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多くの人が楽しんでいるヘアカラーには、アレルギー反応が起こることがあります。
一般的なヘアカラー製品には「ジアミン」と呼ばれる染料が広く使用されています。
一方で、ジアミンはアレルギーの原因となりやすいことでも知られています。
アレルギー反応が起こると、かゆみや発赤、腫れなどの軽度の症状からアナフィラキシーショックといった命にかかわる重篤な症状まで引き起こす可能性があります。
この記事では、別名ヘアカラーアレルギーとも呼ばれる染料ジアミンアレルギーについて、症状の種類や対策方法を詳しく解説します。
ヘアカラーアレルギーとは?
ヘアカラーアレルギー(ジアミンアレルギー)とは、ヘアカラー剤に含まれる化学物質に対して体の免疫系が過剰に反応し、アレルギー症状を引き起こす状態を指します。
特に、パラフェニレンジアミン(PPD)などの染料成分はアレルギーの原因となりやすく、アレルギー性接触皮膚炎につながることが多いです。
ヘアカラーアレルギーは初めて使用したときに発症することもありますが、何度も使用することでアレルギー感作(アレルギーが誘発されやすくなる状態)が進行し、急に症状が現れることもあります。
そのため、これまで問題なく使用できていたヘアカラー剤でも、突然アレルギー反応が出る可能性があるため注意が必要です。
ヘアカラーアレルギーの症状
ヘアカラーアレルギーの症状の現れ方には「即時型」と「遅発型」の2種類があります。
それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
即時型
即時型はヘアカラー剤の使用後すぐに現れるアレルギー反応で、アレルゲンに対してIgE抗体が関与しています。
このタイプのアレルギーは、ヘアカラー剤に含まれる化学物質が体内に侵入した際にアレルギー感作が起こり、再び同じ物質に触れた際に症状が出るというメカニズムです。
主な症状は以下の通りです。
●かゆみ:カラー剤が接触した直後から頭皮や顔、首などに強いかゆみが生じることがあります。
●発赤と腫れ:皮膚が赤くなり、腫れを伴うことがあります。特に耳の周りや額、首など、ヘアカラー剤が付着しやすい部位に現れます。
●じんましん:体全体にじんましんが広がることがあります。
●喘息やアナフィラキシー:重篤な場合、呼吸困難やアナフィラキシーショックなど、全身的な症状が現れることもあります。これらは命にかかわる緊急状態であり、速やかに医療機関を受診する必要があります。
●発赤と腫れ:皮膚が赤くなり、腫れを伴うことがあります。特に耳の周りや額、首など、ヘアカラー剤が付着しやすい部位に現れます。
●じんましん:体全体にじんましんが広がることがあります。
●喘息やアナフィラキシー:重篤な場合、呼吸困難やアナフィラキシーショックなど、全身的な症状が現れることもあります。これらは命にかかわる緊急状態であり、速やかに医療機関を受診する必要があります。
即時型アレルギーは非常に急速に症状が現れるため、ヘアカラー剤を使用した直後に異常を感じたらすぐに使用を中止し、患部を洗い流して医療機関を受診しましょう。
遅発型
遅発型は、ヘアカラー剤の使用後数時間~数日経って症状が現れるタイプのアレルギーで主にT細胞が関与しています。
ヘアカラー剤に含まれるパラフェニレンジアミン(PPD)やその他の化学物質に対して皮膚が過剰反応を示すことで起こります。
主な症状は以下の通りです。
●接触性皮膚炎:カラー剤が触れた部分に発赤、かゆみ、腫れが現れます。特に頭皮、額、耳の後ろ、首に症状が見られます。
●水疱やただれ:皮膚に水疱ができ、破れるとただれを伴うことがあります。これにより痛みやかゆみがさらに悪化します。
●皮膚の硬化と色素沈着:炎症が治まった後も皮膚が硬くなったり、色素沈着が残ることがあります。
●全身症状:まれに、頭痛、発熱、倦怠感など全身的な症状が現れることもあります。
●水疱やただれ:皮膚に水疱ができ、破れるとただれを伴うことがあります。これにより痛みやかゆみがさらに悪化します。
●皮膚の硬化と色素沈着:炎症が治まった後も皮膚が硬くなったり、色素沈着が残ることがあります。
●全身症状:まれに、頭痛、発熱、倦怠感など全身的な症状が現れることもあります。
遅発型アレルギーは、ヘアカラー剤を繰り返し使用することで発症することが多く、長期間にわたって症状が継続する可能性があります。
そのため、アレルギーが疑われる場合は使用を避けることが推奨されます。
アレルギー性皮膚炎の治療
ヘアカラーアレルギーによるアレルギー性皮膚炎の治療は、一般的に以下の方法で行われます。
①原因物質の除去
まず、アレルギーを引き起こしたヘアカラー剤の使用を直ちに中止します。 すぐにシャンプーで洗い流し、残留成分を取り除くことが重要です。
まず、アレルギーを引き起こしたヘアカラー剤の使用を直ちに中止します。 すぐにシャンプーで洗い流し、残留成分を取り除くことが重要です。
②ステロイド外用薬
炎症を抑えるために、ステロイド外用薬を使用します。軽度の場合は弱いステロイド剤、中等度以上の場合は中程度のステロイド剤が処方されます。
炎症を抑えるために、ステロイド外用薬を使用します。軽度の場合は弱いステロイド剤、中等度以上の場合は中程度のステロイド剤が処方されます。
③抗ヒスタミン薬
かゆみや炎症を抑えるために、抗ヒスタミン薬が内服薬として処方されることもあります。
かゆみや炎症を抑えるために、抗ヒスタミン薬が内服薬として処方されることもあります。
セルフケアとしては保湿ケアをしっかりと行うことも重要です。
皮膚が乾燥すると症状が悪化するため、保湿クリームを使用して皮膚のバリア機能を回復させるサポートを行いましょう。
皮膚科から保湿成分を含有した軟膏剤を処方される場合もあります。
万が一呼吸困難や意識障害などの重篤な症状が現れた場合は、直ちに専門医を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
場合によっては、点滴治療などの緊急対応が行われることもあります。
ヘアカラーアレルギーの症例
ヘアカラーアレルギーの症例は、ヘアカラーによる接触性皮膚炎などの症状の理解に役立ちます。
症例を参考にすると耳の後ろや首筋、額などに赤い発疹や腫れが見られることが多いです。
また、症状が進行した場合は顔全体がむくんだり、水疱が形成されたりすることもあります。
しかしアレルギーの症状は非常に個人差があり、すべての人に同じ症状が出るわけではありません。
アレルギー反応が疑われる場合は、症状が軽くても自己判断はせず、専門医への受診を検討しましょう。
ヘアカラーに使われる「ジアミン」とは?
ジアミン(Diammine)とは、化学的にはアミノ基(-NH2)を2つ持つ有機化合物です。
ヘアカラー製品で広く使用されている「パラフェニレンジアミン(PPD)」は、このジアミン化合物の一種であり、ヘアカラー剤における代表的な成分です。
ジアミンがヘアカラーとして使われる理由
ジアミン、特にパラフェニレンジアミン(PPD)は酸化染毛剤の成分として髪の毛の着色に非常に効果的で、他の染料と比べて優れた発色力と持続力を持っています。
その理由は以下の通りです。
①自毛の色からの変化を促す
ジアミンは髪の毛のメラニンと反応して、鮮やかな色を作り出す一助となります。 これにより、明るい色に染める際に優れた効果を発揮します。
ジアミンは髪の毛のメラニンと反応して、鮮やかな色を作り出す一助となります。 これにより、明るい色に染める際に優れた効果を発揮します。
②色持ちの良さ
ジアミンは染料分子が髪内部にしっかりと固定されるため、色落ちしにくく、長期間にわたって色が持続します。
ジアミンは染料分子が髪内部にしっかりと固定されるため、色落ちしにくく、長期間にわたって色が持続します。
③バリエーション豊かな色の定着をサポート
ジアミンは他の染料成分と混ぜ合わせることで幅広い色のバリエーションを作り出します。 また、均一な色の付着を保証するためにも配合されています。
ジアミンは他の染料成分と混ぜ合わせることで幅広い色のバリエーションを作り出します。 また、均一な色の付着を保証するためにも配合されています。
④コストパフォーマンスの向上
ジアミンを含有することでヘアカラー剤による着色が良くなるため、ヘアカラー剤の製造コストが比較的低く、安価で安定した供給が可能になります。
ジアミンを含有することでヘアカラー剤による着色が良くなるため、ヘアカラー剤の製造コストが比較的低く、安価で安定した供給が可能になります。
ヘアカラーアレルギーに対する対策
ヘアカラーアレルギーは、ジアミンなどの成分に対して体が過敏に反応し引き起こされます。
アレルギー反応を避け、ヘアカラーをトラブルなく楽しむために以下の対策を行うことが重要です。
パッチテストをする
パッチテストは、アレルギー反応を未然に防ぐための最も基本的な対策の一つです。
ヘアカラーを使用する前に製品を少量、腕や耳の裏などの皮膚に塗布し48時間以内にかゆみ、赤み、腫れなどの反応が出ないかを確認します。以下のポイントに注意して行いましょう。
①必ず48時間前に行う
ヘアカラー剤を実際に使用する少なくとも48時間前にパッチテストを実施しましょう。肌の反応を観察します。
48時間前に行う理由としては、即時型アレルギーだけでなく、遅発型アレルギーの判定もかねるためです。
ヘアカラー剤を実際に使用する少なくとも48時間前にパッチテストを実施しましょう。肌の反応を観察します。
48時間前に行う理由としては、即時型アレルギーだけでなく、遅発型アレルギーの判定もかねるためです。
②異常があれば使用中止
赤み、かゆみ、腫れ、または痛みが生じた場合は使用を中止し、ヘアカラー剤を洗い流します。
パッチテストは、アレルギーの有無を確実に判断するための方法ではありませんが、リスクを軽減するために欠かせないステップです。
赤み、かゆみ、腫れ、または痛みが生じた場合は使用を中止し、ヘアカラー剤を洗い流します。
パッチテストは、アレルギーの有無を確実に判断するための方法ではありませんが、リスクを軽減するために欠かせないステップです。
③二の腕の内側部分でパッチテストを行う
二の腕の内側はカラダの中でも比較的皮膚が薄く均一で、万が一アレルギー症状が出てしまっても洋服で隠れる場所のため、パッチテストを実施しやすい場所です。
二の腕の内側はカラダの中でも比較的皮膚が薄く均一で、万が一アレルギー症状が出てしまっても洋服で隠れる場所のため、パッチテストを実施しやすい場所です。
体調の悪い日には避ける
体調が悪い日や疲れが溜まっているとき、または免疫力が低下しているときは、ヘアカラーは避けるべきです。
体調不良時は通常では反応しない物質に対しても過敏に反応することがあり、アレルギー反応を引き起こしやすくなります。
●風邪やインフルエンザの症状があるとき。
●寝不足や強い疲労感があるとき。
●食生活が不規則で栄養状態が悪いとき。
●寝不足や強い疲労感があるとき。
●食生活が不規則で栄養状態が悪いとき。
このような状況では免疫系が不安定な状態になっている可能性も考えられるため、アレルギー反応を引き起こすリスクが高まります。
一度アレルギーが出たら髪の毛は染められない?
一度ヘアカラーアレルギーの反応が出た場合、今後も同じアレルゲンに対して過敏な状態が続く可能性が高くなります。
しかし、必ずしも「一生ヘアカラーを諦めなければならない」というわけではありません。
ヘアカラーでアレルギー反応が生じた場合、まずは皮膚科など専門医の診断を受けましょう。
どの成分に対してアレルギー反応が起こったのかを特定します。
アレルゲンが明らかになれば、その成分を避けることが可能です。
アレルゲンがわかれば、アレルゲンが使用されていないヘアカラー製品を選択することで今後もヘアカラーを楽しむことができます。
アレルギー反応がないヘアカラー剤はある?
実際にヘアカラー剤でアレルギー反応が出た場合、どのような髪の毛の染料を使用するとよいのでしょうか?
アレルギー反応を避けたい場合や、アレルギーをすでに経験している人でも使える代替染料があります。
ここでは、比較的アレルギーのリスクが低いとされる染料について紹介します。
ヘナ
ヘナ(Henna)はミソハギ科の植物から作られる天然染料で、古くからインドや中東地域で髪や肌の染色に使われてきました。
ヘナは天然由来の染料で合成化学物質を含まないため、ジアミンなどの化学染料に比べてアレルギーのリスクが低いとされています。
髪や頭皮に優しい:ヘナは、頭皮の健康を保つ効果があるとされています。
染色と同時に髪のコンディショニング効果も期待できるため、髪を傷めずに染めることができます。
染色と同時に髪のコンディショニング効果も期待できるため、髪を傷めずに染めることができます。
ヘナの主成分であるローソン(Lawsone)は、髪のケラチンと結びついて赤みを帯びた茶色に発色します。
ナチュラルで自然な仕上がりが特徴です。
特に白髪を柔らかいオレンジ色に染めることができますが、暗い髪色を明るくすることはできません。
ヘナは髪の内部に浸透し、色素が髪に残りやすいため長期間の使用が可能です。
また、髪のダメージを気にせずに定期的に染め直すことができます。
ただし、ヘナのカラーだからと言って、必ずしもアレルギーが起こらないとは限りません。
他の成分とブレンドされた製品もあるため、アレルギーリスクを完全に否定することはできません。
また、市販のヘナ製品には化学添加物が含まれていることもあるため、製品の成分表示を確認し、純粋なヘナを選ぶことが重要です。
いずれにしても初回仕様時はパッチテストをするとよいでしょう。
ヘアマニキュア
ヘアマニキュア(Hair Manicure)は髪の表面に色素を付着させるタイプの染料で、髪内部に浸透する酸化染料とは異なります。
ジアミンフリー:ヘアマニキュアには、一般的にパラフェニレンジアミン(PPD)などの酸化染料が含まれていません。したがって、ジアミンアレルギーのリスクを避けることができます。
ヘアマニキュアは髪の表面に色を付けコーティングするだけで、内部に浸透しないため、ダメージが少なく髪や頭皮への負担が軽減されます。
しかしヘアマニキュアは、髪の表面に付着するだけなのでシャンプーのたびに少しずつ色が落ち、約1~2か月で元の髪色に戻るのが一般的です。
しかし、ヘアマニキュアでもまれにアレルギーを引き起こす場合があるため、使用前にはパッチテストを行うことが重要です。
まとめ
ジアミンを含むヘアカラー剤は発色力や色持ちの良さから広く使用されていますが、その一方でアレルギーのリスクも伴います。
アレルギー反応は、軽度な皮膚炎から重篤な症状までさまざまで、予防のためには事前のパッチテストや、体調管理が欠かせません。
もしアレルギーが疑われる場合はすぐに使用を中止し、専門医に相談することが重要です。
また、万が一ヘアカラー剤によるアレルギーが生じた場合には、ヘナやヘアマニキュアといった代替染料も選択肢として検討できます。
自分に合った安全な方法で、ヘアカラーを楽しみましょう。
監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。
同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。