今話題のSDGs、髪の毛が関わる様々な問題を考えてみよう!

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話題の「SDGs(エスディージーズ)」ですが、まだまだ国民全員に認知されているとは言えません。
あるいは大枠は分かっていても細かな目標までは理解していなかったり、いざ自分が何をすればいいのかよく分からなかったりしているかもしれません。
そこで今回はまず、SDGsについておさらいします。17項目ある細かな目標についてもすべてご紹介します。
そして理解が深まったのちに、髪の毛とSDGsにはどのような関係があるのかを紐解いていきましょう。

SDGsとは

「SDGs(エスディージーズ)」とは「Sustainable Development Goals」の略語で、日本語訳では「持続可能な開発目標」です。
国際連合広報センターによると、「持続可能な開発」とは「将来の世代がそのニーズを満たせる能力を損なうことなしに、現在のニーズを満たす開発」のこと。
つまり未来の社会や地球環境にしっかりと責任を持ちながら、今の私たちの暮らしも当然大切にするということだと思います。
しかし一部の人や一部の国だけで持続可能な開発に取り組んでもさほど効果は期待できませんよね。
2015年9月。国連に加盟している全193カ国によって取り決められた世界共通の目標が「SDGs」。
今世界はSDGs達成の期限として定められている2030年という共通の目標に向かって動いている最中です。
そして「持続可能な開発」を達成するためには、世界共通の行動指針となる、17項目の目標を達成する必要があります。
分かりやすいビジュアルなので覚えやすいかと思いますが、17項目となるとなかなか一度には覚えきれませんよね。
なので改めて、全17項目の目標をすべてご紹介していきましょう。

SDGsの17目標

これよりご紹介する17項目の目標を世界が達成できれば、SDGsの達成、ひいては持続可能な社会が実現すると考えられています。(17目標の下にはさらに169の達成基準と232の指標が設定されていますが、本稿では基本17目標のご紹介に留めます。)
各目標の紹介に伴って、アジェンダに示されている具体的な達成基準を例に出すこともありますが、今回を機に、17目標だけでもぜひ覚えてみてください。

1. 貧困をなくそう


あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせることが目標です。
例えばSDGsでは、今なお1日1.25ドル未満で生活しているような極度の貧困にある人々を2030年までにはあらゆる場所でなくそうとしています。

2. 飢餓をゼロに


飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進することが目標です。
日本国内と「飢餓」問題にはかなりの距離があるように感じますが、世界的に見ればまだまだ現在的課題なのです。

3. すべての人に健康と福祉を


あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進することが目標です。
例えばSDGsでは、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人あたり70人未満に削減することを目標に掲げています。

4. 質の高い教育をみんなに


すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進することが目標。
日本では、この項目は概ね達成済みの分野と考えられています。

5. ジェンダー平等を実現しよう


ジェンダー平等を達成して、すべての女性および女児の能力強化を行うことが目標です。
例えばSDGsでは、人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女子に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除することを目標に掲げています。

6. 安全な水とトイレを世界中に


すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保することが目標。
とりわけ日本国内では水道水ですら飲むことのできる衛生環境が整っているので、あまり自分の問題として捉えることができないかもしれませんが、世界では安全な水が簡単に手に入らなかったり、トイレがなかったりするのが現状なのです。

7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに


すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保することが目標。
例えばSDGsでは、2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させるとしています。

8. 働きがいも経済成長も


包摂的かつ持続可能な経済成長およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進することが目標。
どちらか一方に偏るのではなく、どちらも実現して誰一人取り残さないようにするのがSDGsの目指すところです。

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう


強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進および改革の推進を図ることが目標です。
日本では、この項目は概ね達成済みの分野と考えられています。

10. 人や国の不平等をなくそう


各国内および各国間の不平等を是正することが目標です。
例えばSDGsでは、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々のエンパワーメント、および社会的、経済的、および政治的な包含を促進することを目標にしています。

11. 住み続けられるまちづくりを


包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市および人間居住を実現することが目標。
国や地域によって抱えている問題は異なりますが、日本においては災害に強く安心して暮らせるまちづくりがより求められるでしょう。

12. つくる責任つかう責任


持続可能な生産消費形態を確保することが目標です。
例えばSDGsでは、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減すると提言しています。

13. 気候変動に具体的な対策を


気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じるアクションをしなければなりません。
例えばSDGsのマニュフェストには「気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込む」とあります。
今後の日本はますます環境問題に注力しなければならなくなるでしょう。

14. 海の豊かさを守ろう


持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することが目標です。
海洋国家である日本としてはリーダーシップを発揮して先頭を走ったほうがいいでしょう。

15. 陸の豊かさも守ろう


陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復および生物多様性の損失を阻止することが目標です。
例えばSDGsでは、保護の対象となっている動植物種の密漁および違法な取引を撲滅するための緊急対策を講じ、違法な野生生物製品の需要・供給に対処することを目標にしています。

16. 平和と公正をすべての人に


持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルで効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築することが目標です。
例えばSDGsでは、あらゆる場所において、すべての形態の暴力および暴力に関連する死亡率を大幅に減少させるとしています。

17. パートナーシップで目標を達成しよう


持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。
最後となるこちらは、以上16の目標を総括するような目標になります。
国際協力なしには、2030年までにSDGsを達成することはできないのです。

髪の毛とSDGsの関係

まだ自分自身の髪の毛とSDGsには関係性を見出せないかもしれません。
でも美容室との関連やヘアケア商品との関連など、少しアングルを変えるだけで自分にもできることがあると納得いただけるかもしれません。

ヘアドネーション

例えばヘアドネーションという方法があります。
ヘアドネーションというのは、カットした自分の髪の毛を寄付する行為のこと。
その髪の毛が医療用のウィッグとして生まれ変わることで、やがては病気や事故などで髪の毛を失った子供たちにウィッグを無償で提供することが可能になるのです。
SDGsの17目標でいえば、ヘアドネーションは例えば「3. すべての人に健康と福祉を」につながるのではないでしょうか。
苦しんでいる子供たちがウィッグを装着することでいわゆる「ふつうの生活」を送ることができるようになるのであれば、私たちにできるすばらしい貢献だと思います。
ヘアドネーションの一部始終についてはこちらの記事をご覧ください。

実はハトにも影響が?

都会には足の指を失っているハトが多いといいます。
以前はその原因は感染症か化学汚染物質によるものと考えられていましたが、フランスはパリ、AFPの報道によると、人間の毛髪が原因である可能性が高いことが分かったのだそう。
しかも都会の中でも、美容院が密集している地域のハトほど足の指が少ない事例が増える傾向にあったといいます。
多くの飛散した髪の毛が要因なのか、まとまって廃棄された髪の毛が要因なのか詳しくは分かりませんが、いずれにしても人間の毛髪がハトの足の指に絡みつき切断に至ったという見方が濃厚のようです。
当然人間側にハトを苦しめようという悪意はないわけですが、もしこの報道が真実なら、自分たちの行動が店の外にいるハトにまで悪影響を与える可能性があるかもしれないということは知っておいたほうがいいかと思います。
例えば具体策として、髪の毛を店外に飛散させないよう工夫することなどもできるはずです。
SDGsの17目標でいえば、「15. 陸の豊かさも守ろう」にもつながりかねません。

自分にできることはたくさんある

例えば美容室のオーナーなら、SDGsに貢献できることはたくさんあります。
なぜなら従業員のジェンダー平等、ジェンダー比率等々を実現できるかどうかの裁量権はあなたにあるからです。
また従業員の働きがいと店舗の経済成長、この両立も工夫次第できっと可能でしょう。
SDGsは自分に身近なことから参加することができるのです。
あるいはあなたが美容業界の人間でなくても、SDGsに貢献できることはたくさんあります。
例えばシャンプーを選ぶという些細な瞬間でもいいでしょう。
詰め替え用を買うのか、また新たにボトルごと買い替えるのか。
この程度の消費行動ですら、積み重なれば、海や陸の汚染へとつながっているかもしれません。
また自分がその商品を買うということは、ある意味、そのメーカーへの投票行為といっても過言ではありません。
SDGsに取り組んでいる企業の商品を買って応援するのか、はたまた別の商品を買ってしまうのかは、実は私たちの小さな選択次第なのです。

おわりに

SDGsのスローガンに「誰一人取り残さない(leave no one behind)」という言葉があります。
その言葉は私には、「大多数が喜ぶような結果でも、たった一人でも悲しむようなら失敗だ」と言っているように聞こえます。
193の国が参加しているということは、数十億人の人々が当事者だということ。
2030年までに本当に誰一人取り残さず全員がこれら17の目標達成を享受できたら、まるで夢のように幸せだと思います。
身近にある髪の毛関係で少しでもSDGsに貢献できることをする。それが私たちの使命だとしたら、やるしかないですよね。