
脱毛や薄毛につながる「成長期が短くなり脱毛するスピードが上がる」「髪の成長が弱くなり細く短い毛が増える」という2つの大きな要素を全方位でカバーできるのがt-フラバノンなのです。
t-フラバノンの副作用について
t-フラバノンに関して、今のところ副作用のリスクは低いとされています。
t-フラバノンは2002年に医薬部外品有効成分に承認されましたが、皮膚刺激性などに伴う大きなトラブルの報告は確認できませんでした。(2023年9月現在)
同様に副作用に関する報告も今のところ確認はできていません。とはいえ適切な使用法・使用量を守っていることが大前提とあると考えられます。
トラブルを防ぐためにも適切に使用し、万が一皮膚に異常が現れた場合は速やかに専門医を受診しましょう。
t-フラバノンの期待されるAGAへの効果
t-フラバノンは男性型脱毛症に対して効果を期待できる成分とされています。
しかし、厚生労働省の評価では効能は認められているものの、はっきりとした根拠の有用性はまだ乏しいと評価されています。
副作用の報告も見られないことから、現状の厚生労働省の総括としては「外用使用はよい」との提言にとどめられています。
つまり、t-フラバノンの効能はまだ確定的ではなく、AGAに対する効果には個人差がある可能性を考慮する必要がありそうです。
また、女性の脱毛に関しては厚生労働省の評価では有効性を示す根拠は不足しているとされています。
しかし副作用がほとんどないことを考慮し、男性の症例と同様に外用は行っても良いと評価されています。
(参考:t-フラバノンの外用は有用か?P12|厚生労働省 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版)
t-フラバノンの育毛効果は?
t-フラバノンが注目されている理由は、TGF-βの活性抑制と細胞接着分子の増殖です。
毛母細胞の活性化も効果の1つとして認められていますが、どちらかというと前者の2つの効能が強く実感できるといわれています。
以上からt-フラバノンは髪を育てるという育毛効果よりも、今ある髪を抜けにくくして毛量を維持することが得意な成分と言えるでしょう。
t-フラバノンを含む製品でヘアケアを
t-フラバノンを含有した製品を活用してヘアケアを試みる場合、どのような症状に対して改善が期待できるかを解説します。
t-フラバノンは前述した通り髪の毛の脱毛により薄毛などの症状が出ている場合に効果的と言えます。
脱毛型の薄毛の場合、育毛のキーワードになるのは髪の成長期を保つこと。
髪の成長期が短くなり脱毛につながっている薄毛のヘアサイクルのうち、成長期をしっかりとキープし髪を太く、長く、抜けにくい環境を整えることが重要です。
その症状に有用な効果を発揮するのが「t-フラバノン」。
t-フラバノンは厚生労働省から外用薬としての使用が許可されています。
ですので含有されている製品のほとんどがスプレータイプやトニックです。
製品により異なりますが、1日1〜2回程度頭皮に直接スプレーし、もみ込むようにマッサージすることで経皮吸収を促し脱毛を抑制します。
髪のボリューム感に対して効果が現れるのには個人差があると思いますが、通常の毛髪サイクルは
・成長期が2-6年
・退行期が2-3週間
・休止期が3か月程度
です。この成長期の長さが徐々に長くなることが期待できるので、使い始めてすぐの変化は実感できないかもしれません。
・成長期が2-6年
・退行期が2-3週間
・休止期が3か月程度
です。この成長期の長さが徐々に長くなることが期待できるので、使い始めてすぐの変化は実感できないかもしれません。
しかし、使い続けるうちに徐々に元の髪のボリュームになっていくことが期待できるでしょう。
ただし、今のところt-フラバノンに副作用の報告はなされていなくても、t-フラバノン以外に含まれている添加物などにより肌のトラブルや思わぬ副作用が生じることも「0」ではありません。
頭皮の環境や自身のアレルギー症状などにも着目し、異変が生じたら速やかに使用を中止し、専門医への相談を検討しましょう。
髪の毛成長を効率的にサポートする育毛習慣も取り入れよう
髪の毛を太く長く豊かに成長させるには、t-フラバノンを塗るだけでは効果を実感しにくいかもしれません。
育毛効果を得やすくするためには普段の生活習慣を意識することも重要です。
ここでは育毛につながる生活習慣について解説します。
食べるものを意識する
育毛につながる栄養素は「タンパク質・ビタミンC・ビタミンB群・亜鉛」です。
普段の食事を意識せずに過ごしていると、糖質や脂質の過剰摂取になることも少なくありません。
糖質や脂質の過剰摂取、常摂取は血中のコレステロールが増加し血流が滞りやすくなります。
髪の成長に必要な栄養素が運搬されにくくなるばかりではなく、毛母細胞が糖化し脱毛につながりやすくなります。
「タンパク質・ビタミンC・ビタミンB群・亜鉛」は、毛母細胞の中で頭髪を生み出すために働いている酵素を活性化させます。
さらに、タンパク質は髪の毛の主成分です。これらの栄養素をバランスよく食べ、髪の成長のサポートにつなげましょう。
睡眠を意識する
良質な睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、髪の健やかな成長につながります。成長ホルモンは入眠後2時間をピークに分泌されます。
眠りが浅かったり睡眠時間が不足すると、成長ホルモンの分泌が促されず髪の成長が滞る要因になります。
睡眠時間は7時間をキープできるのが理想ですが、時間の確保が難しい場合は睡眠の質に着目しましょう。
寝る前のスマホなどの光刺激は交感神経を刺激します。交感神経が優位になると副交感神経の働きを弱め、睡眠の質に影響します。
寝る前は光刺激を避けて、ゆったりと過ごしリラックスすることが良質な睡眠をとることにつながります。
ストレスをためない
ストレスがたまると、体は緊張・興奮状態に陥り交感神経の優位な状態が続きます。
交感神経が優位になると血管は収縮するので、頭皮のような体の末端には髪の毛の成長に必要な栄養素が運搬されにくくなり、老廃物の排泄もしにくくなります。
さらにストレスは、活性酸素を作りだします。活性酸素が増えると細胞の働きが低下し、スムーズな髪の成長に影響を及ぼします。
ストレスをゼロにするのは難しいかもしれませんが、自分なりのストレス発散方法を見つけて適度にリフレッシュすることで、ストレスフルにならないように意識しましょう。
まとめ
この記事では、「t-フラバノン」について、その効果や副作用について解説しました。
t-フラバノンは花王によって開発された髪の毛の成長に関する革命的な成分。
毛母細胞の増殖を促進し、脱毛因子TGF-β1の抑制を通じて髪の毛の成長サイクルをサポートします。
これにより、髪の抜けにくさが向上し、髪の毛の量や太さが増えることが期待されます。
副作用については、現時点での報告が少なく一般的には安全に使用できるとされていますが、適切な使用法と使用量に注意が必要です。
また、t-フラバノンの効果には個人差があり、まだ確定的な有用性が示されていない点に留意する必要があります。(2023年9月現在)
最後に、t-フラバノンを含む製品を使用し育毛を目指すには食事や睡眠、ストレス管理などの生活習慣も考慮し、総合的なケアを行うことが大切です。
適切な生活習慣とt-フラバノンの活用により髪の毛の健康を維持し、脱毛や薄毛の改善を目指しましょう。