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薄毛や切れ毛などに悩むと、「早く髪が伸びてほしい」と考えることが少なからずあると思います。
一般的に、髪が早く伸びることは若くて健康的なサインとして捉えられることが多いようです。
一般的に、髪が早く伸びることは若くて健康的なサインとして捉えられることが多いようです。
髪を早く伸ばすためには、髪の成長を阻害する原因や背景を理解しましょう。
そうすることで「髪の伸び」につながる土台を整えられます。
この記事では髪の成長スピードに関する仕組みや、髪の成長を阻害する原因について解説します。
髪が伸びる一般的な早さは1カ月
個人差もありますが、髪が伸びる長さは一般的に1ヵ月に約1cm前後、長くても1.5cmと言われています。
髪の成長スピードはその人の体質や生活習慣、環境要因なども影響します。
また、年齢が若いほど髪の成長は順調で、高齢になると成長が遅くなる傾向にあります。
しかし年齢による成長スピードはあくまでも傾向であり、生活習慣や意識づけにより違いが生じる要因です。
しかし年齢による成長スピードはあくまでも傾向であり、生活習慣や意識づけにより違いが生じる要因です。
髪の成長スピードは部位によって異なる
髪の成長スピードは、頭の部位によって異なる可能性も示唆されています。
部位による違いに影響する原因として「頭部の血流による違い」が考えられています。
部位による違いに影響する原因として「頭部の血流による違い」が考えられています。
一般的に、後頭部や側頭部の髪の成長スピードは他の部位よりも早いとされています。
これは側頭部と頭頂部の頭皮直下が筋肉に覆われているためです。
筋肉の分布があることで血流における筋肉のポンプ作用が生じ、髪の成長に必要な栄養素の供給や髪の成長を阻害する老廃物の運搬が盛んなことが考えられます。
一方で額や頭頂部の髪の成長はやや遅い傾向にあります。
頭頂部には帽状腱膜が張り巡らされており、これが側頭筋や後頭筋、前頭筋を支えています。
頭頂部では帽状筋膜により筋肉のポンプ作用が生じないため、血行不良の状態になりやすくなるためと考えられます。
髪の成長スピードに影響を及ぼす原因
髪は状態の良し悪しによって早く伸びることもあれば、伸びが悪くなり抜け毛につながることもあります。
髪の成長スピードには以下のような原因が影響します。
血行
髪の成長は、頭皮の血行状態が深く関係しているといっても過言ではありません。
頭皮への血流が良好で豊富であると毛根に十分な栄養と酸素が供給され、健康な髪の成長が促進されます。
また、髪の成長を阻害する老廃物の運搬もスムーズで、頭皮環境の悪化も生じにくくなります。
一方で、血行不良が続くと髪の成長につながる必要な栄養が供給されないばかりか、ダメージの蓄積が深刻化しやすくなり、髪の成長が遅くなるばかりでなく、薄毛や抜け毛の原因となることもあります。
食生活
栄養バランスのとれた食生活は髪の健康を維持するために不可欠です。
特にタンパク質やビタミン、ミネラルは髪の成長に重要な栄養素です。
栄養不足や偏った食生活は、髪の成長に必要な栄養素が供給されず、毛が細くなったり抜けやすくなるリスクを高めます。
また、糖質や脂質が高い食事や喫煙・飲酒習慣は血液がドロドロになり、血流の悪化や毛細血管を収縮させます。
食習慣が悪いと栄養素を意識しても、結果として髪の成長につながりにくくなります。
睡眠によるホルモンバランス
睡眠は体全体のホルモンバランスを保つために非常に重要です。
睡眠不足や質の悪い睡眠によりホルモンバランスが乱れると髪の成長サイクルにも影響を与えます。
睡眠不足や質の悪い睡眠によりホルモンバランスが乱れると髪の成長サイクルにも影響を与えます。
特に成長ホルモンは、髪の成長につながる重要なホルモンです。
成長ホルモンの分泌が不足すると、髪の成長が遅くなる可能性があります。
上の図を見るとわかるように成長ホルモンが分泌されるのはノンレム睡眠時の深睡眠(ステージ3)です。
目安としては入眠後およそ60分前後。
つまり、「長く寝ること」よりも「深く寝ること」が重要です。
「疲れていてあまり眠れない」と感じる場合には、要因となるストレスコントロールも重要となるでしょう。
「疲れていてあまり眠れない」と感じる場合には、要因となるストレスコントロールも重要となるでしょう。
年齢
年齢は髪の成長スピードに影響を与える要因の一つです。
若い世代では細胞分裂が活発なため、髪の成長も早い傾向にあります。
若い世代では細胞分裂が活発なため、髪の成長も早い傾向にあります。
しかし、加齢とともに細胞の再生能力が低下すると髪の成長スピードは一般的に遅くなります。
また、年齢を重ねると髪質自体も変化し、毛が細くなることも珍しくありません。
毛根の構造と頭髪が生える仕組み
髪を健康的に伸ばすためには、髪の成長を支える基盤である毛根の構造や機能を理解することも大切です。
毛根の基本的な構造や、髪が伸びるメカニズムについて以下で詳しく解説します。
毛根の構造
毛根は髪の一番下に位置し、毛包と呼ばれる小さな袋状の組織に包まれています。
毛包は頭皮に深く埋め込まれた形をしており、髪が成長するための栄養を供給する役割もあります。
毛包は頭皮に深く埋め込まれた形をしており、髪が成長するための栄養を供給する役割もあります。
①毛球:毛根の最下部にある膨らんだ部分で、毛母細胞が密集しています。この部分では細胞分裂が活発に行われ、新しい髪が生成されています。
②毛乳頭:毛球の中心に位置し、毛母細胞に栄養を供給する血管が豊富です。毛乳頭は髪の成長に不可欠な栄養素を運び、髪の成長を促進します。
③外毛根鞘:毛包の外側を覆う部分で、毛包全体を支え、保護する役割を担っています。
②毛乳頭:毛球の中心に位置し、毛母細胞に栄養を供給する血管が豊富です。毛乳頭は髪の成長に不可欠な栄養素を運び、髪の成長を促進します。
③外毛根鞘:毛包の外側を覆う部分で、毛包全体を支え、保護する役割を担っています。
髪が伸びるメカニズム
髪の成長には「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれる髪が成長し始めてから抜け落ちるまでの周期があります。
ヘアサイクルは成長期、退行期、休止期の3つ段階で構成されており、このヘアサイクルが正常に繰り返されることで、健康な髪が保たれています。
成長期:成長期は、文字通り髪が一番伸びる期間です。
毛母細胞が活発に分裂し、平均3~5年(女性だと4~6年)続くのが一般的で、髪の85~90%が成長期にあると言われています。
毛母細胞が活発に分裂し、平均3~5年(女性だと4~6年)続くのが一般的で、髪の85~90%が成長期にあると言われています。
退行期:成長期の次に訪れる移行段階が退行期です。退行期は毛母細胞の分裂が停止し、毛乳頭との結合が徐々に緩くなります。
退行期は一般的に約2~3週間続き、この期間は毛乳頭の働きが低下することで髪の成長が弱まります。
退行期は一般的に約2~3週間続き、この期間は毛乳頭の働きが低下することで髪の成長が弱まります。
休止期:毛根が新たな髪を作り出す準備期間です。毛母細胞がほとんど消滅し、髪の成長が完全に停止します。
休止期は最終的に古い毛が脱落するため、髪が抜けやすくなります。1日に抜ける髪の本数は50~150本程度で、通常3~4ヵ月続いてから成長期に戻ります。
休止期は最終的に古い毛が脱落するため、髪が抜けやすくなります。1日に抜ける髪の本数は50~150本程度で、通常3~4ヵ月続いてから成長期に戻ります。
髪は正常なヘアサイクル(毛周期)により成長し、古い毛が抜け落ち、新たな髪が生えてくるという一定の成長ペースを保っています。
しかし、このヘアサイクルが乱れると髪の成長が遅くなったり、脱毛が進んでしまうことがあります。
ヘアサイクル(毛周期)を健康に保つためには、毛根に栄養を供給するために毛根周辺の血行を維持することが重要です。
髪を早く伸ばす方法は?
毛量がさみしいと感じたり、ヘアダメージが深刻な状態でお悩みの方は「髪が早く伸びてほしい」「少しでも髪を早く伸ばしたい」と考えるのではないでしょうか。
「髪が伸びるのが遅い」と感じている場合、ヘアサイクル(毛周期)の乱れにより成長期が短くなっていたり、休止期の延長により脱落する髪の毛が増えている場合であると想定できます。
髪を早く伸ばしたい場合、髪の健やかな成長を促すための方法を取り入れることが重要です。
頭髪の状態が改善されることで「伸びるのが早くなった」と感じることができるかもしれません。
髪の健康維持と健やかな髪の成長を促す
髪の健康を保ち、髪の成長を促すには食事、ヘアケア、ライフスタイルを含めた日常生活の見直しから始めましょう。
以下に、髪の健康維持から成長を促すための具体的な方法まで解説します。
栄養バランスのとれた食事
髪の成長に必要な栄養素を摂取することは、髪の伸びる早さを維持するために欠かせません。
髪の主成分であるケラチンの生成をサポートするタンパク質や、髪の健康を支えるビタミン、ミネラル(特にビタミンB群、亜鉛、鉄)が重要です。
髪の主成分であるケラチンの生成をサポートするタンパク質や、髪の健康を支えるビタミン、ミネラル(特にビタミンB群、亜鉛、鉄)が重要です。
これらの栄養素はバランスのとれた食事から摂取するのが理想的。
例えば、魚、卵、ナッツ、緑黄色野菜などを積極的に取り入れることで、髪の成長を促す栄養を供給できます。
日常生活でどうしてもバランス良く摂取できない場合は、サプリメントを活用するのも一つの方法です。
適切なヘアケア
髪の健康を維持するためには髪と頭皮のケアも不可欠です。
自分の肌質や生活習慣に合うヘアケア用品を選ぶことで、髪と頭皮を清潔に保ち、健やかな髪の生育につなげる土台を整えます。
また、髪と頭皮のダメージは外的要因も大きく関係しています。
過度なブラッシングやスタイリング剤の使用は髪を傷める原因となります。
正しく使用し、きちんと汚れを落とすことも重要です。
外出時には紫外線ダメージから髪を守るために、帽子を被る、UVケアスプレーなどで対策するのがおすすめです。
ストレス管理
ストレスはホルモンバランスを崩し、髪の成長を妨げる原因となることがあります。
過度なストレスは交感神経を優位にします。交感神経が優位になると毛細血管の収縮を促進します。
毛細血管が収縮し、血流が乏しくなると髪の成長が遅くなるばかりでなく、時として脱毛につながることもあります。
ストレスと髪の成長には密接な関係があると示唆されています。
ストレスを解消するためには適度に体を動かしてみたり、マッサージなどのリラクゼーションや、趣味の時間を持つなど、自分に合った方法を取り入れることが重要です。
ストレスを解消するためには適度に体を動かしてみたり、マッサージなどのリラクゼーションや、趣味の時間を持つなど、自分に合った方法を取り入れることが重要です。
ストレスを溜めないことでホルモンバランスが保たれ、結果として髪の健康を維持する助けにもなるでしょう。
医療に頼る
髪の成長を早くするために医療的なアプローチを検討することも有効です。
特に髪の成長が遅いと感じていたり、薄毛の進行が見られる場合、専門的な治療により速やかに解決するケースもあります。
特に髪の成長が遅いと感じていたり、薄毛の進行が見られる場合、専門的な治療により速やかに解決するケースもあります。
医療による介入は根本的な原因にアプローチし、髪の成長のサポートが期待できる方法の一つです。
専門医による診断
まず、髪の成長に問題があると感じた場合には、専門医の診断を受けることを検討しましょう。
必ずしも医学的な介入が必要ない場合もあります。
介入が必要だったとしても、自宅での内服や医療用育毛剤でセルフケアで対処できるケースもあります。
また、医師や専門家の診断により自分では判断できなかった原因を特定できることもあります。
診断結果には、ホルモンバランスの崩れ、栄養不足、ストレス、遺伝的要因など頭髪以外のさまざまな原因を見出すことができます。
適切な診断に基づいた治療が髪の成長を正常に戻す第一歩になるでしょう。
診断や料金の折り合いがつかないなど、少しでも内容に不安を感じる場合は、対策として複数の医療機関に相談してみましょう。
内服薬や外用薬の使用
近年、医療による育毛治療の一つとして内服薬や外用薬のセルフケアも盛んです。
例えば男性型脱毛症の治療に使用される「フィナステリド」や「ミノキシジル」は、髪の成長を促進する効果が確認されています。
これらの薬はホルモンバランスを整えたり、血流を改善することで髪の成長のサポートを期待します。
PRP療法
PRP療法(多血小板血漿療法)も、髪の成長を促進するための医療的手法の一つです。
患者自身の血液から採取した多血小板血漿を頭皮に注入することで、細胞再生を促し、髪の成長のサポートを期待します。
患者自身の血液から採取した多血小板血漿を頭皮に注入することで、細胞再生を促し、髪の成長のサポートを期待します。
まとめ
今回は髪の成長スピードに関する仕組みや原因を総合的に解説しました。
一般的に、髪は1ヵ月に約1~1.5cmほど伸びると言われています。
しかしながら実際の成長スピードには個々の体質や生活習慣、年齢などの要因が影響します。 また、頭の部位によっても伸び方は異なります。
しかしながら実際の成長スピードには個々の体質や生活習慣、年齢などの要因が影響します。 また、頭の部位によっても伸び方は異なります。
また、髪の成長スピードには血行の良し悪しが非常に重要です。
髪の健康と成長促進をサポートするためには、栄養バランスのとれた食生活、質の良い睡眠、ストレス管理など、これらの要因をバランス良く保つことを心がけましょう。
さらに効率的に髪の成長につなげたい場合は医療的なアプローチを検討することも有効です。
専門医による診断や、内服薬・外用薬、PRP療法など、医学的な手段を用いることで、より髪の成長のサポートが期待できるでしょう。
専門医による診断や、内服薬・外用薬、PRP療法など、医学的な手段を用いることで、より髪の成長のサポートが期待できるでしょう。
結果として髪の伸びる成長スピードを維持するためには、健康的な生活習慣を意識しながら、自分に合ったヘアケアで髪と頭皮を清潔に保ち、健やかな髪の成長をサポートする土台作りが必要です。
監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。
同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。