〈 約 13分5秒 で読めます 〉
悩ましい「薄毛」「抜け毛」。
自分なりに対処はしているけれども、なかなか症状の進行が止められないとお悩みではありませんか?
自分なりに対処はしているけれども、なかなか症状の進行が止められないとお悩みではありませんか?
あなたのその薄毛や抜け毛、セルフケアでの改善は難しいかもしれません。
この記事では、セルフケアでの改善が難しい薄毛の症状と、お悩みに対して改善が期待できる医学的な治療法「発毛治療」をご紹介しています。
薄毛・抜け毛にお悩みでセルフケアに限界を感じている方、必見です。
あなたに必要なのは「発毛」?それとも「育毛」?
健やかな髪の毛は生育する環境が整えられると、太く長くしっかりとした髪が豊かに生え、フサフサな状態になります。
反対に、髪の生育が何かしらの要因で阻害されるとしっかりとした毛が生えなくなり、毛根から抜け落ちてしまいます。
細い髪の毛が増え、結果として全体的に徐々に薄くなっていきます。
原因によって、必要な対処法は異なります。まずは「育毛」と「発毛」それぞれの違いについて知りましょう。
「育毛」
育毛は現在生えている髪の毛を「太く」「長く」成長させ、抜けにくいしっかりとした髪の毛に成長させることです。
毛穴の詰まりや食生活・ストレスなどにより毛穴が狭くなったり血流不足により髪の成長に必要な栄養素の運搬などが滞ったりすることで起きている薄毛や抜け毛に対するケアです。
髪の毛が細く生えてしまっている要因にアプローチして現状を改善させることを目的とします。
「発毛」
抜け落ちた毛穴から、髪の毛を生やし、再び「太く」「長く」成長させることを目的としています。
すでに毛髪が生えていない毛穴やこれから生えてくる毛穴に対して「治療」としてアプローチする方法です。
実際に薬機法上でも「育毛剤」は「医薬部外品」です。
抜け毛の予防目的として使われ、誰が使用してもOKとされています。
一方で「発毛剤」は発毛を促すための成分が含有され、症状の改善にアプローチする「医薬品」です。
医師より薄毛や抜け毛などの症状を確認されたうえで治療が必要と判断された場合に処方されます。
治療の対象となる脱毛・薄毛「薄毛」「脱毛」の症状
薄毛や脱毛の要因には、さまざまな原因が考えられますが、医学的な介入が必要なのは、
・円形脱毛症
・AGA
の2つです。
・円形脱毛症
・AGA
の2つです。
円形脱毛症に関しては、近年自己免疫により症状が生じているともいわれ、早期対処にてしっかりとした改善が見込まれるケースも多いです。
症状を確認したら早めに皮膚科受診を検討することをおすすめします。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
円形脱毛症の原因は?初期症状と皮膚科で行う治療法の種類
円形脱毛症の原因は?初期症状と皮膚科で行う治療法の種類
進行性の脱毛症として症状が確認できたら、できるだけ早期に治療を開始したいのが「AGA」です。
AGAは「男性型脱毛症」のことを指します。
男性ホルモンの影響を受けて髪の健やかな生育が阻害され、髪が細くなりしっかりした毛が生えないので早く抜け落ちます。
結果として頭髪全体が薄くなり、薄毛や抜け毛の症状が深刻に。
男性ホルモンの影響を受けて症状が進むので、早ければ10代から症状が現れることもあります。
AGAについてはこちらの記事も参考にしてください。
【監修あり】若くても薄毛が気になる!若年性脱毛症の予防法について
【監修あり】若くても薄毛が気になる!若年性脱毛症の予防法について
AGAは発毛治療でアプローチする!セルフケアでの改善が困難な理由
AGAの要因は髪の成長サイクルが乱れることで薄毛の症状が深刻化します。
その原因は男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」。
DHTが髪の毛を生やす毛乳頭の受容体と結びついてしまい、髪の生育が促されなくなるのです。
最近の研究で、DHTと結びつく受容体の数は遺伝に影響を受けることがわかっています。(2022年7月現在)
薄毛になりやすい傾向と適切な治療法の選択には遺伝子検査が有効
病院やクリニックなどの発毛外来や毛髪再生外来では、「遺伝子検査」をしているところもあります。
遺伝子検査とは「アンドロゲンレセプター遺伝子検査」で、男性ホルモンの影響を受けやすいかどうかを調べる検査です。
検査によりAGAの発症リスクだけではなく、さまざまな医学的介入方法の中からより適切な治療方針の選択をする際の参考になります。
基本的には自費診療になるので、検査代は実費になりますが、平均相場は10000円〜30000円といわれています。
発毛治療とは?医師の診察の元もと行われる医学的なアプローチ
発毛治療とは、薄毛や抜け毛に対して医学的な効果や効能が認められている対処法です。
それぞれの発毛治療について見ていきましょう。
それぞれの発毛治療について見ていきましょう。
発毛治療①ミノキシジルの外用治療
発毛治療の第一段階は、頭髪に直接塗布して使用する「外用薬」を使用した治療です。
基本的に発毛治療に使われる外用薬は「ミノキシジル」と呼ばれる成分を含有しています。
ミノキシジルは高血圧の治療薬を作る過程で発見された成分で、血流を促進し毛髪の成長を促します。
ミノキシジルは毛包に働きかけて以下のような作用を発揮するとされています。
①休止期の毛包を成長期に移行させ新しい毛の発毛を促す
②成長期の毛包に働きかけ、毛髪の成長を促進し毛包を大きく深く成長させ毛髪をしっかりと維持
①休止期の毛包を成長期に移行させ新しい毛の発毛を促す
②成長期の毛包に働きかけ、毛髪の成長を促進し毛包を大きく深く成長させ毛髪をしっかりと維持
代表的な治療薬に
「リアップ®」
という外用薬があります。
FDA(アメリカ食品医薬品局)などに認可された海外製品も含めると、ミノキシジル成分の含有量は製品によってさまざま。
代表的な含有量は「2%」「5%」ですが、
海外製のミノキシジル外用薬では「7%」「15%」の商品
もあります。
薄毛や抜け毛の症状や過去の治療の状況に応じて、ミノキシジルの濃度を選択し使いわけることを検討しましょう。
ミノキシジル外用薬は、使い続けることで効果が期待できます。
個人差はありますが、およそ4カ月は使い続けないと発毛を実感できないとされています。
根気強く使い続けることが大切ですね。
その他の代表的なミノキシジル製剤は
「ロゲイン®」
「ヴィラルティス®」
などがあります。
発毛治療②フィナステリド・デュタステリドの内服治療
多くの場合、外用薬治療と同時進行で内服治療が行われます。
ミノキシジルの有効成分で血流を促し、発毛促進にアプローチしたとしても、男性ホルモンの影響を受けている状態なら思うように発毛治療は進まないかもしれません。
そこで薄毛・抜け毛の要因になっている「男性ホルモン」の影響を軽減させるように働きかけるため、内服薬を併用する場合が多いです。
内服薬の有効成分として配合されているのは「フィナステリド」「デュタステリド」です。製品により含有成分に違いがあります。
双方の特徴について見てみましょう。
「フィナステリド」
前立腺肥大の治療薬として使用されていましたが、AGAの治療に効果があることも認められ認可された成分です。
前立腺肥大の治療薬として使用されていましたが、AGAの治療に効果があることも認められ認可された成分です。
フィナステリドはAGAの要因になるDHTの産生を抑えて成長期を長期化させます。
髪が細く抜けやすい状況を改善し、健やかな髪の生育につなげられるとされています。
代表的な治療薬は
「プロペシア®」
です。
「デュタステリド」
デュタステリドも当初は前立腺肥大の治療薬として使われてきました。 同じように男性ホルモンであるテストステロンをDHTに変換するのを阻害する働きがあることもわかり、発毛治療の内服薬として用いられるようになりました。
デュタステリドも当初は前立腺肥大の治療薬として使われてきました。 同じように男性ホルモンであるテストステロンをDHTに変換するのを阻害する働きがあることもわかり、発毛治療の内服薬として用いられるようになりました。
フィナステリドよりもデュタステリドの方が高い発毛効果を期待できるとされていて、近年注目を浴びている成分です。
代表的な治療薬は
「ザガーロ®」
です。
発毛治療③毛髪再生治療
近年「幹細胞」や「成長因子」という言葉を聞く機会が多くなりました。
日本ではこれらの技術を応用した再生医療に力を入れていて、薄毛治療の分野でも積極的に取り入れられています。
毛髪再生治療とはその名の通り「薄毛や抜け毛の要因となっている毛母細胞の働きにアプローチ」して発毛を促進したり成長を促すための治療です。
毛髪再生治療など一口にいっても、さまざまな成分を注入する方法が確立しています。
発毛治療によく用いられる再生治療を紹介します。
「幹細胞培養上澄み液」
幹細胞培養上澄み液とはその名のとおり、幹細胞を培養するときに抽出された上澄み液を毛髪治療の薬剤として使用し頭皮に注入する毛髪再生治療です。 複数の成長因子の他に、さまざまな発毛に関する指令を飛ばす役割を持つ遺伝子「RNA」などが含まれています。
幹細胞培養上澄み液とはその名のとおり、幹細胞を培養するときに抽出された上澄み液を毛髪治療の薬剤として使用し頭皮に注入する毛髪再生治療です。 複数の成長因子の他に、さまざまな発毛に関する指令を飛ばす役割を持つ遺伝子「RNA」などが含まれています。
「幹細胞注入治療」
幹細胞とは体のさまざまな組織や臓器の大元となる細胞のことです。 毛髪のもとになる細胞を活性化したり、血管を申請したりといろいろな複製能力を持っています。 基本的にはご自身の細胞から幹細胞のみを抽出して注入する方法が取られています。
幹細胞とは体のさまざまな組織や臓器の大元となる細胞のことです。 毛髪のもとになる細胞を活性化したり、血管を申請したりといろいろな複製能力を持っています。 基本的にはご自身の細胞から幹細胞のみを抽出して注入する方法が取られています。
「成長因子注入療法」
発毛に効果的な成長因子を選択し、注入する毛髪再生治療です。 複数の種類がある成長因子のうち毛髪の成長に重要な「KGF」「HGF」「IGF」「bFGF」「VEGF」などの成分が含まれている薬液も多いのが特徴です。
発毛に効果的な成長因子を選択し、注入する毛髪再生治療です。 複数の種類がある成長因子のうち毛髪の成長に重要な「KGF」「HGF」「IGF」「bFGF」「VEGF」などの成分が含まれている薬液も多いのが特徴です。
クリニックによってさまざまな薬液を使用しているので、自分にあった薬剤や治療の選択をすることが大切です。
発毛治療④自毛移植(グラフト移植)
自毛移植とは、髪の毛の成長が見られる部分の皮膚を皮下組織ごと採取して気になる部分に植え替える治療法です。
日本皮膚科学会
の
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
では、自毛移植の推奨度は「B」になっていて、効果的な治療とされています。
自毛移植の術式には「FUE法」「FUSS法」の2パターンがあります。
どちらも毛髪とともに毛包ごと採取し移植片(グラフト)にして、気になる場所に植えこむ方法です。
「FUE法」
毛包を含んだ個所を1㎜程度の大きさで採取する方法。 患者さんの負担は少ないものの、手術の難易度が高く費用が高額
毛包を含んだ個所を1㎜程度の大きさで採取する方法。 患者さんの負担は少ないものの、手術の難易度が高く費用が高額
「FUSS法」
グラフトを帯状に広範囲に採取するので手技は容易。 そのため安価であるが患者さんの負担は高く、採取部位の傷跡が残る
グラフトを帯状に広範囲に採取するので手技は容易。 そのため安価であるが患者さんの負担は高く、採取部位の傷跡が残る
クリニックにより採用している術式が異なるので、自毛移植を検討する場合の参考にしてみてください。
まとめ
医学的な発毛治療も近年急速に進化してきています。
薄毛や抜け毛が気になる方は症状が進行すればするほど、発毛治療を受けてもなかなか思ったような効果が得られないかもしれません。
気になる場合は早めに相談して、発毛治療を受けるかどうかを検討しましょう。
セルフケアでは改善が難しいこともあります。
薄毛や抜け毛の進行具合をご自身で判断するより専門家に診てもらうとどのような状態なのか、またあなたに合った改善方法も提案してもらうこともできます。
ひとりで悩まずに、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。
同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。