ストレスと薄毛は関係あるの?薄毛改善につながるメンタルケア

〈 約 13分54秒 で読めます 〉

ストレスと薄毛の関係。
頭とストレスには、一見何も因果関係がないように思われますが、少なからず影響を及ぼしていると考えられています。 ストレスがかかると交感神経が優位になり、体にさまざまな影響が起こります。
これには血流の悪化、頭皮環境の悪化、睡眠の質低下、ホルモンバランスの乱れなどが含まれます。
この記事ではストレスと薄毛の因果関係を掘り下げ、ストレス対策になるメンタルケアまでを解説しています。

ストレスによる髪の毛への影響

ストレスが増え、かかり続けると交感神経が優位な状態が続きます。 ストレスが継続的にかかることによって以下のような影響が髪の毛に現れる可能性があります。

血流が悪くなる

ストレスにより交感神経が優位な状態が続くと血管が収縮し、頭皮や毛根への血流が悪くなります。 血液の循環が悪化すると、髪の毛に栄養や酸素が行き渡りにくくなり、老廃物の排泄も滞り薄毛や抜け毛の一因となります。

頭皮環境の悪化

ストレスが増し交感神経が活発になると、頭皮の皮脂分泌が増加し、頭皮環境が悪化します。 毛穴が詰まりやすくなったり、フケや、臭いが増したりと頭皮トラブルが起きやすくなります。

睡眠の質が低下する

ストレスによって交感神経が優位になると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなり睡眠の質が低下します。 睡眠の質が悪くなると髪の毛の成長や修復に必要なホルモンが分泌されにくくなります。
また、睡眠不足により疲労回復がうまくいかないとストレス感情を増大させ、さらなる悪循環を引き起こす可能性があります。

ホルモンバランスが乱れる

ストレスが継続すると、ストレスホルモンであるコルチゾールやアドレナリンの分泌が増加します。 コルチゾールやアドレナリンが増加すると、ホルモン生成のためにビタミンやミネラル・タンパク質が多量に消費されます。
髪の毛の生育に使われるものまで消費されてしまうことになり、髪の毛の成長サイクルが乱れ、薄毛や抜け毛につながる可能性があります。

内臓機能の低下

ストレスによる髪の毛への影響の一つに内臓機能の低下が挙げられます。 ストレスが長期間続くと、体は常に緊張状態になり、内臓機能にも影響を与えます。
特に交感神経が優位になると、消化器官や免疫系などの活動が抑制され、栄養素の吸収や代謝が低下します。 その結果、髪の成長に必要な栄養分が適切に供給されず、髪の毛が細く短くしか成長できなくなったり、抜け毛の増加につながりやすくなります。
以上のように、ストレスが増すと髪の毛にさまざまな影響が現れます。
ストレスを管理することは健康な髪の毛を保つためにも重要です。 定期的にリラックスしたり、自分なりのストレス解消法を取り入れてみましょう。

ストレスによる抜け毛の特徴

いつもより抜け毛が増えていると感じた場合や、薄毛が目立ってきた場合、AGAなどの症状で出てきているのか、ストレスによるものなのか気になりますよね。
突然のストレスや心的負担があると、抜け毛が増えることがあります。 これは、ストレスが毛包の成長サイクルに影響を与えることで毛の脱落を引き起こすことが原因と考えられています。
ストレスによる抜け毛は、頭皮全体で均等に分布する傾向にあります。
つむじや生え際など特定の部位で起こる抜け毛は、AGAなどに特徴的な症状の一つなので、違いはわかりやすいと言えるでしょう。 また、円形脱毛症のように限局した部位で起こる症状もあります。
また、健康な髪の毛がヘアサイクルの影響で抜けたものと比べると、ストレスによる抜け毛は、毛根の変化としても現れることがあります。 ストレスにより、通常のヘアサイクルよりも早く髪の毛が抜けるので、毛根が小さかったり、抜けた髪の毛の根もとが黒っぽかったりしていることも特徴です。
一般的にストレスによる抜け毛は一時的なものであり、ストレスが軽減されると通常は改善します。
逆にいうと、ストレスが継続する限り抜け毛の問題も続く可能性がありますあるのでストレス管理や適切なケアが重要になります。

ストレスによる抜け毛が回復するまでの目安は?

抜け毛がストレスの影響で起きた場合、その回復には時間がかかることが一般的です。
ヘアサイクルは成長期→退行期→休止期と繰り返されます。 ストレスによる抜け毛が増えた場合、退行期・休止期が予定より早く訪れ、毛の脱落がおきます。
一般的に退行期は「2~3週間」、休止期は「数カ月」なので、新たな毛がすぐに生えてきたとしても最低でも数カ月は要することになります。 個人差はありますが、一般的にストレスがなくなり、速やかに毛周期が回復し、新たな毛髪が生えそろうまでには数ヶ月から半年程度かかることがあります。
ストレスによる抜け毛の回復は、個人の生活環境や健康状態、ストレスの程度などによっても異なります。 そのため、継続的なケアと専門家の指導のもとでの管理が必要です。

ストレス発散のためのメンタルケア

薄毛の要因となるストレスを発散し新たなストレスにさらされないためには、メンタルケアが重要です。 ストレスに振り回されず、健やかな髪の生育につなげるには以下の方法を抑えましょう。
①ストレス管理・メンタルケアの技術を学ぶ
ストレスを軽減するためには、自分なりのリラックス方法を見つけたりマインドフルネスの練習など、ストレス管理技術を学ぶことが役立ちます。
例えば深呼吸や瞑想、ヨガなどは呼吸法により副交感神経を優位にし、交感神経の働きの抑制が期待できます。自宅で手軽に取り入れられ、ストレスを軽減し、リラックスするのに役立ちます。
②趣味やストレス発散法を持つ
趣味や興味を持つことは、ストレスを軽減し、気持ちのリフレッシュに役立ちます。 自分の興味や好みに合ったアクティビティを見つけて、ストレス発散に役立てましょう。
運動などは体を動かすことでできるストレス発散法のひとつです。
運動は、ストレスを解消するだけではなく、心身の健康を維持するのにも効果的です。 体が健やかになれば自然と免疫力や自律神経のバランスも整い、ストレス耐性をあげることにも役立ちます。
ウォーキング、ランニング、サイクリング、水泳など、自分のペースで楽しめる運動を模索しましょう。
③良質な睡眠を取る
ストレスが原因で睡眠が妨げられることがありますが、良質な睡眠は疲労を回復し、気持ちも穏やかになるのでストレスの軽減に役立ちます。 寝る前のリラックスした環境を整えることを意識したり、規則正しい睡眠スケジュールを確保することで睡眠の質向上につなげられます。
これらの方法を組み合わせて、ストレスを軽減し、心身の健康を維持することが大切です。

ストレス性の脱毛。疾患性のものなら早めの受診も検討

ストレス性の脱毛は、ストレスや心の負担が原因で引き起こされます。 頭皮全体の薄毛や抜け毛が急に増えてきたと感じるのが一般的な初期の自覚症状です。
中には何らかの過去の出来事がトラウマとなり、継続的な薄毛や脱毛が続くケースもあります。 脱毛症のほかにも頭皮にかゆみや痛みなどの不快感が伴うことがあります。
場合により、ストレスの軽減を図るよりも先に、専門医への受診を早めに検討した方がよいケースもあります。

早めの受診を検討する場合

①症状が持続する場合
ストレス性の脱毛は、ストレスが軽減されると改善することがありますが、症状が持続する場合は思った以上に薄毛の状態が進行し、いざ治療を始めストレスの軽減が図れたとしても症状の回復に時間を要してしまうこともあります。
毛髪の抜け具合や残り具合によっては早めに医師の診察を受けることも重要です。
②生活に支障がある場合
脱毛やその他の症状が日常生活に大きな影響を与えている場合は、専門家の診断やアドバイスを受けることが役立ちます。 職業上、見た目印象が重要で抜け毛が多いと困る場合や、それによりさらなるストレスがかかっている場合は日常生活にも影響を及ぼすでしょう。
症状のさらなる進行を抑えつつ早期改善を期待するなら、早めに専門医への相談を検討することが重要です。
②他の疾患の可能性がある場合
疾患性の脱毛と区別するためにも、早めの受診が重要です。 他の病気や健康上の問題が原因で脱毛が起こっている可能性もあるため、その他の疾患の可能性があるならば専門家の診断が必要です。

自己免疫疾患で生じる抜け毛の場合

自己免疫疾患に罹患している場合、脱毛症が起こる場合もあります。
自己免疫疾患による抜け毛は、免疫システムが誤って健康な組織を攻撃することで引き起こされます。 以下はその特徴です。
①全身性エリテマトーデス
自己免疫疾患の一種であり、免疫機能が体のさまざまな組織や器官を攻撃します。 皮膚と髪の毛も影響を受け、頭皮の毛包が炎症を起こして抜け毛を引き起こすことがあります。
②甲状腺自己免疫疾患
甲状腺自己免疫疾患は、甲状腺を攻撃する自己免疫反応によって引き起こされますが、その影響は髪の毛にも及びます。 甲状腺ホルモンのバランスの変化が、髪の成長サイクルに影響を与え、脱毛を引き起こす可能性があります。

円形脱毛症

円形脱毛症も、さまざまな説がありますが、自己免疫疾患の一種であると考えられているのが最近の傾向です。(2024年3月現在)
免疫システムが誤って毛包を攻撃し、円形の脱毛斑を引き起こします。 特定の部位で円形の脱毛が生じ、周囲の髪の毛は正常に成長しますが、一部の部位では脱毛が進行します。
今のところハッキリとした原因は不明ですが、遺伝的な要因や環境要因が関与している可能性があります。

びまん性脱毛症

びまん性脱毛症は、頭髪全体が徐々に薄くなる状態を指します。 女性型脱毛症(FAGA)の一形態であり、遺伝的な要因やホルモンの影響などが関与していると考えられています。
通常、頭皮全体で髪の毛が薄くなるため、特定の領域に円形の脱毛斑が現れるAGAとは異なります。

AGA(男性型脱毛症)

AGAは、男性ホルモンのテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで毛包が縮小し、髪の成長周期が短縮されることによって引き起こされる脱毛症です。
通常、頭頂部や前頭部の髪が薄くなります。遺伝的要因やホルモンのバランスの変化が関与しています。 治療法としては、ミノキシジルやフィナステリドなどの薬物療法や、植毛などの外科的な手術があります。
ストレスが要因ではなく、何らかの疾患により起きていると考えられる場合には、早期発見・対処することで進行のスピードを遅くしたり、回復までの時間を短くすることも期待できます。
ストレス以外の症状や、思い当たる環境であるならば、早めに専門医への相談を検討しましょう。

まとめ

ストレスと薄毛の因果関係。
交感神経の優位による血流悪化や頭皮環境の悪化、睡眠の質低下、ホルモンバランスの乱れなどが薄毛につながる可能性があります。
ストレスによる抜け毛が回復するまでの目安は最低でも数か月程度はかかるのが一般的と言われています。 ストレス性の脱毛と疾患性の脱毛の区別をしっかりと付けて、ストレス以外の症状が思い当るようなら早めに専門医へ相談し、対処することが重要です。
ストレス性の脱毛症であれば、一般的にはストレスが軽減できれば徐々に症状は落ち着いてくるはずです。
早い段階でストレスによる異変に気が付き、休息やリフレッシュを取り入れ、早期改善に努めたいですね。