【監修あり】カルシウムで抜け毛対策?髪の育毛効果があるって本当?

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体や肌と同じように、髪の毛や頭皮にも必要な栄養素というものがあります。
よく知られているのが「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン」の3つ。 でも実は「カルシウム」も髪の毛に必要な栄養素の1つなのです。
骨を強くするイメージの強いカルシウムですが、髪の毛にも深く関わっています。
そこで、今回はカルシウムが頭皮や髪の毛にあたえる影響や、薄毛対策について詳しく解説していきます。

カルシウムと毛髪の関係性

カルシウムと髪の毛は関係がないと思われがちですが、実は深い関係があります。 カルシウムが足りている場合どのような効果が期待できるのかみていきましょう。

イライラの抑止力と抜け毛予防

カルシウムが足りていないと人は短気でイライラしがちになってしまいます。 イライラが溜まってしまうとストレスを感じてしまい、自律神経も乱れてしまいます。
人は交感神経と副交感神経が交互に作用してバランスを取っています。
しかし、ストレスを感じていると交感神経が優位となる時間が増え、血流が悪くなってしまいます。 これは、交感神経が血管を収縮させる作用があるからです。
血流が悪くなると頭皮にも栄養素が行き渡らなくなります。 結果的に頭皮環境が悪くなったり抜け毛の原因になったりと悪影響をあたえてしまうのです。

骨が強くなることで健康的な髪の毛につながる

カルシウムが適切に摂取できていれば、骨や歯などが健康的に作られていきます。
体に必要なカルシウムが足りていないと骨が弱まり骨粗鬆症などの原因にもなり、肩こりなども悪化しやすい傾向に。 日本人は頭が大きい割に骨や筋肉が華奢で、加齢により衰えが生じることで肩こりが出やすくなるといわれています。
肩こりが悪化すると血流が滞ってしまい、頭皮の血行不良を引き起こしてしまうのです。
頭皮の血行が悪くなると全体的に栄養素や酸素が行き渡らなくなってしまうため、健康的に髪の毛を生成することができなくなります。 細毛や抜け毛のような不健康な髪の毛が増えて髪質も低下していきます。
カルシウムは直接的に髪の毛に効くというよりは、間接的に美しい健康的な髪の毛や頭皮環境を支えている栄養素なのです。

「パントテン酸カルシウム」とは?

世界で初めて女性の抜け毛治療にも効果があると認証をされた治療薬が「パントテン酸カルシウム」です。 ドイツで開発されており、女性の頭皮に対して栄養をあたえて頭皮環境を整える働きをしてくれます。
中高年のびまん性脱毛症にも効果が期待でき、血流を促して毛包の働きを取り戻してくれ髪の毛の健康を保つことができます。
この治療薬は「パントテン酸カルシウム」「シスチン」「ケラチン」などの成分で構成されています。
薄毛というと男性のお悩みのイメージが強いかもしれませんが、年齢を重ねるごとに女性の薄毛のお悩みも増加しています。 女性の薄毛の原因はほとんどが加齢によるものか、びまん性脱毛症で全体的に髪の毛の量が少なくなり、頭皮が透けてしまったりする症状が出ます。
このようなケースの薄毛に対して特に有効なパントテン酸カルシウムには、下記の有効成分が配合されています。
ビタミンB1 糖の代謝をよくして細胞の血液循環を改善する働きがある
ケラチン 紫外線から保護し髪の毛や肌を保つ働きがある
L-シスチン 毛髪、肌、爪に多く存在しているアミノ酸の一つで、摂取すると体内から代謝をよくしてターンオーバーを促す作用がある
パラアミノ安息香酸 白髪を予防する効果のあるビタミンで肌と髪の毛を保つ働きがある
薬用酵母 ビタミン、タンパク質を多く含んだ成分で栄養として配合されている
これらの成分は髪の毛以外にも、爪の補強や割れにも有効です。

毛髪×ミネラルの関係性

ミネラルは5大栄養素の1つとされていて、体のあらゆる部分を形成したり働きを支えたりするとても大切な栄養素です。
ミネラルは100種類ほどあるとされており、その中でも人間の体に必要なミネラルは16種類。このミネラルのことを「必須ミネラル」と呼びます。
髪の毛は主に「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン」の栄養素から成り立っています。亜鉛もミネラルの1つ。ケラチンを作り出し髪の毛の成長を手助けする役割があります。
このミネラルが足りていないと抜け毛や薄毛の原因にもつながってしまいます。
また、ミネラルが不足していると白髪にもなる確率も上がってしまいます。 亜鉛、銅、カルシウム、ヨードなどのミネラルは健康的な黒い髪の毛を成長させていくうえでも大切な栄養素で白髪予防にも効果的です。

薄毛対策として意識して摂りたい食べ物

頭皮や髪の毛の状態と普段の食べ物は密接に関係しています。
摂取するものが偏っていたり、脂質や糖質ばかり口にしていると皮脂の過剰分泌が起こります。 頭皮の環境が乱れ薄毛につながってしまうことも。
薄毛などのトラブルをできるかぎり回避するための対策として、積極的に摂取したい食べ物を解説します。
・亜鉛…(レバー、牡蠣、かつお節、うなぎ)
ミネラルの1種の亜鉛は歯、骨、肝臓、筋肉などに2〜4g蓄えられています。 亜鉛は体内で作り出すことはできないため食事から摂取する必要があります。 骨や新しい細胞の生成などさまざまな状況で必要になるので、不足しがちな栄養素です。 そのため、意識的に取り入れることが大切です。
・カルシウム…干しエビ、ししゃも、うなぎ
カルシウムが不足してしまうとイライラしやすくなり、ストレスを受けやすくなってしまいます。頭皮の血流が悪くなり頭皮環境が乱れやすい要因にも。 神経細胞の働きを低下させてしまうので、薄毛や抜け毛の原因につながる可能性があります。
・マグネシウム…アーモンド、納豆、ココア、バナナ
血行促進の効果があり、髪の毛の生成に必要な栄養素を毛根で供給しやすくするといわれています。 健康的な髪の毛を維持していくために必要な栄養素の1つです。
・ビタミンC…キウイ、アセロラ、ブロッコリー
ビタミンCが不足すると新陳代謝や細胞の働きが低下してしまい、血管に悪影響が出てしまいます。 毛細血管などの流れも悪くなってしまうため、頭皮に栄養が行き渡りにくくなります。積極的に摂取すると頭皮の血流改善も期待できます。
・ビタミンA…にんじん、レバー、うなぎ、チーズ
皮脂腺や汗腺の萎縮を防ぐ作用があり、頭皮の乾燥を防いでくれます。 摂取のし過ぎも頭皮の栄養障害の原因となるため、適量を意識して摂取しましょう。
・イソフラボン…納豆、豆乳、豆腐
イソフラボンは女性ホルモンと似た働きがあるとされていて、薄毛の改善にも効果的であるとされています。 髪の毛にハリやツヤをあたえてくれたり、肌のターンオーバーにも作用するため美容にもつながる魅力的な栄養素です。
・銅…牡蠣、レバー、豆乳、アボカド
銅が不足してしまうと貧血や立ちくらみにもつながり血流にも悪影響です。 頭皮にも栄養素を送れなくなってしまい、薄毛や抜け毛の原因となってしまうことがあります。
・タンパク質…肉類、魚類、乳製品、大豆製品
髪の毛の99%はケラチンというタンパク質で作られています。 発毛や育毛にもタンパク質が必須で、タンパク質が不足してしまうと薄毛や抜け毛につながります。
・ヨウ素…わかめ、寒天、いわし、シャケ、パイナップル
血管の老化を防ぎ、血流を促進して頭皮環境を健やかな状態に導きます。
・シスチン…肉類、玉ねぎ、にんにく
髪の毛の硬さや太さに効果があるとされていて、不足すると細毛などにもつながりやすくなります。 ハリ・コシが欲しいときには、積極的に摂取してみましょう。
・グルタミン酸…チーズ、味噌、昆布
頭皮の潤いを保つ効果が期待でき、乾燥を防いでくれています。 不足して頭皮が乾燥してしまうとバリア機能が低下し、かゆみの原因にもつながります。
・アルギニン…マグロ、うなぎ、大豆、にんにく
さまざまなホルモンの司令塔的役割を担っており、髪の毛が生成していくために必要な成長ホルモンの生成と放出をコントロールしています。 血行促進の作用もあり、育毛にも効果が期待できます。
・マンガン…松の実、玄米、きな粉、干し柿
毛母細胞の働きを活性化させてくれて、丈夫な髪の毛に導いてくれます。
・セレン…ホタテ貝、たらこ、ししゃも、あじ、いわし
酸化ストレスに対処できる必須ミネラルの1つ。エイジングケア成分として注目されています。 過剰摂取してしまうと逆効果になってしまうため、摂取量には注意が必要です。

まとめ

カルシウムは体の健康に必要な栄養素で、欠乏してしまうと髪の毛や頭皮へも悪影響。
健康的で美しい髪の毛を保ち、抜け毛を予防し元気な髪の毛を維持するためにもバランスの良い食事を心がけましょう。
カルシウムは髪の毛の土台を支える大切な栄養素の1つ。 牛乳やヨーグルト、小魚など手軽にとれる食品を賢く活用しましょう。
健やかな頭皮環境を整え、健康的な毎日のために「カルシウム」の摂取を意識的にしていきましょう。


監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。 同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。