【医療監修あり】酸性ストレートについて徹底解説!デメリットと危険性は?

〈 約 12分39秒 で読めます 〉

ストレートヘアを手に入れたい方にとって縮毛矯正やストレートパーマは定番の選択肢ですが、最近では「酸性ストレート」が注目を集めています。(2024年11月現在)
酸性ストレートは従来のアルカリ性薬剤を使用したストレートヘア施術に比べ、髪への負担が少ないとされ話題です。 良い特徴の反面、デメリットや危険性はどうなのでしょうか?
この記事では酸性ストレートのデメリットや危険性についてフォーカスし、さらにどのような人が向いているのかについて徹底解説していきます。
安全で美しいストレートヘアを保つために知識を深め、自分に合う施術を選ぶことが大切です。

酸性ストレートのデメリット

酸性ストレートの売りは、髪に対する優しさが魅力と言えるでしょう。 ただ、いくつかあるデメリットも無視できません。
酸性ストレートのデメリットとメリットについて、以下に詳しく解説します。

①持続力や矯正力が劣る

酸性ストレートはアルカリ性薬剤を使用した従来の縮毛矯正に比べ、持続力が劣るという点が挙げられます。 酸性の薬剤は髪に負担が少ない反面、効果が短期間で弱くなってしまうことがあり、頻繁に施術を受ける必要が出てくる可能性があります。

②美容師の技術力で仕上がりが大きく変わる

施術を行う美容師のスキルや経験も重要です。酸性ストレートは髪に優しい反面、薬剤の使い方や塗布の仕方、アイロンの温度管理など、技術的にも難しいです。 そのため、勉強不足の美容師による施術では思わぬダメージや失敗、もしくは効果を感じられなかったということが起こる可能性もあります。

③時間と料金がかかる

酸性ストレートは薬剤の浸透に時間がかかるため、放置時間が長くなり施術を受けている方の拘束時間が長くなります。 また、薬剤そのものが高価格なため、時間と料金がかかってしまうのはデメリットでしょう。

酸性ストレートのメリット

①髪に優しくダメージを与えにくい

酸性ストレートの最大のメリットは、髪(キューティクル)に優しくダメージを与えにくいことです。 従来の縮毛矯正はアルカリ性の薬剤を使い、キューティクルを開き髪を膨潤させるため、薬剤を浸透させる作用が強く、髪に大きなダメージを与えることがありました。
しかし、酸性ストレートは薬剤のpHが髪の持つ自然なpHに近いため、キューティクルが大きく開くことなく施術ができ、ダメージを極力少なくすることができるのです。

②矯正力がマイルドで自然な仕上がり

酸性ストレートは不自然なほどまっすぐな矯正というのは、正直なところかかりにくいです。 逆にいうと同じストレートでも自然な仕上がりになりやすいという点も魅力でしょう。
アルカリ性の薬剤を使った縮毛矯正は、ピンと直線的なストレートを演出しやすいのですが、酸性ストレートでは柔らかいストレートヘアに仕上がるため、ナチュラルで滑らかな髪質を保つことができます。

③ダメージヘアでもストレートの施術ができる

一般的にアルカリ性薬剤を使用した矯正施術はダメージが強いため、髪のダメージ具合によっては施術を断られることもあります。 アルカリ性の薬剤は髪のキューティクルを強く開かせるため、さらに髪へのダメージを蓄積してしまうのですが、酸性ストレートの薬剤はキューティクルに負担をかけにくいです。
そのため、カラーリングしている髪などにも対応でき、ストレートの施術の幅が広がっています。

酸性ストレートと今までのアルカリ性薬剤との違い

酸性ストレートは、pH値が弱酸性に調整された薬剤を使用した縮毛矯正の一種です。 一般的に健康な髪のpHは通常4.5〜5.5の酸性の状態です。
商材の種類にもよりますが、酸性ストレートに使われる薬剤のPhは4.0付近と言われています。
通常の縮毛矯正やストレートパーマには一般的にアルカリ性の薬剤が使われます。 アルカリ性の薬剤(1剤)によりキューティクルを開き、髪内部の「シスチン結合」を切り離します。
その後、真っ直ぐにつなぎ直すことでクセを伸ばしていき、追加の薬剤(2剤)でシスチン結合を再結合させることにより髪にまっすぐなくせを付けます。
一方で酸性ストレートの薬剤(1剤)は酸性のため、髪のキューティクルを開くことなく薬液の成分を浸透させます。 そのため浸透には時間がかかりますが、その分穏やかな方法で髪をストレートにすることができます。
このとき、アルカリ性の薬剤の場合は追加の薬剤(2剤)で再結合することのできない、別の結合までたくさん切ってしまうのです。 また、アルカリ性の薬剤でストレートにする商材のpHは9.0前後のものが大半です。
これが、ダメージや髪がピンピンと不自然なほどなストレートがかかってしまう原因になります。

酸性ストレートの危険性

酸性ストレートのメリットはキューティクルへのダメージが少なく、髪が傷みにくいことですが完全にリスクがないわけではありません。 酸性ストレートをする前に知っておきたい危険性やリスクは大きく分けて2つあります。

①美容師の技術によってはビビリ毛になってしまうこともある

デメリットとしても挙げましたが、実は、酸性ストレートは美容師の技術が最も重要なのです。 一般的に縮毛矯正と呼ばれる施術は、1剤でシスチン結合をして2剤でシスチンを再結合する作用を持ちます。
これは、酸性でもアルカリ性でも変わりません。 つまり、1剤を使用した後に2剤を適切に使用して、1剤の効果をきちんと中和することが重要なのです。
酸性ストレートは髪のキューティクルを開かないため、髪のダメージにつながる1剤の浸透もしづらいですが、同様に反作用を持つ2剤も浸透しづらいのです。 この2剤の使用方法や時間を誤ってしまうと、1剤のシスチン結合を切り離す作用が継続し、最悪の場合ハイダメージ毛やビビリ毛になってしまうことがあります。
キューティクルへのダメージが少ない分、一見安全性が高い薬剤に感じますが、重要なのは施術をする美容師の技術力だということがわかるでしょう。 酸性ストレートの知識や技術力がない美容師では失敗してしまう可能性があり、ダメージを抑えたかったはずが逆にダメージ毛へとつながってしまう危険性があるのです。

②薬剤のアレルギーや肌荒れが起きることもある

酸性ストレートは安全と言われていますが、酸性ストレートでも薬剤を使用するため頭皮や髪に刺激を感じる人もいます。 特に敏感肌の方は施術中に頭皮が赤くなったり、かゆみを感じることがあるかもしれません。
また、酸性薬剤は髪に優しいとされますが化学反応を伴うため利用する方にとっては刺激となることもあるでしょう。
一般的に酸性ストレートの商材はpH4.0前後であるものが多いようです。 対して人の健康な皮膚はpHは4.5~6.0。
お肌のコンディションや体調によっては皮膚トラブルを引き起こす可能性も否定できません。

酸性ストレートに向いてる人

では酸性ストレートは、どのような人に向いているのでしょうか?
危険性を除外できれば髪にダメージを与えにくい魅力的な酸性ストレートですが、やはり向き・不向きはあります。
そして、「髪に優しい」とはいえ何もしないバージン毛と比較するとダメージは受けます。 酸性ストレートの施術を検討する場合には、以下の条件が該当するかどうかをチェックしてみてください。
・髪が細くてダメージを受けやすい
・不自然なストレートではなく自然な仕上がりを求める人
・比較的軽めのくせ毛
・カラーリングやパーマをしていてダメージの加算が心配な人
もしこれらの条件に当てはまらない場合、理想とするようなストレートヘアにはならないかもしれません。 中には従来の方法で縮毛矯正をした方が良い場合もあります。
以下のような条件の場合は、従来のアルカリ性の薬剤を用いた方法の方が理想の状態を目指せるかもしれません。
・強いくせ毛
・太くてしっかりとした髪質
・中国や韓国系のようなバリっとしたストレートヘアを求める人
・時間的な余裕が無い
・予算に限界がある
このような場合には、アルカリ性薬剤を用いたストレートの方が希望を叶えられる可能性があります。
アルカリ性の薬剤を使用すると髪が乾燥しやすくなるため、施術後のトリートメントケアが重要になります。 ケアを怠ると髪のダメージが進行し、最悪の場合は髪が切れやすくなったり、ボリュームが失われることもあります。
アルカリ性薬剤でストレートにした後は、施術後のヘアケアまでを視野に入れて検討しましょう。

酸性ストレートでも施術を断られる場合がある

前述で、アルカリ性の薬剤を使用したストレートパーマや縮毛矯正は、施術過程でキューティクルを開くため、ダメージが深刻化しやすく髪の状態によっては施術を断られる場合があるが、酸性ストレートだと髪に優しくダメージを与えにくいため施術できる可能性があると解説しました。
ですが、酸性ストレートでも髪の状態によっては施術を断られる場合もあります。
特に繰り返しヘアカラーやパーマを行っている髪の場合、髪の内部構造が脆くなり、毛髪が切れやすくなったり、毛髪のハリやコシがなくなるなどの影響が見られることがあります。
・ブリーチ毛
・細毛のエイジング毛
・過度なダメージ毛
・極度の細毛
などは、酸性ストレートでも断られてしまう場合があります。 施術前に一度美容師にチェックしてもらうと良いでしょう。
いくつかの美容室で対応可能かどうか確認してもらうのも良いですね。

まとめ

酸性ストレートは、髪に優しく自然な仕上がりが得られる点で近年注目されています。(2024年11月現在)
特に髪が細くてダメージを受けやすい方や、カラーリングをしている方にとってはダメージを与えにくい施術として人気が高まっています。 実際にアルカリ性薬剤に比べて髪や頭皮への負担が少ないため、健康な髪を保ちつつストレートヘアを楽しめることが魅力です。
しかしながら、酸性ストレートにもデメリットや危険性が全くないわけではありません。
まず、酸性薬剤の効果はアルカリ性に比べて持続力が劣るため頻繁な施術が必要になる場合があります。 施術時間が長くなることや美容師の技術次第で仕上がりが異なるリスクもあります。
酸性ストレートは安全性が高いものの、リスクも十分理解したうえで施術を検討しましょう。 また、酸性薬剤でもダメージは0ではありません。適切なヘアケアをしながら理想のストレートヘアを楽しみましょう。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。