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この記事では剛毛と軟毛の基本的な特徴からそれぞれのケア方法、髪質が異なる理由について詳しく解説しています。
また、軟毛化による薄毛進行を防ぐための生活習慣の見直しやホルモンの影響についても解説しています。
剛毛と軟毛の基本的な特徴
剛毛と軟毛は、髪の質に関する特徴の1つです。
一般的に剛毛は太くてハリやコシがしっかりしている硬い髪質です。一方で軟毛は細くて柔らかい髪質を指します。
剛毛か軟毛のどちらになるかは、髪の中に含まれるタンパク質、特にケラチンの量と質とキューティクルの厚さによって異なります。
また、遺伝的にどちらかによりやすい傾向が見られることもあります。
一般的には子供の頃は軟毛傾向であっても、成長とともにハリやコシが強くなることもあります。軟毛であっても、そのまま成長するわけではありません。
剛毛の特徴
剛毛は見た目の質感や手触りが比較的しっかりしています。
髪の毛1本1本が硬く、ハリ・コシが強いので、指などに巻き付けてもすぐに元の状態に戻ります。
頭髪全体として見ると髪の毛の量が多く、ボリューミーな印象を受けます。
剛毛はキューティクルに隙間がなくキューティクルの層が厚いのも特徴です。
パーマやカラー剤が浸透しにくく、アイロンによるくせ付けにもややテクニックや過熱が必要です。
軟毛の特徴
一方で軟毛は、髪の毛1本1本が細くしなやかで柔らかいのが特徴です。
人によりメラニン色素からの着色も柔らかで、髪の色合いが薄いこともあります。
コシがマイルドでたおやかなので、セットしやすい傾向です。
摩擦などをはじめとしたヘアダメージに弱い特徴もあります。
髪の毛の質が異なる理由
剛毛や軟毛になる理由はいくつかありますが、遺伝的な理由をはじめとして生活環境やホルモンの影響を受けることがあります。
髪の質の遺伝的な影響
剛毛や軟毛に限らず、髪質は遺伝的な要素に大きく左右されます。
親から子へと遺伝される遺伝子が、髪の太さや硬さを決定するのです。
このため、家族内で剛毛または軟毛などの毛質の傾向が見られることもあります。
剛毛や軟毛の性質は髪の毛だけではなく体毛や眉毛・まつ毛などにも影響が見られます。
生来の傾向はセルフケアでは改善するのがむずかしいでしょう。
ヘアダメージによるもの
遺伝的な要素でない場合、その要因はヘアダメージによるものが要因のひとつ。
髪がごわつき、しなやかさが失われてしまいます。
パーマやカラーなどの継続的なダメージや、紫外線や乾燥などにより表面のキューティクルにダメージが及ぶと髪内部の水分・油分のバランスが失われ、ゴワゴワと「剛毛化」してしまいます。
特に内部の「コルテックス」にまでダメージが及ぶとリペアをするのは難しいため、ハイダメージにならないよう注意が必要です。
頭皮環境によるもの
頭皮環境が悪く、毛穴詰まりなどを起こすことで太くしっかりとした毛が生えず、髪の毛が軟毛化してしまうことがあります。
また、栄養不足などにより髪の毛の健やかな成長が保たれず、髪が細く短くなってしまうのも「軟毛化」してしまう要因のひとつです。
ストレスやホルモンバランスによるもの
ストレスの蓄積や睡眠不足などによるホルモンバランスの変化で髪が軟毛化してしまうこともあります。
髪の生育に重要な役割を担っているのが女性ホルモンや成長ホルモン。
分泌が健やかでなければ、髪が太く長く生えずに軟毛化してしまうことにつながります。
剛毛と軟毛のケアの違い
剛毛と軟毛はそれぞれ毛質の特徴が異なります。ゆえにそれぞれの特徴に合わせたヘアケアが必要です。以下にその方法について紹介します。剛毛のケア
剛毛は広がりやすくごわつきやすいので、保湿ケアが重要です。
保湿できるシャンプーやトリートメントなどのヘアアイテムを使用し、うるおいを与えるケアを意識し、広がりをおさえまとまりをよくしましょう。
穏やかな洗浄力のシャンプー
強力な洗浄成分の入っていない穏やかな洗浄力のシャンプーを選びましょう。
洗浄力が穏やかで、かつ必要以上に皮脂を取り過ぎないシャンプーはアミノ酸系のシャンプーです。
市販のものから選びたいときには「ココイル〜」「ラウロイル〜」*と表示成分に載っている商品を選ぶとよいでしょう。
*ココイルグルタミン酸、ラウロイルメチルアラニン酸
保湿成分を含む製品の利用
保湿効果のあるヘアケア製品を活用し、うるおいを与えるケアを取り入れましょう。
保湿効果のある成分は「ヒアルロン酸」「グリセリン」「コラーゲン」「セラミド」「スクワラン」などです。
トリートメントやヘアマスク、アウトバスオイルなどに含まれています。
適度なブラッシング
剛毛はコシが強く、絡まるとほどくのが大変です。
普段からブラッシングをこまめにして絡みにくい土台を整えるのが大切です。
目の粗いコームやブラシを使用して、こまめに優しくブラッシングしましょう。
軟毛のケア
軟毛は、キューティクルが薄くダメージの受けやすい毛質です。
また、ハリやコシがないため、これらをサポートする製品を活用しましょう。
洗浄力が強くないシャンプー
軟毛はキューティクルが薄くデリケートです。
洗浄力が強いシャンプーを使用すると、シャンプーのたびにダメージが及びます。
洗浄力は弱めで刺激が少ない「アミノ酸系」「タウリン系」「ベタイン系」のシャンプーを選びましょう。
市販品では以下の成分名を意識して選ぶとよいでしょう。
・ココイルグルタミン酸、ラウロイルメチルアラニン酸
・ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa
・コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン
・ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa
・コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン
ハリやコシが出やすく軽い仕上がりになる製品を選ぶ
軟毛はハリやコシが少なく、ペタンと潰れてボリュームが出にくい髪質です。
ハリやコシを与えてくれる配合成分が含まれていて、髪の重みにつながらないノンシリコンのシャンプーもおすすめです。
また、ハリやコシにつながる成分は「加水分解ケラチン」「加水分解コンキオリン」「ゼイン」などの成分です。
これらの製品を使用する際は、毛先を中心として使用します。
根本近くにつけてしまうと髪の毛の重みにつながってしまい、よりボリュームが出にくくなってしまいます。
毛先につけるだけでも切れ毛や広がりを防ぎ、まとまりやすい髪に整えてくれます。
保湿ケア
軟毛は水分を保持しにくい傾向にあります。
保湿効果のあるシャンプーやコンディショナーを使用し、髪にうるおいを与えましょう。
また、軟毛はキューティクルの厚みが少ないのでダメージに弱く、キューティクルが剥がれやすく乾燥しやすいです。
保湿成分が配合されたシャンプーや製品を使って保湿ケアをしましょう。
保湿効果のある成分は「ヒアルロン酸」「グリセリン」「コラーゲン」「セラミド」「スクワラン」などです。
ヘアセットのポイント
剛毛と軟毛に合わせたヘアスタイリングのコツはそれぞれ異なります。
髪の質に応じたヘアスタイリングはそれぞれの悩みをカバーして理想的な見た目を生み出す重要な要素。
剛毛や軟毛、それぞれに合わせたアプローチが大切です。
剛毛の場合
重要なのは保湿。
適切なヘアオイルや保湿剤を使用してしっとり感をプラスし、広がりやボリュームが出ないように意識しましょう。
適切なヘアオイルや保湿剤を使用してしっとり感をプラスし、広がりやボリュームが出ないように意識しましょう。
また、ハードなヘアスプレーやジェルを使ってスタイルキープを維持するヘアセットも、剛毛を目立ちにくくするカバー法です。
ボリューム感をおさえるために、サロンではレイヤーカットや広がらないようにくせ付けする軽いパーマも適しています。
軟毛の場合
生え際から髪の毛がへたりやすいので、ボリュームを意識したヘアセットを。
ボリュームスプレーを活用し、トップにボリュームを持ってきて、高さと軽やかさを演出したスタイルを意識しましょう。
ヘアアイロンでカールやウェーブを取り入れて動きを出し、ボリューム感を演出するのもおすすめです。
薄毛と軟毛の相関性
元々剛毛であっても、何かしらの要因により徐々に軟毛になってきて、やがて薄毛につながってしまうこともあります。
元来剛毛だと、髪が太く長く成長できない状態が見られるようになれば、薄毛が進行しつつあると判断できるでしょう。
元々軟毛だと、薄毛進行の変化には気がつきにくいかもしれません。
全体的にパサパサしてきたり、スカスカしている状態だと薄毛になりつつあると考えられるかもしれません。
通常、髪の毛が太くしっかりと生えるためには「毛周期」と呼ばれるヘアサイクルがあります。
成長期 | 毛母細胞が細胞分裂し髪の毛を成長させる。2~6年かけて新しい毛を作る。毛母細胞の働きが正常であるとしっかりとした髪が成長する。 |
退行期 | 髪の毛の成長が徐々にとまる。毛母細胞では細胞分裂の活動が低下。退行期は2~3週間程度。 |
休止期 | 毛母細胞の分裂が完全にとまる。休止期間はおよそ3~4ヵ月。毛根が細く浅くなり、髪の毛は抜け落ちやすくなる。 |
毛周期のサイクルが短くなり、早く抜け落ちたり髪の成長がきちんとされなければ、短く細い毛が増えてしまいます。
軟毛だから薄毛になるのではなく、軟毛でもしっかりと生えて伸びていれば薄毛になることはありません。
元々の髪質から軟毛化しているのであれば薄毛の前兆のひとつではありますが、きちんとケアをしたり意識的に生活習慣を変えることで正常な毛周期を維持し、髪の毛の量をキープすることは可能です。
髪の軟毛化・薄毛につながる毛周期の乱れが起こる要因
薄毛の進行に伴って、髪の毛が次第に細く柔らかくなることがあります。
この現象は薄毛進行の一部とみなされ、髪質の変化が薄毛をより顕著に感じさせることがあります。
頭皮の血行不良や髪の栄養不足が薄毛の進行に影響を与える可能性があります。
ストレス
ストレスは髪質にも影響を与える可能性があります。リラックス法や趣味を楽しむことでストレスを軽減しましょう。
慢性的なストレスは交感神経が優位な状態が続いています。交感神経の作用のひとつに血管を収縮させる作用があります。
毛細血管が収縮していると髪の毛への栄養が運搬されず、髪の成長が滞ってしまうこともあるのです。
栄養バランスの乱れ
栄養バランスが乱れていると髪の成長に必要な成分が不足して、適切な髪の成長が維持できなくなることもあります。
髪の成長のためにはタンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂取することが重要です。
特に、髪に大切な栄養素は「タンパク質・ビタミンC・ビタミンB群・亜鉛」です。意識的に摂取することで健やかな髪の生育の一助になるでしょう。
生活習慣
髪の毛の健やかな成長には生活習慣も重要です。睡眠時間をしっかりとキープしていなかったり、運動不足なども髪の生育に影響を及ぼす一因です。
生活習慣が整っているとホルモンの分泌なども健やかになり、髪の生育に寄与します。
また、運動習慣があることで血行が促進され、髪の毛への栄養素の運搬や老廃物の排泄の一助につながります。
ホルモンの影響
近年特に薄毛への影響として考えられているのが、男性ホルモンによる薄毛の進行です。
薄毛や抜け毛の進行には男性ホルモンの一つであるテストステロンが影響していると考えられています。
家系的に薄毛の家系であれば遺伝による影響も考えられます。
まとめ
剛毛と軟毛は、髪質に関する特徴です。剛毛は太く、ハリやコシがあり、軟毛は細く柔らかい傾向があります。
これらの髪質の決定要因は主に遺伝的な要素や生活環境、ホルモンの影響によるものがあります。
剛毛と軟毛に合わせた適切なヘアケアが重要であり、それぞれに適したシャンプーやトリートメント、ヘアスタイリング製品などを上手に活用てみましょう。
また、髪質の変化が薄毛と関連している場合もあり、毛周期の乱れやストレス、栄養不足などが影響を与える可能性があります。
適切な生活習慣や栄養補給、ストレス管理が薄毛の予防に役立つと考えられます。
個々の髪質に応じたケアをしながら、お悩み解消の一助にしてください。
監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。
同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。