【監修あり】スライムが髪の毛についたときに最速で綺麗にする方法

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子どものおもちゃとして人気の「スライム」。
洗濯のりなどを使って自宅で簡単に作れたり、100均で手軽に手に入れることもできます。
マルチな可動性や触感などから指先の知育にも良いと言われており、古くから子どものおもちゃとして親しまれていますよね。
しかし、小さな子どもは思わぬ遊び方をしてしまいます。 スライムを頭に乗せたり髪の毛につけてみたり…。
ふと目を離した瞬間に「髪の毛にスライムがついてしまった!」と焦ってしまう保護者の方もいるのでは?
慎重に少しずつ取り除いても、全く取れる気配のないスライムに「髪を切るしかないのか。」と悲しくなってしまうことも。
…大丈夫です!
この記事では小さなお子様相手でも、髪の毛についてしまったスライムを手軽にきちんと取る方法を解説します。
さらに出先でスライムがついてしまった場合の解決法もご紹介します。

スライムって何?

スライムは1970年代におもちゃメーカーより発売された子ども向けおもちゃの一つです。
ぐにぐにとした粘性と、冷たく柔らかな触感で手元でこねたり丸めたり、粘土のような感覚で遊ぶことを楽しみます。
その後、スーパーや薬局に売られているような材料で家庭でも簡単に作れることが広く知られ、お祭りや学校の実験などを通して手軽に楽しむ機会が増えてきました。
しかし広く普及した影響で、遊んでいる最中に髪の毛についてしまったり、毛足の長い絨毯の上に落としてしまった際に、スライムがしっかりと絡みつきなかなか取れなくて困ってしまったというユーザーの声も多く挙がりました。
スライムは柔らかくて粘性が高いため、思わぬところについてしまうと取り除くのに一苦労します。 この独特の触感は一体何からできているのでしょうか?スライムを作る材料について解説します。

スライムの材料

スライムには「PVAポリビニルアルコール溶液」と呼ばれる物が使用されています。
家庭でスライムを作る際に使用する「洗濯のり」もPVAの一種です。 PVAは水溶性の合成ポリマーでスライムの粘性を作り出します。
もう一つは「ホウ砂(ホウ素)」と呼ばれる物が使用されています。 PVAにホウ砂を加えると化学反応で分子が結合され、液体のPVA溶液が粘性のあるスライムに変わります。
架橋反応(※①)で、柔らかいゲル状の物質が形成され、スライム独特の触感を生み出す役割を果たしています。
※①架橋反応:ホウ砂やホウ酸がPVA溶液に加えられると、ホウ酸イオンやテトラボレートイオンが生成されがPVA分子のヒドロキシル基(–OH)と反応し、分子間に架橋を形成する反応
PVAはのりとしての溶液状の物のほかに、その多様な特性からさまざまな産業で幅広く利用される合成ポリマーです。 水溶性、高い強度、柔軟性、生分解性などの特性により、接着剤、繊維、フィルム、紙加工、医薬品、化粧品、建築材料など、多くの分野にさまざまな用途で活用されています。

スライムが髪の毛につくと取れにくいのはなぜ?

スライムが髪の毛についてしまうとなかなか取れなくて苦戦しますよね。
スライムが取りにくい理由は、スライムの特性と髪の毛の構造上の相性の問題であると言えそうです。
スライムの物理的特性と髪の毛の構造について解説します。

スライムの特性

スライムの特筆すべき特性は「柔軟性」と「粘着性」。
スライムの高い粘着性が髪の毛にしっかりと絡みついてしまいます。 そして粘着性が高い分、スライムを取り除くことを困難にしています。
さらにスライムは非常に柔軟で、髪の毛の間に容易に入り込んでしまいます。 このため、スライムが広範囲にわたって髪に絡まることにつながるのです。

髪の毛の構造

髪の毛は細かく多いため、柔軟なスライムが隙間に入り込みしっかりと絡みつきます。 スライムはこの広い表面積に対して粘着しやすくなります。
さらに髪の毛の表面にはキューティクル(毛表皮)があります。 スライムに含まれている水分がつくとキューティクルの凸凹がひらきやすくなり、これがスライムの粘着性を強くします。

スライムを取るのに活用できる物

ふと目を離したときに、スライムが子どもの髪の毛に絡みついてしまって取れなくなったという話は珍しくありません。 また、毛足の長いじゅうたんやペットの毛に絡みついてしまった事例もあるようです。
ここでは、比較的手軽にできるスライムを取る2つの方法を紹介します。

シャワーなどのお湯

スライムの大部分はPVA溶液で作られているので水に溶けやすい性質があります。 ご家庭のシャワーで十分洗い流せれば、髪の毛に絡みついているスライムを除去することができるでしょう。
水よりもお湯の方がスライムが溶けやすいのには、温度が高くなることにより、水中内にある分子運動が激しくなり分散・拡散がしやすくなるからです。
熱湯である必要はありませんが、普段ご自宅で使われているシャワー浴の温度でしっかりと洗い流してあげると良いでしょう。

酸性の物質

レモン汁やクエン酸、お酢などの酸性の物でもスライムは手軽に取ることができます。 PVA溶液を架橋結合させているホウ素はアルカリ性です。
レモン汁やクエン酸、お酢などの酸性を加えることにより、ホウ素の働きを抑えてPVAの架橋結合を取ることにより、スライムの絡みつきを取りやすくしてくれます。

スライムを実際に落とす【5選】

①洗面器などにお湯を入れ、髪の毛をつけて落とす
なかなかすぐにお風呂に入れないという場合には洗面器などにお湯をためてスライムがついたところを浸してゆっくりとほぐしながら洗い流す方法があります。
指先でお湯をまんべんなく塗り込むようなイメージで少しずつ髪の毛をほぐしながらスライムを取り除いていくようにしましょう。
①シャワーで流してシャンプーする
洗面器にお湯を入れて流せる髪の長さがあれば良いのですが、髪の毛が短いと洗面器に浸せないケースもあると思います。
そういう場合はシャワーで洗い流すのが理想的でしょう。
スライムをしっかりと濡らし、ゆっくりと洗い流しましょう。 徐々にスライムが柔らかくなり取れてくるはずです。
短いと分裂したスライムがシャワーの勢いに乗って別の場所につく恐れもあるので、あわせてシャンプーで頭髪全体を洗髪すると良いでしょう。
②酸性の物質をスプレーする
PVAを架橋してスライム状にするホウ素はアルカリ性なので逆性である酸性の物質を活用して取り除くことができます。
先に紹介した洗面器に入れたお湯にレモン汁やお酢を溶かして活用する方法もありますが、スプレーボトルに入れて直接髪の毛についたスライムにスプレーして取り除く方法があります。
スライムがついたところよりも根もとの部分からスプレーすることで、徐々にスライムがほぐれていって少しずつ取れていきます。 この時、頭皮に近いところからスプレーしないと、頭皮側にスライムが落ちてしまう可能性があるので、頭皮側からスプレーするようにしましょう。
顔の近くについている場合には、目に入らないように気をつけて使用しましょう。
④乾燥してしまったスライムを取るには?
スライムがついた時、すぐに気がつかず時間が経ってから「この塊…。なんだろう?」と発覚することもあります。
乾燥してしまっても、大丈夫です。
スライムは親水性が高いので、乾燥してしまった後にもお湯やクエン酸などで取り除けます。
乾燥した部分をしっかりとお湯で濡らし、乾燥したスライムをふやかします。 ふやけてきたら指先でじっくりとほぐして徐々にスライムを取り除きましょう。
③出先でスライムが髪の毛についてしまったら?
出先の公園や車の中など…。スライムで遊んでいて、すぐにシャワーに入れない時などもあるでしょう。
そんな時でも大丈夫。 水分や酸性の物で取れる性質に変わりはありません。
ハンドタオルなどを濡らして、スライムの付着部分を湿らせて徐々に取り除くと良いでしょう。 時間はかかりますが髪の毛も無駄に濡れずに済む方法の一つです。
汚れたハンドタオルを洗濯する時には、下洗いで付着したスライムを取り除いてから洗うようにしましょう。
出先の近くに100均などがあれば、クエン酸スプレーを購入するのも良いでしょう。
ただし、なかには肌への付着に注意喚起を提示している商品もあります。 注意事項をよく読んで使用の有無を検討しましょう。
心配な場合には、時間はかかりますが空のスプレーボトルにお湯を入れてスプレーするのも良いかもしれません。

まとめ

スライムが髪の毛につくと取り除くのは大変ですが、正しい方法を知っていれば安心です。
「シャワーでお湯を使う」「レモン汁やクエン酸などの酸性の物を使う」といった方法を駆使すれば、スライムを簡単に取り除くことができます。
スライムは水に溶けやすい性質があるため、温かいシャワーでしっかりと洗い流すことで除去できます。 また、酸性の物を使う方法では、PVAとホウ素の化学反応を抑えることでスライムの粘着性を低減させ、取りやすくします。
急な事態でも、濡れタオルやスプレーなどを活用することで、出先で対処することも可能です。 スライムが髪の毛についてしまった時に焦らず、今回紹介した方法を試してみてくださいね。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。