【監修あり】白髪が固まって生える理由は?生える場所による原因・対策

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年齢を重ねれば自然に増えてくる白髪。 しかし年齢に関係なく、生えてくる場所がやけに固まっていたり、若いのにいつも生えてくる場所が同じという状態、気になりませんか?
実は白髪が固まって生えてくるのには、何かしらの理由があるのです。
今回の記事では白髪が生えるメカニズムから考え、その理由や場所ごとの原因・対策までを紹介しています。 「なぜ白髪が固まって生えるのか」とお悩みの方必見です。

白髪はなぜ生える?そもそも髪は本来白髪

加齢とともに白髪が目立ち始める人もいれば、若い頃から頭髪の中にちらほらと白髪が生えている人もいるでしょう。
「なんで白髪になるんだろう?」と疑問を持つ人も少なくありません。 しかし本来、髪の毛が生まれた頃は白髪であるというのをご存じですか?
髪の毛は頭皮の中にある毛母細胞が細胞分裂して毛を作り出し、徐々に長さを出していって頭髪となります。 その伸びていく過程で髪の毛に色を着色する「メラニン細胞(メラノサイト)」から「メラニン色素」が髪の毛に与えられ白髪が黒髪や茶髪など、遺伝子により決められている毛髪に着色するのです。

白髪になるメカニズム

通常毛髪が伸びていく過程でメラニン細胞が働き、髪の毛が成長とともに着色され色のある毛となります。 しかし何らかの理由によりメラニン細胞の働きが弱まり、髪の毛に色素が送られなくなると白い毛のまま伸びていき「白髪」となるのです。
メラニン細胞の働きがうまくいかない状態としては2種類。 「欠失型」と「休止型」にわけられます。それぞれの詳細を見てみましょう。
【欠失型】
メラニンを作り出すメラニン細胞が減少、もしくは働きを失ってしまっている状態です。 加齢による白髪の増加や環境要因(紫外線など)による細胞へのダメージにより、メラニン細胞の働きそのものがなくなっています。 欠失型の場合は対策を取ったとしても、メラニン細胞の働きが失われてしまっているので髪の毛の色がもとの状態に戻ることはありません。
【休止型】
一方で休止型は、メラニン細胞自体はしっかりと健在ですが何かしらの理由によりメラニンを生成できなくなった状態。 つまりメラニン細胞が再び活動を始めれば、メラニンが生成され髪の毛への着色が可能である状態です。 例えば、若白髪や一時的なストレス過多により栄養不足や血流不足により生じるケース。 適切な対応・対策により髪の毛への着色が再び取り戻せるケースも少なくありません。

白髪が固まって生える原因

髪の毛が白髪になって生えてくる要因は、メラニン細胞の働きがあるかどうかによって変わるということがわかりました。 その中でもとくに白髪が固まって生えてきている場合、さまざまな理由が考えられます。

紫外線のあたる環境で白髪が固まって生えている

白髪がある程度固まって生えてきている理由の1つとして「紫外線」が考えられます。
髪の毛だけではなく、肌に対してもそうですが紫外線を浴び続けると活性酸素が産生され細胞はダメージを受けます。 ダメージを受け続けた細胞は正常な働きが困難になります。
頭皮の場合はメラニン細胞の働きが弱まり、メラニンが産生されず生えてくる髪の毛が白髪になってしまうことも。
もしあなたの髪の毛がただの白髪まじりではなく、ある程度範囲が限局して白髪が目立つようならばその原因は紫外線の浴びすぎかもしれません。
紫外線の影響を受けやすいのは「頭頂部」や「前額部」。 仕事などで常用的に帽子などを着用しているならば別ですが、紫外線は本来上から降り注ぎます。 前額部や頭頂部に白髪が目立つようならば、紫外線の影響を受けているかもしれません。
スキンケアの一環としてUVケアをしている人は少なくありませんが、ヘアケアとしてUVケアをしている人は非常に少ないです。 最近ではスプレータイプの日焼け止めなども売られているので、頭頂部や前額部に白髪が目立つ方はしっかりと髪の毛も紫外線予防をして出かけるようにしましょう。

ケガ、分け目、髪型でも白髪は固まって生える

白髪は細胞がダメージを受けることにより生じます。
例えばですが、ケガなどで細胞がダメージを負ったときにも限局的に白髪が生えてくることもあるのです。 ケガをした経験があって、その部分や周囲に限局的に白髪が生えてくるようならば、メラニン細胞がダメージを受けて色素を産生できなくなっているのかもしれません。
また、いつも同じ髪型や同じ分け目で過ごしているということはありませんか?
とくに女性の場合、髪の毛を縛っていたり何年も同じ分け目でいるとその部分に負担がかかり、ダメージが蓄積している可能性も考えられます。
ポニーテールなどの髪型であれば生え際に負担がかかり、生え際の白髪が増えているケースも。 自分が普段している髪型をよく確認して、その部分と白髪が生えている場所が一致しているようならば、思った以上に細胞にダメージがかかっていることが考えられます。
分け目を変えたり縛り方を変えることは、そんなに難しくないはず。 できるだけ早めに対策を取り、いま以上に白髪が生じるのを避けられるように定期的に変えてみるなど、意識してみてください。
とくに、分け目は白髪が目立ちやすいもの。 分け目を変えることで白髪を目立たせなくするだけではなく、ダメージ低減にもつなげられますよ。

姿勢や体の使い方により白髪につながっているケースも

メラニン細胞の働きが鈍くなっている要因として、血流不足や栄養不足なども考えられます。 その理由の1つとして姿勢や体の使い方により、頭皮の細胞に対して血流不足や栄養不足となり色素が生み出されなくなってしまっている可能性も。
例えばですが猫背であったり、枕の高さが高すぎて普段から前かがみになりやすい人は顔や頭周辺の血行が乱れやすく頭痛や肩こりになりやすいケースもあるはずです。
肩や首への血流不足が考えられるなら、当然頭部の血流にも少なからず影響を与えているでしょう。
最近ではとくにスマホをする時間が長くなっている傾向もあり、このような体のクセの人が増えてきています。 結果として血流不足に陥り、白髪が増えてきているケースも少なくありません。
またストレス社会の影響から、緊張しやすく噛みグセがあるなどの人も要注意です。 このような場合、歯を食いしばる影響から口周りなどの咬筋や側頭筋の血流が乱れている可能性も。 頭皮への血流不足により、結果として白髪につながっている可能性も考えられます。
姿勢やスマホによる前傾姿勢、食いしばりによる影響を考えると前髪や生え際、もみあげ、こめかみなどの顔の周辺に白髪が増えてくる傾向もあるのです。

東洋医学における「ツボ」の考え方と白髪の関係

白髪が限局的に固まって生えている理由として、東洋医学における「ツボ」の考え方を参考にする方法もあります。 白髪の生える場所をツボの位置を参考として、体の不調の原因を探る手段の1つにする場合もあるのです。
ツボとは東洋医学における「経穴(けいけつ)」と呼ばれる部分で、体に異常を生じる要因となる「血・気・津液(水分)」が滞る場所とされています。 東洋医学ではこれらの循環をよくするために経穴(ツボ)を刺激して正常な流れを取り戻すとされています。
白髪が固まって生えている場所がツボと一致しているならば、その部分の血流や気・水分が滞っているとみなし、何らかの不調があると考えることもあるようです。
はっきりとした因果関係はいまのところ証明されてはいませんが、東洋医学の考えをもとにすると何かしらが滞っているという指標の1つにはできるでしょう。 ツボの考え方からわかる白髪の生え方と不調のサインについて紹介します。
【こめかみ】
白髪がこめかみ周りに生じるケース。眼精疲労やストレス目元の不調などが考えられる
【前額部】
白髪が前髪周辺に生じるケース。 東洋医学的な観点から見ると痔や便秘などの不調やストレスなどが考えられる
【頭頂部】
白髪が頭のつむじに生じるケース。 東洋医学的な観点から見ると消化器系の不調やストレスが考えられる
【側頭部】
白髪が左右の頭の横顔に生じるケース。 東洋医学的な観点から見ると内臓全体の不調やむくみストレスなどが考えられる
【後頭部】
頭の後ろ側に白髪が生じるケース。 東洋医学的な観点から見ると男性の精力減退や女性の不妊や生理不順など生殖器系の不調が考えられる

病気でも白髪が⁉白髪が急に増えてきたら、体の声に耳を傾けてみて

ときには白髪が急に増えてくる症状を前兆とし、病気の発見につながるケースもあります。
白髪になる原因はメラニン細胞の働きが悪くなりメラニンが産生されなくなる状態。 細胞分裂に影響を及ぼしている「病気」が背景に潜んでいる場合もあるのです。
【甲状腺機能低下症】
甲状腺機能低下症とはその名の通り甲状腺が働くことによって分泌されるホルモンが低下し、さまざまな症状を呈する病気。 甲状腺から分泌されるホルモンは全身の新陳代謝に関与する働きがあり、新しい細胞を生み出す役割を担います。 メラニン細胞によるメラニンの産生も細胞分裂によって起こるため、甲状腺の機能が低下すると白髪になりやすくなると考えられています。
白髪以外の病状としては疲れやすくなったり、太りやすくなったりするなどいわゆる「代謝が落ちているような状態」になる疾患です。 白髪以外にも思い当たる症状があれば、病院受診を検討する必要があるでしょう。

まとめ

白髪になる原因はメラニン細胞の働きに影響されることがわかりました。 しかし固まって生える要因としては、限局的に細胞のダメージが及んでいたり、血流不足や栄養不足などが起こっていることが考えられます。
一時的な負荷やストレスによる「休止形」の状態であれば、再び髪の毛の色を取り戻せるかもしれません。 思い当たる原因や要因があり、取り除けるようであればできるだけ早い段階で対策しましょう。
固まって生えている白髪をサインのひとつと捉え、要因を見出して対処することにより、少しでも白髪が増えないようにアプローチしていきたいですね。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。