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私たちの体や頭皮、毛根には菌やダニなどが存在しています。それらの菌は皮膚常在菌と呼ばれ、健康を考える上で切っても切れないものです。
今回は、皮膚常在菌とは頭皮や髪の毛にとって悪いものなのか、良いものなのか、またその種類や体に現れる症状なども合わせてご紹介します。
今回は、皮膚常在菌とは頭皮や髪の毛にとって悪いものなのか、良いものなのか、またその種類や体に現れる症状なども合わせてご紹介します。
常在菌の役割と種類
役割
常在菌は、「菌」と呼ばれていても必ずしも体に悪影響があるわけではなく、皮膚部分においても私たちが生きていく上で欠かせない役割を果たす存在です。常在菌には、次のような役割があります。・保湿
・紫外線からのダメージの軽減
・細胞劣化の原因である過酸化脂質の抑制
・外部からの菌の侵入を防ぐバリア機能の維持
種類
2009年の時点で確認されている皮膚常在菌は約200種類あり、その数は1平方cmあたり10万個以上と言われています。代表的なものは以下です。マラセチア真菌
異常に発生すると皮膚炎やフケの原因になりますが、皮膚が健康な状態であればとくに害はありません。表皮ブドウ球菌
皮脂を酸性の脂肪酸とグリセリンに分解して、皮膚を弱酸性の状態に保ちます。病原菌はアルカリ性の環境下で増殖するため、皮膚の健康を守るために重要な常在菌です。黄色ブドウ球菌
皮膚がアルカリ性になると活発になり、炎症や化膿、かゆみなどを引き起こします。アクネ菌
ニキビの原因として広く知られていますが、実は常在菌の一種で、普段は表皮ブドウ球菌と同じように皮膚を弱酸性に保つ働きをしています。しかし、栄養の偏りやストレスなどで皮脂が多く分泌されたときに異常発生し、炎症を引き起こす恐れがあります。皮膚常在菌は基本的に髪の味方
常在菌の中には、健康維持に役立つ善玉菌と健康に害を及ぼす悪玉菌があります。皮膚常在菌は、基本的に頭皮や髪を守り正常に機能させるために存在するため、良いものか悪いものかで言えば前者でしょう。ただし、皮膚常在菌はいつも良い働きをしているわけではありません。頭皮が不健康な状態になり、全体のバランスが崩れると悪玉菌が増殖してフケやかゆみ、炎症の原因となる恐れがあります。つまり、皮膚常在菌が髪に良いか悪いかは頭皮の状態によると言えるのです。
皮膚を健康な状態に保つために必要なこと
頭皮を含む人間の皮膚の表面は、皮脂膜と呼ばれる膜に覆われています。皮脂膜は、皮脂腺や汗腺から分泌される皮脂や汗によって善玉菌が形成している膜です。そのため、皮脂膜が正常に覆われていれば皮膚トラブルも少なく、善玉菌が活性化していると言えます。反対に言えば、皮脂膜が壊れた場合は悪玉菌が増殖し続け、フケやかゆみ、炎症へと繋がります。皮脂膜を守るためには以下の方法でケアして、頭皮と毛穴を健康に保ちましょう。
洗いすぎは避ける
頭皮の皮脂を取り除こうとして、髪を洗いすぎる方がいると思います。しかし、必要以上に皮脂を取り除くと、皮膚は油分が足りていないと判断し今度は過剰に皮脂を分泌してしまいます。シャンプーは1日1回、夜のみ行えば十分で、洗浄力の強すぎるシャンプーは避けましょう。食事・睡眠に気を付ける
脂っこい食べものや栄養の偏りを避け、野菜中心の食生活を送ることで皮脂の余分な分泌が抑えられ皮膚が健康な状態に保たれます。また、十分な時間(少なくとも6時間)睡眠を取りましょう。運動する習慣を身に付ける
汗を習慣的にかくことで体の新陳代謝が促されます。これによって皮膚の老廃物が効率的に外へ排出されるようになり、結果的に頭皮の毛穴詰まりを防ぐことに繋がります。おわりに
私たちの体には皮膚常在菌が数多く存在しており、中にはアクネ菌や黄色ブドウ球菌のような、状況によっては健康に害を及ぼすものまであります。しかし、普段から食事や睡眠、運動などに気を配って頭皮を正常な状態に保っていれば、私たちの体を守ってくれるものが常在菌です。頭皮の皮膚常在菌を味方にするためにも、正しい頭皮ケアを行いましょう。