【医療監修あり】2024年度版 髪に歯磨き粉が付いた時のベスト解決法

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歯磨きをしようとした時に思わぬ事態が起こり髪の毛に歯磨き粉が付いた…
子どもが遊びながら歯磨きしていたら髪の毛に歯磨き粉がべったり…
慌てて洗い流してはみたものの、髪の毛はギシギシでひどく絡まってしまった…
何とか取り除いたものの髪がきしんで「このままでいいのか…」と悩むこともあるでしょう。
この記事では、髪の毛に歯磨き粉が付いた時のベストな解決方法を詳しく解説します。

歯磨き粉が髪の毛に付くとキシキシするという噂

髪の毛に歯磨き粉が付いてしまったことに気がついたらすぐに洗い流したり拭いたりなどして取り除くでしょう。 しかし、取り除いた後に髪がきしみ、絡まりがひどくなってしまうという声は少なくありません。
歯磨き粉には、どうやら髪をきしませる成分が含まれていることがわかっています。 歯磨き粉が髪の毛に付いた場合、その含まれている成分は髪の毛にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

歯磨き粉って何?

歯磨き粉は歯を清潔に保ち、お口の健康を維持するためのアイテムです。
歯磨き粉の主な役割は、歯垢(プラーク)の除去、虫歯予防、口臭の防止、歯の再石灰化の促進、ステイン(着色汚れ)の除去などです。 これらの効果を発揮するために、歯磨き粉にはさまざまな成分が含まれています。
現代の歯磨き粉はペーストタイプが主流ですが、ペースト状のもの以外にもパウダー状の物やジェル状のものなど、用途に合わせてさまざまな形態のものがあります。
歯磨き粉の形態によってはより髪の毛に絡み付いてしまい、ヘアダメージが深刻になってしまうこともあるでしょう。

歯磨き粉の基本的な材料

歯磨き粉に含まれている基本的な成分は以下です。 製品により多少の違いはありますが、多くの歯磨き粉に含まれている成分とその効能を解説します。
①研磨剤
研磨剤は歯の表面の汚れや歯垢(プラーク)、着色汚れ(ステイン)を除去します。
成分例:炭酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸(シリカ)
②発泡剤
歯磨き粉の泡立ちを良くし、口内の隅々まで行き渡らせ、お口の中の汚れを効率的に除去するための成分です。
成分例:ラウリル硫酸ナトリウム
③保湿剤・粘結剤
歯磨き粉の乾燥を防ぎ、適度な湿り気や粘度を保つために使用されます。歯磨き粉がなめらかになることで磨きやすくなります。
成分例:ソルビトール、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロスナトリウム、カラギーナン
④香味剤
歯磨き後の口内を爽やかに保ち、使用感を向上させるための成分です。
成分例:ペパーミントオイル、スペアミントオイル、サッカリン
⑤フッ素(フッ化物)
歯のエナメル質を強化し、酸に対する抵抗力を高め、虫歯予防に効果的な成分です。酸によって溶け出したミネラル(カルシウムやリン酸)を再びエナメル質に取り込むのを助けます。
成分例:フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム

歯磨き粉が髪の毛に付くと髪がきしむのはなぜ?

歯磨き粉が髪に付着すると、歯磨き粉に含まれている成分によりキューティクルに傷がついたり、髪のタンパク質であるケラチンに影響を与えたりすることが考えられます。 ケラチンとは髪の主要成分です。
ケラチンタンパクは髪の構造体のキューティクル・コルテックス・メデュラの構造体にも含まれています。
髪を保護するキューティクル(外層)にも含まれているので、髪の毛に歯磨き粉が付いた場合には何らかの影響を及ぼすことが考えられるでしょう。

研磨剤が髪の毛のキューティクルを傷つけてしまう

歯磨き粉に含まれている研磨剤は、物理的に髪の表面をこすることでキューティクルを傷つけてしまう可能性があります。 研磨剤は歯のプラークを除去することを目的として作られており、粘性の高いプラークを物理的にはがす役割があります。
そのため、歯磨き粉が髪に付着すると含まれている研磨剤によりキューティクルが傷つき、はがれてしまいます。 するとますます髪の内部のタンパク質が外部にさらされ、乾燥やダメージが進行します。

発泡剤の影響 により髪のタンパク質に悪影響を及ぼす

発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)は、界面活性成分としても知られており、油脂を取り除く性質があります。
髪の保護に必要な頭皮の油分も取り除かれ、乾燥やもろさが増すことになります。 髪の自然な保湿バランスが崩れ、髪の毛のタンパク質がダメージを受けやすくなります。
このように、歯磨き粉に含まれているいくつかの成分は、髪の表面を守っているキューティクルや構成成分であるケラチンタンパク質が傷付く要因となるようです。
そのため、歯磨き粉が髪に付いた際に「髪がきしむ」「髪が痛む」「髪が絡まりやすくなる」などの症状が生じます。

髪の毛に付着した歯磨き粉

歯磨き粉の付着に気が付いたら、速やかに取り除くことが重要です。 歯磨き粉には水分も含まれていて、ペースト状であるものが多いことから、すぐに乾燥することはありませんが、乾燥してしまうと取り除くのにも時間と手間がかかってしまいます。
手数が増えると、歯磨き粉を取り除く際に生じるヘアダメージも高くなる可能性があります。
髪に付着した歯磨き粉を、ヘアダメージを及ばさずに髪の毛から取り除くために役立つものには以下のような方法があります。

ぬるま湯での洗い流し

ぬるま湯を使って髪の毛を優しく洗い流すことが最初のステップです。
ぬるま湯は歯磨き粉を効果的に溶かし、髪の毛から取り除きやすくします。 熱すぎるお湯は髪の毛を傷める可能性があるため、適温で行うことが重要です。
歯磨き粉が乾燥してしまった場合には、特にしっかりと洗い流しましょう。 歯磨き粉を柔らかくなるまで浸してから優しく取り除くことで、研磨剤による物理的なヘアダメージから髪の毛を守ります。

シャンプーの使い方

次に、通常のシャンプーを使用して髪を洗います。 シャンプーは界面活性剤の効果により、歯磨き粉の成分が髪の毛をできるだけ傷めずに、残された細かな歯磨き粉を取り除くサポートをします。
しっかりと泡立てたシャンプーでパックするようなイメージで、泡で付着部分を覆い、少し時間をおいてから洗い流しましょう。 髪の毛の付着部分はゴシゴシこすらないようにしてください。

トリートメント・コンディショナーなどを使ってアフターケア

シャンプー後はしっかりとすすぎましょう。 ぬるま湯を使って髪を優しく洗い流し、歯磨き粉の残留物を完全に取り除くことが重要です。
この時も付着部分はこすらずに、摩擦によるダメージを避けるようにしましょう。
また、できればトリートメント・コンディショナーを使用して傷んだ部分のダメージ補修をしてください。 トリートメントは髪の内部を補修して、コンディショナーやリンスは髪の外部を補修します。
トリートメント→コンディショナー・リンスの順に使用して、歯磨き粉で負ったダメージの修復サポートをして仕上げましょう。

特殊なケースへの対処法

歯磨き粉が髪の毛に付着することは、通常の日常生活ではあまり起こり得ないことですが、場合によってはさらに特殊なケースが生じることもあります。
特に大量に歯磨き粉が付着した場合や、子どもの髪の毛に付いてしまった場合は、通常の対処方法だけでは十分でないことがあります。
こうした特殊なケースにおいても適切な方法で対応することで、髪や毛のダメージを最小限に抑えることができます。 以下に、具体的な対処法を紹介します。

歯磨き粉が多量に付いてしまった場合

大量の歯磨き粉が髪の毛に付着した場合、まずは乾いたタオルやティッシュペーパーなどを使って余分な歯磨き粉を取り除きます。 できるだけ髪の毛の負担が生じないよう、髪の毛に付着していない部分から多くの歯磨き粉を拭き取りましょう。
その後、ぬるま湯を使って丁寧に髪から洗い流し、シャンプーを使ってしっかりと洗います。
ここで重要なのは、強くこすらずに優しく洗うことです。 髪がきしむ原因となる成分を取り除くために、トリートメントやコンディショナーも併用すると良いでしょう。
大量の歯磨き粉が髪に付いた場合は、一度じゃ取り切れないこともあるでしょう。 その場合には複数回に分けてシャンプーを行うことをおすすめします。

子どもの髪に歯磨き粉が付いた場合

子どもの髪にはより慎重な対応が必要です。 なぜなら、子どもの髪の毛は細くて柔らかく、キューティクルの保護層も大人より薄いため、より歯磨き粉のダメージを受けやすいのです。
できれば歯磨き粉が付着した部分はあらかじめ予洗いでしっかりと洗い流し、極力摩擦ダメージを加えないようにしたいところ。
また、洗浄には刺激の少ないベビーシャンプーがおすすめです。 子どものデリケートな頭皮と髪を守りながら、歯磨き粉を優しく取り除くことが大切です。

まとめ

歯磨き粉が髪に付いてしまった場合、迅速かつ適切な対応が重要です。
できれば歯磨き粉が乾燥してしまう前に、気が付いた時点で速やかに対処しましょう。 まずはぬるま湯で優しく洗い流し、シャンプーとトリートメントで丁寧にケアすることが重要です。
特殊なケースでは、適切な対処法を丁寧に実践することで髪のダメージを最小限に抑えることができます。
歯磨き粉が髪に付いてお困りの方、付着後のきしみが気になる方はぜひ参考にしてみてください。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。