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冬になると頭皮の乾燥でフケが目立ってしまう方は少なくありません。
フケは、頭皮環境が乱れることで生じる頭皮トラブルの一つ。特に空気が乾燥しがちな冬はフケが生じやすくなる季節でもあります。
気温が低く、湿度が下がる冬場では乾燥によるフケだけでなく、血行不良や帽子などによる蒸れもフケの原因となります。
この記事ではフケの種類や冬特有の原因を解説するとともに、セルフケアで簡単に取り入れられる対策方法を詳しくご紹介します。
特別なケア製品を購入しなくても、日常生活の中で少し工夫をするだけで冬のフケ対策となり、健康な髪と頭皮を維持する一助になるでしょう。
この冬、フケの悩みから解放されるためのヒントとして参考にしてみてください。
冬にフケがひどくなる原因
冬は気候や生活習慣の変化により、フケが発生しやすい環境が整ってしまいます。
以下に、冬特有のフケの原因を詳しく解説します。
乾燥の助長
冬は乾燥した空気や暖房の使用により、頭皮の水分が蒸発しやすくなるのでフケが生じやすくなります。
乾燥が進むと頭皮のバリア機能が低下し、かゆみやフケが発生することがあります。
(対策)
●部屋の加湿器を使用して湿度を保つ。(目安:50〜60%)
●頭皮用の保湿スプレーやオイルで潤いを補給する。
寒さによる血行不良
寒さが原因で血管が収縮し、頭皮の血行が悪くなると、毛根に栄養が行き届きにくくなります。
この血行不良が頭皮環境を悪化させ、フケの原因になることがあります。
(対策)
●頭皮マッサージをして血流の改善を図る。
●適度な運動で全身の血行を良くする。
帽子による蒸れ
防寒のために帽子をかぶることも多い冬ですが、長時間かぶっていると頭皮が蒸れて皮脂が過剰に分泌されることがあります。
この蒸れが脂性型フケを引き起こす原因になります。
(対策)
●通気性の良い帽子を選び、必要に応じて脱いで頭皮の換気をする。
●帽子を清潔に保つ。
冬だからこそ意識したい家でできる頭皮乾燥対策
冬のフケ対策には日常のヘアケアを見直し乾燥を防ぐ工夫も必要です。
乾燥した空気や暖房の影響で頭皮の水分が失われやすい冬こそ、適切な対策が重要です。
ドライヤーの温度を調整する
高温のドライヤーは髪や頭皮の水分を奪い、乾燥を助長します。
特に冬場は頭皮が乾燥しやすいので適切なドライヤーの使い方を知っておきましょう。
フケ対策になるドライヤーの使い方
1.ドライヤーと頭皮の距離
ドライヤーを頭皮に近づけすぎると熱によって頭皮が必要以上に乾燥し、フケが発生しやすくなります。
ドライヤーは髪から20〜30cmを目安に離して使用し、熱風を直接頭皮に当てないようにしましょう。
2.風量と温度
最初は温風で髪の根元を乾かします。根元とともに頭皮がしっかり乾いたと感じたら髪全体をブローしましょう。
7~8割乾いたら低温モードや冷風モードに切り替えます。冷風を最後に使うことでキューティクルが閉じ、髪と頭皮の潤いを保ちやすくなります。
※頭皮乾燥機能付きのドライヤーの使用を検討する
可能であれば、頭皮保護を目的とした機能のあるドライヤーの使用を検討しましょう。
頭皮保護を目的とするなら頭皮のブローは50〜60度を維持するのが望ましいです。
一般的なドライヤーだと温度が高すぎるので、ドライヤーの距離や時間で調整する必要があります。
頭皮の保湿ケアをする
実は頭皮も肌の一部。顔や体と同様に保湿ケアが必要です。
特に冬は水分保持量が減少するため、頭皮専用の保湿アイテムを取り入れることで乾燥を防ぎたいところ。
乾燥予防はフケ発生予防の一助にもなります。
頭皮の保湿ケアにおすすめの成分と特徴
1.セラミド
頭皮のバリア機能を高め外部刺激から守ります。乾燥によるフケやかゆみを軽減する効果が期待できます。
2.ヒアルロン酸
水分を保持する力が高く、頭皮の水分保持の一助となります。乾燥が原因のフケを予防し、健康な頭皮をサポートします。
3.スクワラン
皮脂に似た性質を持ち頭皮に自然な潤いを与えます。軽い使用感でベタつかないのも特徴です。
具体的なケア方法
●洗髪後、タオルドライした状態の頭皮に保湿ローションやオイルを適量なじませます。
●指の腹を使って頭皮全体に優しくマッサージしながら塗布すると、血行促進効果も期待できるでしょう。
シャンプーやケアローション、オイルの種類を変える
冬場のフケ対策には頭皮の状態に合ったシャンプーシャンプーやケアローション、オイルを選ぶことが重要です。
乾燥型フケと脂性型フケでは適したアイテムが異なるため、まずは自分の頭皮タイプを知ることが大切です。
選び方の具体例
1.乾燥型フケの場合
保湿成分が豊富に含まれた低刺激なケアアイテムを選びましょう。
特に、シャンプーでは洗浄力がマイルドで、頭皮の水分を奪いすぎないアミノ酸系洗浄成分を使用した製品がおすすめ。
(配合成分の例)
アルガンオイル、グリセリン、シアバターなど。
2.脂性型フケの場合
皮脂コントロール効果が期待できるスカルプシャンプーやケアアイテムが適しています。
頭皮の炎症がみられる場合には殺菌効果のある成分(サリチル酸、ピロクトンオラミンなど)が配合されている製品もおすすめです。
※注意点
●頭皮の乾燥がひどい場合はシャンプーの頻度を見直し、1日1回を目安に調整する。
●過度な泡立ちは頭皮への負担になるため、必要以上に泡立てないようにしましょう。
シャワーの温度に気を付ける
洗髪時のシャワーの温度が高すぎると、頭皮の皮脂が必要以上に洗い流され、乾燥の原因になります。
適切な温度のメリット
1.頭皮の潤いを保つ
38~40℃のぬるま湯は、頭皮の皮脂を適度に残しつつ汚れをしっかり落とせる温度です。
2.かゆみの軽減
熱すぎるお湯は頭皮を刺激し、かゆみを引き起こす可能性があります。
ぬるま湯を使うことで刺激を最小限に抑えられます。
洗髪のコツ
●ぬるま湯での予洗いを1分ほど行い、過度な洗髪がなくてもいいように汚れをしっかり落とす。
●シャワーヘッドを髪の根元に近づけてすすぎ残しを防ぐ。
●最後に冷水を少し当てると毛穴が引き締まり、頭皮の健康サポートに。
室内の乾燥を防ぐ
冬は暖房の使用で室内が乾燥しがちです。
湿度が低いと頭皮の水分が蒸発しやすくなり、乾燥型フケが増える要因になります。
乾燥対策
1.加湿器を活用する
部屋の湿度を50~60%に保つことで、頭皮の乾燥を防ぎます。
特にエアコンを使用している部屋では、加湿器を併用すると効果的です。
2.簡易的な加湿方法
濡れタオルを部屋に干したり、洗濯物を干すことで湿度を上げることができます。
特に寝室に取り入れると、睡眠中の乾燥対策にも役立ちます。
3.空気清浄機付き加湿器
冬場はホコリや花粉も頭皮トラブルの原因になるため、空気清浄機能を備えた加湿器を使用すると、より清潔な環境を作ることができます。
そもそもフケはどうして出るの?フケのメカニズムを詳しく解説
病的な原因がない限り、フケは頭皮の角質層が過剰に剥がれ落ちることで生じます。
これは皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が何らかの要因で乱れた結果です。
以下に、フケが発生する具体的なメカニズムを詳しく解説します。
1.頭皮の構造と役割
頭皮は皮膚の一部であり、外部からの刺激や乾燥から体を守るバリアの役割を担っています。
●角質層:最も外側にあり、古い細胞(角化した細胞)が存在します。これがフケの主成分です。
●表皮:角質層一番上の角質層を含めた肌の最も外側の部分。新しい皮膚細胞を生成します。
●皮脂腺:頭皮の皮脂を分泌し、保湿や保護の役割を果たします。
頭皮の細胞はターンオーバーにより通常28日ほどで生まれ変わります。
しかし、このサイクルが短縮されたり、異常をきたすとフケが発生します。
2.フケ発生のメカニズム
(1)ターンオーバーの乱れ
通常のターンオーバーでは古い角質が少しずつ剥がれ落ちるため、目立つことはありません。
主に毎日の洗髪で取り除かれるからです。
しかし何らかの原因でターンオーバーが乱れると、目に見える形でフケとして剥がれ落ちます。
●加速の要因:頭皮の乾燥、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、栄養不足など。
(2)マラセチア菌の増殖
頭皮には常在菌として「マラセチア菌」という菌が存在します。
この菌自体は通常無害ですが、皮脂分泌が過剰になると増殖しやすくなります。
(マラセチア菌の作用)
分泌された皮脂を分解し、脂肪酸を生成します。
生成された脂肪酸が頭皮を刺激し、炎症やターンオーバーの乱れを引き起こし、結果として脂性型フケが発生します。
(3)頭皮の乾燥
頭皮が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、外部刺激に弱くなります。
乾燥した環境では角質細胞が剥がれやすくなり、乾燥型フケが増える原因となります。
(乾燥型フケの特徴)
白く細かいフケが目立つ。頭皮がカサカサし、かゆみを伴うことが多い。
(4)皮脂の過剰分泌
皮脂腺が活発に働きすぎると頭皮に余分な油分がたまり、脂性型フケの原因となります。
(脂性型フケの特徴)
黄色っぽくベタついたフケが見られ、頭皮がかゆく、赤みや炎症を伴うことがある。
3.フケを引き起こす要因の詳細
フケが生じるには、何らかの要因があります。
その要因には、外からの影響や刺激による外的な要因と、自分の体内で起こり得る変化による内部要因があります。
(1)外部要因
●乾燥した気候や暖房:冬場は湿度が低く頭皮が乾燥しやすくなるため、乾燥型フケが増加します。
●紫外線:頭皮にダメージを与え、炎症や乾燥を招くことがあります。
●不適切なヘアケア:洗浄力の強すぎるシャンプーやすすぎ残しが、頭皮の乾燥や刺激となります。
(2)内部要因
●ホルモンバランスの乱れ:思春期や妊娠、更年期など、ホルモン変化により皮脂分泌が増えることで脂性型フケが発生しやすくなります。
●栄養不足:ビタミンB群や亜鉛などの不足が頭皮のターンオーバーに影響します。
●ストレス:自律神経の乱れが皮脂分泌や頭皮環境の悪化を招きます。
4.フケが進行するリスク
放置するとフケは見た目の問題だけでなく、以下のような頭皮トラブルに発展することがあります。
●かゆみや炎症:フケが毛穴に詰まることで細菌やマラセチア菌の増殖が進みます。
●脱毛リスク:フケが慢性化すると毛根に詰まりが生じやすくなり、頭皮ダメージが及ぶ可能性があります。抜け毛や薄毛の原因になる恐れもあるでしょう。
セルフケアで改善が見込めない場合は専門医へ
単純な乾燥性のフケや、脂性フケの場合、適切なセルフケアを施すことで改善は十分期待できます。
しかしながら、フケの状態が改善しなかったり、悪化するような状態であれば何らかの皮膚疾患が隠れている可能性も否定できません。
また、状態により脱毛や薄毛などに影響を及ぼす可能性もあるため、専門医への受診を検討してみましょう。
まとめ
冬に悩まされがちなフケは、適切なケアと予防策を取り入れることで改善が期待できます。
乾燥や血行不良、蒸れといった冬特有の原因をまずは見出しましょう。
原因にあった頭皮環境を整えることで、健康的な髪と頭皮の維持のサポートを試みたいものです。
この記事で紹介したように、シャンプーの種類や洗い方、保湿ケア、生活習慣の見直しといったシンプルな工夫がフケ予防の一助となるでしょう。
この冬は頭皮ケアに少しだけ意識を向け、快適で清潔感のある毎日を楽しみましょう。
監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。
同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。