酸性雨に降られると薄毛・抜け毛になるのは嘘?髪に雨を浴びたときの対処法

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酸性雨が人体に及ぼす影響は大きく、頭に直接浴びた場合は髪が抜け落ちてしまう。そんなうわさ話を聞いたことはありませんか?

今回は、酸性雨に降られると薄毛・抜け毛になると言われるのがなぜなのか、またもし髪に雨を浴びたときはどのように対処すれば良いのかなどについてご紹介します。

酸性雨とは

酸性雨とは、工場や車から出る排気ガス、石炭燃焼時のガスなどが過剰に大気中に混ざり、酸素や水、紫外線などと化学反応を起こすことで、基準数値より強い酸性を示す雨のことです。

雨は本来弱酸性で、水素イオン化濃度を示すph値でその濃度が示されます。ph値は0から14の間で表され、7が中性を示し8以上をアルカリ性、6以下を酸性と呼び、このph値が5.6以下のものを酸性雨と呼びます。

酸性雨は、河川や土壌そのものを酸性化させてそこに住む生態系を変化させたり、悪影響をおよぼしたりすることもあるため、重大な環境問題として取り上げられています。

気象庁の観測結果によると、現在も日本で降る雨は酸性を示しています。酸性雨は雨の降り始めが最も酸性濃度が高く、降り続くにつれて酸性が弱まります。ただし、日本の酸性雨は人体に大きな影響を与える程のものではないとも言われています。

酸性雨が髪におよぼす影響

頭皮酸性雨の影響 酸性雨は、しばしば薄毛や抜け毛を引き起こすと言われますが、実は酸性濃度が比較的低い酸性雨は、直接的に薄毛や抜け毛に与える影響が非常に小さいと考えられています。

なぜこのようなうわさが一般的に広まったか、それは「酸」の持つ特性にあると言えるでしょう。 確かに、強い酸は髪の成分となるタンパク質を溶かす作用があります。そのため、酸性雨はタンパク質でできている髪に悪い影響を与えるのではないかという印象を持たれているようです。

しかし、実は人間の肌はそのものが弱酸性なのです。そして、日本で降る雨も酸性濃度は低いため、肌や髪の毛への影響はほとんどありません。

このように、酸性雨がすぐに髪に問題をおよぼすということはありませんが、雨でぬれた髪をそのままにしておくと、頭皮に悪影響を与える恐れがあります。

雨にはホコリやチリなどの不純物が含まれているため、それらが毛穴に詰まることで頭皮環境を悪化させたり、湿気によって雑菌やカビなどが増殖する環境を作ったりしてしまうことがあります。また、雨でぬれた髪をそのままにしておくと、髪を傷めたり、頭皮の血流が悪くなったりしてしまうのです。

髪に雨を浴びたときの対処法

ドライヤーで髪を乾かす男性 髪が雨にぬれたときには、できるだけ早く髪の毛を乾かすことが大切です。髪はぬれているとキューティクルが開いたままの状態となり、髪の内側にある保湿成分が失われてしまいます。すると髪がぱさつき、少しの摩擦でも傷んでしまうのです。

また、雨にぬれた髪にはホコリなどの不純物が付いており、頭皮の皮脂と混ざり合うと皮脂が酸化して毛穴に詰まり、雑菌が繁殖しやすくなります。毛穴の詰まりは抜け毛などの原因になるため、できればキレイにシャンプーで洗い流し、その後完全に乾かすのがベストです。キレイに洗った髪は、必ずドライヤーで髪の根元まで乾かしましょう。

おわりに

日本に降る酸性雨は酸性の濃度が比較的低いため、髪を溶かしたり薄毛や抜け毛を起こしたりる可能性はほとんどありません。

しかし、雨にぬれた髪・地肌を放置すると、頭皮に悪影響を与えます。雨の日はできるだけ頭部をぬらさないように心掛け、ぬれてしまった場合はなるべくシャンプーをして髪を清潔にし、きちんとドライヤーで乾かして髪や頭皮の毛穴の詰まりや雑菌の繁殖を防ぎましょう。