【医療監修あり】頭皮のできものは取っても大丈夫?原因と症状別の対策

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ふと鏡を見たり、髪をかきあげたときに触れることで偶然発見することが多い頭皮のできもの。 また、頭のかゆみを感じたときに痛みを伴うできものに気付くこともあります。
意外と多くの人が経験しているお悩みで、症状が長く続くと不安になることも少なくありません。 頭皮のできものにはさまざまな種類や原因があり、それに応じた対処法が必要です。
この記事では、頭皮のできものの主な種類とその原因、そして適切な対策について詳しく解説します。

頭皮のできものの種類

頭皮にできる「できもの」にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる原因によって引き起こされます。
「できもの」と一言で言っても、おできやニキビのようにぷくっと膨らむものもあれば、頭皮の下に触れて感じるようなもの、蕁麻疹のようによく見るとぷつぷつとした物など、その形態はさまざまです。
以下では頭皮にできるできものについて代表的なものを解説します。

ニキビ(尋常性ざ瘡)

頭皮にできるニキビは顔にできるニキビと同様、毛穴に皮脂や汚れが詰まり炎症を起こすことで発生します。 特に頭皮は汗をかきやすく、皮脂の分泌も多いため毛穴が詰まりやすい部位です。
頭皮ニキビは脂漏性の肌質を持つ人や、ホルモンバランスが崩れている人が悩まされることもあります。
尋常性ざ瘡(にきび)は皮脂腺が活発に働く10代や20代によく見られますが、生活習慣やストレスなども関与し、成人でも頭皮ニキビに悩まされることがあります。
また、整髪料やヘアスプレーなどが頭皮に残ることで、毛穴が詰まってしまい、ニキビができやすくなることもあります。

毛包炎

毛包炎は毛穴に細菌が侵入し、毛根周囲で炎症を引き起こす状態です。 最も一般的な原因菌は黄色ブドウ球菌ですが、表皮の常在菌も原因菌となることもあります。
症状としては、小さな発疹や膿疱(のうほう)が毛穴に形成され、かゆみや痛みを伴うこともあります。
毛包炎は、頭皮に限らず毛穴があるところならどこでも発生します。 頭皮は環境によって蒸れやすかったりするので、細菌が繁殖しやすい状態のこともあります。
軽度の毛包炎であれば自然治癒することもありますが、膿がたまったり炎症が広がった場合は、抗生物質などを使用した治療が必要になるケースもあります。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで起こる炎症です。 主な症状は赤み、フケの増加などで、かゆみを感じることもあります。
考えられる原因として「マラセチア」という菌が発症に関わっており、皮膚の炎症を引き起こすと言われています。
特に成人の場合、脂性肌の人やホルモンバランスの影響を受け、症状が生じることもあります。 この症状は乾燥している頭皮などでも起こり、皮脂のバランスが崩れた状態で炎症が進行します。
子どもの場合は適切なスキンケアで改善することがほとんどですが、成人の場合には脂漏性皮膚炎は慢性化しやすいため、病院を受診して適切なケアを受けましょう。

粉瘤

粉瘤(アテローム)は、皮膚の下にできる袋状のできものです。
皮膚の下にできた袋状の空間に皮脂や角質が溜まることで形成されます。 毛穴や傷ができた後に生じるので、頭皮にできることもあります。
無症状であれば触れるとなんとなく硬さがある程度です。
炎症を起こしていない場合、粉瘤は基本的に無害で痛みもありません。 痛みや違和感を感じることがある場合、細菌感染などを起こしているケースもあります。
炎症が強く痛みがある、症状が繰り返す、形容的に気になる…などの場合は外科的に除去することもあります。

頭にできものができる原因

頭皮のできものは、以下の原因によって発生することが多いです。 これらの要因を理解することで、適切な予防策を講じることができます。

乾燥

頭皮が乾燥することで皮膚のバリア機能が低下します。 また、乾燥によりかゆみが生じることで掻きむしってしまうことも増えてきます。
乾燥が酷くなる期間が長くなればなるほど、表皮のバリア機能が低下し、炎症やできものができやすくなります。
頭皮の乾燥は体質的なものも少なからずありますが、過度なシャンプーにより必要な皮脂まで取り除かれてしまうことで乾燥が起こりやすくなります。 また、頭皮に合わないシャンプーやヘアケア製剤を使用することで頭皮の皮膚が荒れ、乾燥しやすくなります。

刺激

強いブラッシングや、ヘアスタイリング製品に含まれる化学物質による刺激が頭皮にダメージを与えると、炎症やできものを引き起こす原因となります。
ヘアケアやスタイリングを行う際は頭皮に負担をかけないよう心がけましょう。 また、市販されているヘアケア製品の中には自分の体質に合わないものもあり、それが刺激となっているケースもあります。
ヘアケア製品を使うことでできものをはじめとした違和感を覚えるようなら、使用をやめてみましょう。 一定期間使わずに症状が改善すれば、合わない製品だったということもわかります。
可能であれば、使用前にパッチテストなどを行いましょう。

不衛生な頭皮環境

不衛生な頭皮環境は毛穴の詰まりを起こし、炎症や肌荒れにつながってしまいます。 頭皮を清潔に保つことができないと細菌や真菌が繁殖しやすくなり、感染症の原因にもなります。
また、毎日シャンプーをしていてもシャンプーのすすぎ残しや、髪が濡れたままの状態で長時間放置すると細菌の繁殖を招き、できものが発生するリスクを高めます。

白髪や薄毛の予防対策

では、頭皮のできものを予防したり、今ある症状の改善を期待するにはどのような対策が有効なのでしょうか?
セルフケアでできる対策について紹介します。

ヘアケアの見直し

現在使用しているヘアケア製品はご自身の肌に合っているものでしょうか? 特に敏感肌の方は刺激の少ない成分の製品を選び、頭皮に負担をかけないようにしましょう。
最近ではヘアケア剤も低刺激で無香料などの製品が増えてきています。 例えば、アルコールフリーの製品は頭皮に刺激を与えにくく乾燥を防ぎます。
乾燥によりトラブルが生じているようならば洗髪の頻度についても見直す必要があるでしょう。 過度な洗髪は頭皮のバリア機能を低下させます。
清潔に保つことが頭皮トラブルの予防につながります。 特にスタイリング剤を多用する人は、少ない回数のシャンプーでも効果的に汚れを落とせる製品を選ぶとよいでしょう。
また、整髪料やスタイリング剤が頭皮に残らないよう、しっかりと洗い流すことも大切です。
シャンプーの回数により頭皮に負担がかかっているようならば、スタイリング剤を見直しましょう。 少ない回数でのシャンプーでもしっかり洗い流せるようなスタイリング製品を検討しましょう。

シャンプーの選び方

毛穴が詰まることによって、できものや炎症が発生しやすくなります。
毛穴の詰まりを防ぐ効果のあるシャンプーを使用し、頭皮を清潔に保つことで、できものの発生を予防が期待できます。 特に炭酸シャンプーなどは毛穴に詰まった皮脂や汚れを効率的に取り除く一助となります。
また、脂性肌用のシャンプーによりオイルコントロールを図ることも有効です。

清潔を保つ

頭皮を清潔に保つことは、できものの予防に欠かせません。 毎日のシャンプーだけでなく、シャンプー後は必ず髪を乾かすことを心がけましょう。
濡れたままの髪や頭皮は細菌が繁殖しやすい環境を作り出します。

蒸れないようにする

帽子やヘルメットを長時間被っていると頭皮が蒸れやすくなります。 蒸れた環境は細菌が繁殖しやすく、頭皮にできものができる原因になります。
長時間被る場合は通気性の良いものを選びましょう。
例えば、通気性に優れた素材で作られた帽子、ヘルメットであれば内側に通気性が良くなるようなパッドを使うと良いでしょう。 また、定期的に外して蒸れを解消する習慣を身につけましょう。

生活習慣の見直し

バランスの取れた食事や十分な睡眠は、頭皮の健康を保つために重要です。 特にビタミンやミネラル、亜鉛などの不足は、頭皮の健康や毛髪の生成に重要な栄養素です。
これらの栄養素が不足すると頭皮の乾燥が生じやすくなったり、頭皮の健康状態に影響を及ぼす可能性もあります。
日頃から栄養バランスの良い食事を心がけ、ストレスを溜めない生活習慣を意識することが大切です。

受診の目安

セルフケアである程度の症状改善につながれば、そのままセルフケアを継続してみると良いでしょう。
しかし、頭皮のできものが長期間治らなかったり、症状が悪化している場合は皮膚科の受診を検討しましょう。 特に痛みやかゆみを伴う、膿が出ている、発熱、大きくなったなどの場合には早めに受診しましょう。

まとめ

頭皮のできものは、多くの原因によって引き起こされ、その対策も異なります。 基本的にはヘアケアや生活習慣の見直し、清潔な頭皮環境の維持が予防に効果的といえるでしょう。
特に、乾燥や不衛生な頭皮環境はニキビや毛包炎、脂漏性皮膚炎などを引き起こしやすいため適切なヘアケアを行うことが大切です。 また、頭皮のできものが長期化したり、痛みや腫れを伴う場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けることが推奨されます。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。