【医療監修ありは身体に悪】若白髪影響?白髪と若白髪の違い

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若い世代で白髪が増える「若白髪」に悩む方が増えています。
加齢による自然な白髪と違い、若い頃に生じる若白髪は見た目的にもマイナスな印象かもしれないと心配になる方も多いのではないでしょうか。
若白髪には加齢減少の白髪とは異なり、さまざまな原因が関与しています。 その背景には遺伝や生活習慣、ストレス、病気など多岐にわたる要因が絡んでいます。
この記事では白髪と若白髪の違いを明らかにし、正しい理解と対策方法について詳しく解説します。

白髪と若白髪の違い

白髪や若白髪は髪の毛を着色するメラニン色素が失われることで発生しますが、その明確な違いは今のところ特定されていません。(2024年10月現在)
ここでは白髪と若白髪の違いについて考察します。

白髪とは

白髪は主に加齢が原因で発生するものとされていて、髪の毛の色を作り出す毛母細胞に隣接するメラノサイト(色素細胞)の活動が衰え、メラニン色素が減少するために起こります。 一度メラノサイトが機能を停止すると、その髪の毛は元の色に戻ることはありません。
加齢による白髪は一般的に40代以降に多く見られ、完全に白髪になるまでのスピードは個人差があります。

若白髪とは

一方で若白髪は人による見解によりさまざまですが、30歳未満で発生する白髪を指すことが多いようです。
若年層の白髪は加齢以外の要因が関与しており、遺伝、生活習慣、ストレス、さらには特定の病気などがその原因とされる場合もあります。
若白髪の一部は原因に応じて改善可能な場合もあり、時として症状の改善がみられることもあります。

髪の毛は本来白髪でメラノサイトで着色される

髪の色はそもそも本来すべて白髪です。 毛根より生え出てくる前にメラノサイトという細胞が髪に色をつけることによって人それぞれの髪色になります。
メラノサイトは毛根の毛母細胞に隣接し、メラニン色素を生成して髪に色を与えます。
メラニンには「ユーメラニン」と「フェオメラニン」の2種類があり、このバランスによって黒髪、茶髪、金髪といった異なる髪色が生まれます。
しかし、加齢や他の要因でメラノサイトの機能が低下するとメラニンが作られなくなり、髪は本来の白い状態で生え始めるのです。

元に戻る白髪と戻らない白髪の違い

髪の毛は本来白髪ですが、白髪として生えてきた場合、元に戻る白髪と戻らない白髪があります。 その違いは白髪となる原因によって異なります。

元に戻る白髪

可逆的な白髪の原因はメラノサイトの働きが停止するのではなく、機能が低下した場合や一時的に活動が弱まっているケースです。
例えば栄養不足、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、特定の病気(貧血、甲状腺機能の異常など)が主な原因です。 これらの要因を解消することで白髪が元の髪色に戻る可能性があります。
原因が改善されればメラノサイトが再び活性化して、髪に色素を供給できることもあります。

元に戻らない白髪

一方、加齢に伴う白髪は一般的に不可逆的なものです。 これはメラノサイトが機能を失い、髪にメラニンを供給できなくなった状態です。
原因として老化、遺伝的要素、不可逆的な細胞損傷(頭にけがをしてメラノサイトが完全に機能を停止した場合)などが挙げられます。
通常、加齢による白髪は一度発生すると自然に回復することはありません。 つまり、メラノサイトの機能が完全に停止したときに髪は永久的に白髪になります。

40歳以降の4割が白髪対策を始める

では一般的に、何歳くらいから加齢による白髪が増え始めるのでしょうか?
この「一般的に白髪が増える年齢かどうか」が若白髪と白髪の違いの目安の一つになるでしょう。
ここで、リクルートが実施した「白髪に関する意識調査」を参考にしてみましょう。
リクルートのアンケートによると40歳を過ぎると、白髪が気になり始める人が増え、実際に多くの人が何らかの白髪対策を始めるようです。 白髪は加齢とともにメラノサイトの活動が衰えることで生じるため、年齢とともに白髪が増えるのは自然な現象です。
今回のアンケートを参照すると、40歳を過ぎた時点で約4割の人が白髪対策を開始すると出ています。

加齢による一般的な白髪対策

実際に取り入れている白髪対策としては、以下のようなものがあります。
ヘアカラーや白髪染め:白髪を目立たなくするために多くの人が利用
ヘアケア製品の見直し:白髪のケアに特化したシャンプーやトリートメントを使用
生活習慣の改善:栄養バランスの取れた食事やストレスを軽減するための運動など
これらの対策は白髪を予防したり、目立たなくするための方法として多くの人に利用されていますが、白髪を完全に防ぐというのは難しいでしょう。

若白髪になりやすい要因

白髪は一般的に加齢とともに発生しますが、若年層でも白髪が生じることがあります。
加齢以外にもさまざまな要因が関係しており、これらの要因を理解することで予防や対策が可能になるかもしれません。
以下に白髪になりやすい主な要因を解説します。

遺伝

白髪の発生には遺伝的な傾向があると言われていますが、実はそのメカニズムははっきりとわかっていません。
しかしながら家族に若白髪の傾向がある場合、その子供も若いうちに白髪が出やすくなる傾向はあるようです。 実際に髪質に関しては遺伝的な傾向の特性を受けることがわかっています。
現在、マウス実験の段階ではありますが白髪を引き起こす要因として毛包幹細胞の働きが示唆されています。 (参考:幹細胞と老化 白髪になる仕組み解明
体質として、メラノサイトの機能が低下しやすい体質であったり、特定の年齢で急激に白髪が増える傾向も考えられるでしょう。

ストレス

ストレスは白髪の大きな原因の一つとされています。 強いストレスがかかると交感神経が優位な状態が続きます。
交感神経は末梢の毛細血管を収縮させます。
血流が悪くなると頭皮への酸素や栄養素の運搬が滞るため、メラノサイトの機能を低下させることもあります。
メラノサイトの機能が低下すると髪の色素が十分に生成されず、白髪が増加する一因となるでしょう。

生活習慣

不健康な生活習慣も白髪の原因となります。特に食生活の乱れや睡眠不足、喫煙、過度なアルコール摂取などは、毛髪の健康に悪影響を与えます。
特に栄養バランスの欠如(ビタミンB12、鉄分、銅などの欠乏)は、メラニン生成を妨げ、白髪の原因となることがあります。
また、慢性的な睡眠不足や運動不足は体内の新陳代謝を低下させ、毛根の健康状態を悪化させることがあります。
こうした生活習慣の乱れは髪の健康だけでなく、全身の健康に影響を与えることがあります。

紫外線

紫外線は皮膚だけでなく、白髪にも大きな影響を与えます。
紫外線を過剰に浴びることで毛髪のメラニンが破壊されやすくなり、色素が抜けて白髪になりやすくなります。
また、メラノサイトも紫外線によりダメージを受ければその働きが低下してメラニンを生産しにくくなります。
頭皮を紫外線から守るために帽子や日傘を使う習慣がない人は、白髪が増えやすいとされています。 髪や頭皮を紫外線から守る対策を取ることが重要です。

若白髪になる代表的な疾患

若白髪(若年性白髪)は加齢による自然な白髪とは異なり、何らかの病気や身体的な問題が原因で発生することもあります。
疾患が原因となる若白髪は、疾患の治療や管理によって改善される場合があります。
若白髪が気になり、何らかの体調不良を感じている場合には専門の医療機関で診断を受け、適切な治療を行うことが重要です。

甲状腺疾患

甲状腺機能低下症(橋本病など)は、ホルモンバランスの崩れにより代謝が衰える病気です。 新陳代謝が衰えることで毛髪の成長や色素沈着に影響を及ぼすことがあります。

貧血

鉄欠乏性貧血やビタミンB12欠乏性貧血など、血液中の酸素や栄養素の運搬が不十分になると毛根に十分な栄養が行き渡らなくなります。 結果として髪の色素が生成されなくなり、髪の色素が薄くなって白髪が増えることがあります。
特にビタミンB12の欠乏はメラニン生成に関わる酵素の働きを低下させるため、若白髪の原因として知られています。

尋常性白斑

尋常性白斑は皮膚のメラノサイトが消失し、白斑が現れる病気です。 はっきりとした原因はわかっていませんが、自己免疫や神経の作用によるものが原因として考えられています。
この病気が頭皮に影響を及ぼすと毛髪のメラノサイトも破壊されるため、その部位の髪が白髪になることがあります。

すぐできる若白髪対策

若白髪は遺伝やストレス、生活習慣などさまざまな要因で発生すると考えられています。 適切な対策を講じることで進行を遅らせたり、改善することが期待できます。
ここではすぐに取り入れられる具体的な若白髪対策について解説します。

質の良い睡眠習慣をつける

睡眠は身体全体の健康を維持するために重要な要素であり、髪の毛の健康にも直結しています。
睡眠中は体内で成長ホルモンが分泌され、新陳代謝が活発に行われるため毛母細胞の修復や髪の毛の成長が促進されます。
まず大切なのは”質のいい”睡眠をとること。
髪の成長につながる成長ホルモンの分泌は入眠後2~3時間を目安に多量に分泌されます。 また、心身の回復につなげストレス過多にならないためには十分な睡眠時間(目安として7〜8時間)の確保も意識したいところです。
毛髪の健康を保つために心身の健康は欠かせません。規則正しい生活リズムを維持することで体内のホルモンバランスが整い、若白髪の予防にもつながります。
寝る前の1〜2時間はリラックスし、スマートフォンやPCなどの電子機器の使用を控え、質のいい睡眠への準備を整えましょう。 できれば毎日同じ時間に寝起きすることを心がけ、規則正しい睡眠リズムを保つことも重要です。

食習慣

食生活は、髪の健康を支える大きな要因の一つです。 バランスの取れた栄養摂取は、健康な髪の維持に欠かせません。
特に、若白髪対策にはメラニン生成を助ける栄養素を摂ることを意識しましょう。
以下の栄養素がおすすめです。
ビタミンB群:毛母細胞の成長を促進し、健康な髪を育てます。(食材:豚肉、納豆、卵、乳製品など)
鉄分:髪の毛の成長を支える酸素の運搬をサポートします。(食材:レバー、ほうれん草、ひじきなど)
:メラニンの生成を助け、白髪予防に役立ちます。(食材:ナッツ類、レバー、シーフード)
タンパク質:髪の主成分であるケラチンの原料となります。(食材:肉、魚、大豆製品)
バランスの取れた食事を心がけ、栄養素をバランス良く摂取するのが原則ですが、意識的に摂取するのが難しい場合にはサプリメントを活用するのもひとつの方法です。

頭皮ケア

頭皮の健康は、健康な髪の成長にとって非常に重要です。 頭皮の血行を良くし、健康な毛根環境を保つことで白髪の予防の一助となるでしょう。
頭皮マッサージは血行促進につなげるケアの一つです。 シャンプー時や入浴後に、指の腹を使って優しくマッサージをしましょう。

ストレスをためない

ストレスはホルモンバランスの乱れにつながり、頭皮の血行や髪の成長に悪影響を与え、白髪を引き起こす要因となります。 日常生活の中でストレスを溜め込まないようにすることが大切です。
ストレスを解消するために自分なりのリラックス法を見つけてみましょう。
副交感神経を優位にする活動として、ヨガや瞑想、呼吸法なども有効です。 また、軽いジョギングや散歩なども心身のリフレッシュにつながります。
意識的にアクションを起こさずとも日々の生活の中でゆったりと過ごす時間を作り、心身のリラックスを心がけましょう。
また、自分の好きなことに時間を使うのもストレス解消になるでしょう。

禁煙

タバコに含まれるニコチンやタールは毛細血管を収縮し血流を悪化させ、毛根への栄養供給を阻害します。 その結果、髪の健康が損なわれ白髪や脱毛のリスクが高まります。
禁煙は一筋縄ではいかないこともあるでしょう。 本気で禁煙を目指すなら、以下の対策も有効です。
●専門医の指導や禁煙補助剤を利用する。
●禁煙サポートグループに参加し、モチベーションを維持する。

若白髪、気になっても抜かないで!白髪を抜くリスク

若白髪を見つけると気になってつい「抜いてしまおう」と考える方もいるでしょう。 しかし白髪を抜くと、髪や頭皮に悪影響を及ぼす可能性があります。

毛根へのダメージ

髪の毛を無理に抜くと毛根や周囲の組織にダメージを与えます。 抜くことにより毛穴の形が変わってしまうこともあり、時として毛穴内部の細胞にダメージが及ぶこともあります。
次に生えてくる髪の毛の成長を阻害したり、可逆的な白髪が不可逆的に進行してしまう可能性もあります。 場合によっては毛穴が塞がり、永久的に毛が生えなくなってしまうこともあります。

炎症や感染症のリスクにつながる

毛を抜くことで、頭皮に小さな傷が生じることがあります。 この傷から細菌が侵入し、炎症や感染症を引き起こすこともあるでしょう。
特に、何度も同じ毛穴から毛を抜いていると皮膚が炎症を起こしてしまうこともあります。 赤みや痛み、場合によっては感染につながることもあります。
これらの症状は頭皮環境を悪化させ、さらなる髪のトラブルを引き起こしかねません。

白髪を見つけたときの正しい対処法

若白髪を見つけた場合、無理に抜かずに正しく対処することが大切です。 以下の方法を実践しましょう。

ハサミで切る

白髪が気になる場合は、ハサミで根元近くからカットしましょう。 これならば毛根にダメージを与えることなく見た目を整えることができます。

白髪用のカラーリング

若白髪が目立ち始めたら白髪用のカラーリングを取り入れるのも一つの手です。 白髪染めだけでなく、ヘアマニキュアやヘアマスカラといった一時的に色をつける方法もあります。

予防対策をしっかりする

若白髪の原因には遺伝やストレス、栄養不足、ホルモンバランスの乱れなどが考えられます。
生活習慣を見直し、バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけることで若白髪の改善や進行を予防することが期待できます。 また、ストレス管理や禁煙も若白髪対策として重要な要素です。

まとめ

白髪と若白髪には加齢や生活習慣、遺伝、病気などさまざまな要因が関係しており、それぞれ異なる特徴があります。
加齢による白髪は不可逆的な場合が多いのに対し、若白髪の一部は生活習慣やストレス管理などの改善で元の状態に戻る可能性もあります。 若白髪を見つけた場合は、抜くのではなく、適切な対処法でケアを行うことが大切です。
健康な生活習慣を心がけ、バランスの良い食事や質の良い睡眠、ストレス管理を実践することで若白髪の進行を抑えることにつなげ、髪の健康を維持していきましょう。 もし気になる症状が続く場合は、専門医に相談することも検討しましょう。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。