【監修あり】白髪が急に増えた…若くても増える原因とメカニズムは?

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早ければ20-30代で白髪が出てきて、40代になると目立ち始める人も。
なぜ白髪が生えてくるのか気になりませんか?
最近はストレス社会の影響もあってか、年齢に関係なく白髪が生えてくるケースも見られます。
この記事では、白髪が生えるメカニズムから原因を見定め、白髪を増やさないための対策を徹底網羅しています。 白髪が気になる方、必見です!

【原因】白髪のメカニズムは?

実は髪の毛は、細胞として生まれたての頃みんな白髪なんです。白髪の研究が大きく進展したのはつい最近。 生まれたての白髪に対して髪のもととなる色素が送られなくなると白髪が起きるというメカニズムが解明されました。
髪の毛の生育を司る細胞の中には髪の色を左右する「色素細胞(メラニン細胞)」があり、この色素細胞の働きによりどのような髪の色になるかが決まります。 人の頭髪には「黒髪・ブロンド・茶髪・プラチナブロンド」などさまざまな色がありますが、色素細胞の情報は親から受け継がれます。
遺伝的に色素が薄い頭髪の人は別ですが、黒髪や茶髪の人が年齢を重ねて白髪になるのはなぜでしょうか?

白髪は「色素細胞の働き」が悪くなると出てくる

黒髪や茶髪の人が年齢を重ね白髪になるのは、毛の色をつくる「色素細胞」の働きが悪くなると起こります。
髪の毛の色のもとは「メラニン」。 メラニンは色素細胞から生成され、毛母細胞が細胞分裂し髪の毛を生成する際にあわせて髪の内部に送り込まれ髪の毛に色がつきます。
通常髪の毛の生え始めは産毛のような色のない状態で生えてきて、その後髪にメラニンが送られ遺伝情報に基づいた髪の色になります。 この色素細胞の働きが悪くなり、髪の毛に色がつかなくなると白髪になるのです。
毛包が髪の長さを伸ばしているけれども、色素細胞が色素を送れなくなってしまうと色のついてない毛=白髪が生えてきます。
色素細胞の働きが悪くなるのは老化現象のひとつです。 基本的にその毛根から白髪が生えてくれば、細胞が若返ることもないので、抜け落ちた後もその毛穴から生えてくる髪の毛は白髪になります。

白髪が増える原因

白髪が増える理由は色素細胞の老化です。 つまり白髪が増える原因は、色素細胞を老化させる要素が原因なのです。
ここでは白髪を増やす色素細胞の老化につながる要因について紹介します。

ストレス

一般的に人はストレスを感じると、ストレスホルモンのコルチゾールが分泌され交感神経が優位な状態になります。 交感神経は血管を収縮させるので、頭部の毛細血管の血流も悪くなります。
色素細胞が活発に活動しメラニンを生成、髪の毛に取り込まれるようになるには血流による栄養素の運搬や酸素の供給が必要です。 ストレスにより慢性的に血流不足が続くと、色素細胞が老化し、髪の毛を着色するメラニンの生成が悪くなります。
また、ストレスは活性酸素を増やします。活性酸素は細胞の正常な分裂を阻害します。 活性酸素によりメラニン生成の働きが阻害されると、これもまた白髪の要因になります。

遺伝

白髪が遺伝するかどうかという部分についてはまだはっきりと解明されてはいません。 しかし、白髪家系であれば白髪になりやすい傾向があるというのはわかっています。
イギリスの「ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン」の研究チームが白髪のきっかけになる遺伝子「IRF4」を特定したと、2016年に発表されました。 この遺伝子は、体内のメラニンを調節する役割を担い、髪の毛の色に影響を及ぼします。
この遺伝子が白髪の原因になっていることがわかってきました。 そして、遺伝的素因への可能性があることも示唆されています。

ホルモンバランス

髪の生育にはさまざまなホルモンが関わっています。
とりわけ白髪の要因となりうるホルモンは「女性ホルモン」。
メラニン細胞の働きが悪くなる要因の1つに、細胞がダメージを受ける活性酸素があげられますが、この活性酸素と戦う抗酸化物質でもある女性ホルモンは「エストロゲン」です。
さらにもう1つの女性ホルモン「プロゲステロン」は髪の成長に関わるホルモンです。
これ以外にも髪の生育には成長ホルモンや甲状腺ホルモン、メラトニンなどが関わっています。 ホルモンバランスが乱れることにより髪が健やかに育つ土台が乱れ、白髪だけではなく薄毛やハリ・ツヤのない髪の毛につながってしまうのです。

白髪を増やさないために意識すること4選

白髪をこれ以上増やさないために、日常生活で意識できることはあります。
難しいことではないのですが、根気よく続けることが大切。それでは詳細を見てみましょう。

生活習慣

髪のことを考えると、規則正しい生活習慣は非常に重要。 後述する髪に必要な栄養素をしっかりと摂取し、睡眠時間を確保しながらホルモンバランスが乱れないように意識をしましょう。
また、できれば適度な運動をするのも大切。 運動習慣のある人は肌のバリア機能が高く化学的刺激に強いことがわかりました。
このことから、運動習慣があると頭皮の健やかな状態が保ちやすいということも十分に予測できます。 日常の中で手軽にできる運動習慣を取り入れるように意識してみましょう。

栄養バランス

髪に良いものとして昔から「海藻類がいい」「白髪には黒ゴマがきく」といわれていました。 良い栄養素が含有されているのは確かですが、そればかり食べていても白髪がなくなるわけではありません。
生命維持活動には直接関係のない毛包まで栄養を届けることを考えると、バランス良く必要な栄養素を摂取したうえで+αで髪に良い栄養素を積極的に摂りましょう。
白髪のことを考えると、栄養バランスが乱れるので無理なダイエットは厳禁です。

タンパク質

髪には海藻類と昔からよくいわれていますが、実は最も重要な栄養素は「タンパク質」です。 髪の毛の8割は「ケラチン」と呼ばれるタンパク質からできています。
肉や魚でタンパク質を摂取した後、体内でアミノ酸まで分解されます。 その後、髪のためにケラチンタンパク質に再合成されて髪の毛が成長していくのです。

亜鉛

体内で分解されたアミノ酸を、髪の毛のためにケラチンに再合成するには亜鉛が必要です。
亜鉛は細胞分裂をサポートする重要なミネラル。 レバーや牡蠣などが有名ですが、苦手な人は牛肉やエビ・カニなどからも摂取することができます。

ビタミン B群・ビタミンC

ビタミンB群やビタミンCは亜鉛の働きをサポートします。 特にビタミンB7の別名「ビオチン」は色素細胞のメラノサイトを活性化する働きがあるといわれているため、 白髪をできにくくする効果が期待できます。
ビタミンCは抗酸化成分として注目を浴びています。
直接髪に働きかけるというよりかは細胞に対する活性酸素のダメージにアプローチします。 細胞のダメージが生じて色素細胞のメラニン生成が低下します。細胞のダメージが白髪につながると考えると、 ビタミンCは重要な栄養素の1つです。

鉄分

髪の健やかな成長には、血流により栄養素を運ぶことが重要です。
鉄分は血液の主成分。酸素の運搬にも重要な要素になります。
鉄分を含む食材は亜鉛も含むことが多いので、積極的に摂取しましょう。

ストレス解消

ストレスは交感神経の働きを高め、体を常に緊張状態にします。 そうなると栄養の供給が不足し、細胞の働きが弱まります。
また、ストレスがかかると白髪の原因になる活性酸素に対する抗酸化力も弱まります。 ストレスは、白髪はもちろん髪への影響として非常に重要です。
自分の中でストレス源を見出し、できれば根本的から解消したいところ。 しかし、社会生活を送るうえで難しいようであれば、適度にリフレッシュする習慣をつけましょう。

UVケア

お肌のUVケアをしている方は沢山いるかもしれませんが、髪の毛のUVケアはしていますか?
前述したとおり白髪につながる要因の1つに活性酸素があります。 紫外線は活性酸素を生み出し細胞の老化を早めてしまうのです。
頭髪の分け目に白髪ができやすくなるのも、紫外線が当たりやすいから。 紫外線が当たることで、色素細胞や毛包にダメージが加わります。
髪の毛のUVケアも忘れずにしましょう。

【白髪対策】自宅でできる白髪ケア

髪を健やかに生育させ黒々としたツヤのある髪にするには、日頃から自宅でケアをすることも大切です。
いい商品を使い、特別なアプローチをするのも大切ですが、それ以上に日常ケアを適切にすることで、小さなことの積み重ねで白髪ができにくい環境へ導きます。
シャンプー中に自宅で手軽にできる方法を紹介していますので、毎日のシャンプー習慣に取り入れてみてください。

すすぎ洗い

シャンプーは毎日誰もがすると思います。
「高いシャンプー・白髪にいいシャンプー」など色々ありますが「何を使うか」よりも洗い方が重要です。
シャンプーにかける時間は髪の長さに関係なく「予洗い1分・すすぎ1分」を意識しましょう。 予洗いとすすぎを同じぐらいの時間にするのが重要です。
毎日のシャンプーで重要なのは汚れをしっかりと落としきること。
どのようなシャンプーを使っていても洗い方が間違っていれば、汚れが落ちきらず髪や頭皮の負担になります。 頭皮の状態を清潔にし健やかな状態にすることが、白髪の発生を抑える第一歩につながります。
①シャンプー前にはブラッシングを
お風呂に入るとき、髪を濡らす前にしっかりとブラッシングをしておきましょう。
髪をといておくことで、予洗いのときに頭皮のすみずみまでお湯が通ります。ブラッシング+予洗いで大まかな汚れは落ちるのですが、意外にもあらかじめブラッシングをしている人は非常に少ないのです。
この段階でしっかりと汚れを落としておけば、髪をゴシゴシ洗う必要がなくなります。
②シャワーは額側と後頭部側にしっかりとあてる
人のシャンプースタイルを見ているとシャワーフックにかけて額側からシャワーを浴びる人と、シャワーを手に持ち、後頭部側からあてている人の2パターンにわかれることが多いです。
そして不思議なのが、どちらかでシャワーを浴びているとそのパターンだけで終わってしまうことが多いもの。 銭湯などにいくとほとんどの人が、いずれかで洗っています。
一見長めにシャワーを浴びていればしっかりと汚れが落ちきっていると思うかもしれませんが、どちらか1パターンの流し方だとあたっていない方の頭皮には汚れが残っています。
・シャワーフックにかけて額側から流す
・シャワーを手に持ち、後頭部側から流す
とくに後頭部側は体を前側に倒し、後頭部全体にしっかりとシャワーがあたるように意識をしましょう。

頭皮マッサージ

予洗いをして頭皮にまんべんなくシャンプーを浸透させたら、サッとマッサージもしておきましょう。 強くこすると逆効果、あくまでも泡を潰さないような優しい指使いで簡単なマッサージをしましょう。
①両手のひらを側頭部や後頭部にあて、下から頭頂部に向かって頭皮を優しく引き上げる
②頭頂部付近は指先ですっと頭皮を寄せるようなイメージでマッサージ
シャンプー中にサッとできる方法です。
ぜひ毎日の習慣に取り入れてみてください。

白髪が気になれば根元からカット

残念ながら白髪になってしまったら、その毛包からは白髪しか生えてこなくなります。 白髪は目立つので抜いてしまいたくなる気持ちはわかりますが、そこはぐっと気持ちを抑えましょう。
髪の毛を抜いてしまったときに毛包等を傷つけると、次から生えてくる毛はまっすぐ生えてこなくなりうねりが生じてしまうことがあります。 生えてきた白髪にうねりが加われば、白髪はさらに目立つはず。
気になるなら根元からカットし、毛根へダメージを与えないようにしましょう。

病気で白髪になることも。見逃したくない病気のサイン

白髪を増やす病気として「悪性貧血」や「甲状腺機能低下症」などがあります。
これらの病気は細胞代謝を低下させる病気なので、病気の進行具合によって色素細胞にも影響が及ぶ結果、髪の毛が白髪になってしまうのです。
これらの基礎疾患が関係していれば、白髪以外の何らかの症状が出ているはず。
「なんだか最近疲れやすい」「動けない」こんな症状が伴っていれば要注意。 白髪ケアも大切ですが、早めに病院の受診を検討しましょう。

白髪を見つけたら早めに対策を!毎日の積み重ねが大切。

白髪になる要因は「色素細胞の老化」ということがわかりました。
残念ながら、一度出てきてしまった白髪を元に戻すことは難しいです。
しかし、「これから増やさないために働きかける」ことはできます。
・生活習慣、食習慣、運動習慣を意識する
・ストレスをためない
ストレスをためない生活を意識し、髪に優しい生活を心がけましょう。 髪に優しい生活はそのまま健康にもつながります。
毎日の小さな積み重ねが、健やかな髪の成長につながるのです。 つややかな髪は、見た目の印象もアップし、美しさのアピールにもつながります。
美髪を目指すには普段の生活が大切です。 髪の生育環境を整えるようにしましょう。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。