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世界にはさまざまな髪色の人種が存在します。
日本人では黒髪や焦げ茶色の人が大半を占めていますが、海外などではキレイなブロンドや赤毛など数え切れないほどの色味があります。
なぜ同じ人間なのに、こんなにも髪の毛の色が違うのでしょうか?
そこで今回は「なぜ人種によって髪色がさまざまで異なるのか」を深堀していき、髪の毛の色が決まる仕組みについても詳しく解説していきます。
人種により髪色に違いが起こるメカニズム
髪の毛の色が違ってくるメカニズムとは何なのでしょうか。
髪の毛は毛根の方にある髪の毛を生成するうえでとても大切な役割をになっている「毛母細胞」付近に、「メラノサイト」という細胞があります。
そこで作られるメラニン色素の量によって髪色が決められているのです。
このメラノサイトの活動が弱まるとメラニン色素が作られなくなってしまい、白髪になります。
人種による髪色の違いの鍵は、ここにあります。
あわせて人によって髪色が違う原因についてもみていきましょう。
遺伝の関係
肌の色と同じように髪の毛も遺伝により色味が決まっていることがほとんどです。
両親から50%ずつ遺伝子を受け継ぎます。
優性か劣勢化によってでやすさは異なりますが、たとえば黒髪は優性遺伝なので父親が黒髪で、母親が金髪の場合は父親の黒髪が子どもに受け継がれる可能性が高くなります。
つまり髪の毛の色は、両親などの遺伝の影響をそのままダイレクトに受けて反映されているのです。
進化による変化
メラニン色素の保有量が人種によって異なる原因はその国ごとに紫外線の量が違うからなのではないかといわれています。
日差しが強く日照時間も長い地域では、紫外線などから人体を守るためにメラニン色素が大量に生成されます。
肌の色や瞳の色、そして髪の毛の色は人類の進化の過程から生まれたのです。
その環境に対応して生き延びられるように人類が進化して順応してきた結果であるといえます。
地域による分布
進化の話でもあったように、アフリカのような紫外線の強い地域では皮膚や髪の毛などから紫外線を受けて、全身の「がん化」を抑えるためにメラニン色素が多く作られるようになります。
肌の色をみるとわかりやすいでしょう。
反対に日照時間の少ない欧米の方では肌の色も白く、メラニン色素も多くないことが見た目でもわかります。
瞳の色も薄い色だと太陽の光を通してしまうので紫外線が強い地域では黒や茶色の瞳の方が多い傾向に。
一方で紫外線が少ない地域では、ブルーやグリーンなど明るい色になっています。
このように日照時間や紫外線の強さで考えてみると色素の違いがよくわかるはずです。
同じ色でもメラニン色素の違いでコントラストが変わる
人類の髪色は「ユーメラニン」と「フェオメラニン」という、2つの化学物質の着色によって左右されます。
人間の体毛には白、黒、褐色、金など実にさまざまな色味が存在しています。
その体毛に「フェオメラニン」が多くなると黄色や赤みが強くなり、「ユーメラニン」が多くなると色が濃くなるのです。
人種によって成長とともに髪の毛の色が濃く変化していくこともあります。
日本人はユーメラニンの含量が多く黒髪が多い傾向ですが、同じ日本人でも少し茶色の髪色をしている方もいます。
この違いにつながる原因は、人種の違いだけではなく個人のメラニン色素の量が異なっているために引き起こされる現象だと考えられています。
また遺伝によって受け継いだ遺伝子の影響も加味されるので、さらに人によりコントラストが異なるという実情につながります。
人の髪の色の違い
次に髪色の違いについて種類別にみていきましょう。
ダークブロンド
ダークブロンドは茶色と金髪の間位の明るさの髪色です。
ヨーロッパや中東などの地域で多くみられます。
金髪のブロンドとはまた違って暗すぎず、落ち着いた金髪のようなイメージです。
プラチナブロンド
プラチナブロンドは白に限りなく近い金色の髪色です。
大人になると色素が濃くなってしまうため天然の場合は幼い頃にしかみることができない場合がほとんど。
そのためとても希少価値が高く、高額で売れるのだとか。
ストロベリーブロンド
ストロベリーブロンドは金髪の中に赤みが交じっている珍しい色味です。
メラニンの違いで人により色味が少しずつ変わるのもおもしろい特徴です。
ブリュネット
暗めの栗色のことをブリュネットといいます。
黒髪にも使われますが厳密にいうと黒ではなく栗色を指しています。
黒髪に次いで多い髪色でライトブラウン〜ミディアムダークヘアーの間になります。
主に地中海沿岸や中東でよくみられます。
濡烏
難しい漢字ですが「ぬれがらす」と呼ばれています。
黒髪でも青みを帯びたような黒々しい色のことを指します。
日本では昔から美しいツヤのある髪の毛のことを「烏の濡れ羽色」と呼んでいたのです。
日本人の女性の理想とされ大和撫子によく似合う髪色とされてきました。
黒髪はアメリカ先住民、アフリカ、南アジア、東アジア、中東、地中海沿岸、太平洋諸島などの国でよくみられる髪色です。
しかし濡烏は色だけではなくツヤのある髪質も重要なため、黒髪の人は多くても意外と当てはまることが少ない髪色でもあります。
アッシュブロンド
アッシュブロンドはプラチナブロンドに少し青みを足したような色味でグレーがかっています。
ブロンドヘアーの人種は髪の毛量がとても多く、約14万6000本とされています。
黒髪が約11万本、茶髪が約10万本、赤髪が約8万6000本といわれているので、比べてみると本数の多さがわかりますね。
レディッシュ
英語では「レッドヘアー」「レディッシュ」「ジンジャー」と呼ばれています。
天然の赤髪の人種は世界的に極端に少なく、世界人口の1%とされており2060年には絶滅してしまうのではないかとされているくらい希少です。(2022年11月現在)
スコットランドやアイルランドあたりで多くみられます。赤毛のアンなどが有名なように一部の国では赤髪を理由に差別があったり、赤髪が魔女だとされて大勢が拷問され殺害されてしまった歴史も実際にあります。
現代では個人の好みの問題で赤髪はイヤという場合もありますが、昔のような極端な差別や偏見も少なくなってきています。
アルビノによる白髪
アルビノは動物学的に先天的にメラニンを生成する遺伝情報が欠乏している遺伝子疾患です。
生まれつき髪の毛や肌や瞳の色と色素が極端に少なくなるこの現象のことを「白化現象」といいます。
2万人に1人という確率で発症するとされており、日本では難病にも指定されています。
人種も関係なくさらには、生物の種類も問わない遺伝子疾患のため、カバ、ライオン、サル、ヘビ、ネコなどあらゆる動物がアルビノとして生まれてくることがあります。
さまざまな世間からの差別に苦しみ、その珍しさからアルビノの人身売買なども行われていた地域もあり、歴史の闇も深いです。
人種により髪質の違いもある
人種によって髪の毛の色はさまざまでしたが、髪質についても人種によって特徴が異なります。
大まかに人種をわけると
・モンゴロイド(黄色人種)
・コーカソイド(白色人種)
・ニグロイド(黒色人種)
の3つ。
この3つの人種で、髪質の違いについてみていきましょう。
モンゴロイド(黄色人種)
日本人などのアジア人はモンゴロイド(黄色人種)に分類されます。
他の人種に比べて直毛の割合が多いのも特徴です。
髪質はコーカソイドやニグロイドに比べて硬くて太くしっかりとしています。
毛量は11万本ほどで少ないとされています。
髪の毛の断面が円形をしていることが多く、直毛かやわらかなウェーブやうねりのある髪質が多いです。髪の毛の断面が円形に近いほど髪の毛は直毛になります。
日本人でクセがある方の髪の断面は、楕円形によっている傾向です。
髪の毛の内部のコルテックスが多いつくりのため、髪の毛を乾かしたあとはウェーブがでやすくなる特徴があります。
コーカソイド(白色人種)
髪の毛の断面が楕円形になるタイプが多く、ウェーブしてうねりのある波状毛が多い人種です。
髪の毛1本1本も細く、0.06mm程度だともいわれています。
一方で毛量は多い傾向にあり、約14万本とされています。
髪内部のコルテックスの比率がモンゴロイド(黄色人種)とは違い、髪が水分で濡れているとクセが強くでるのも特徴です。
ニグロイド(黒色人種)
髪の毛の断面がコーカソイド(白色人種)よりもこまかい楕円形になっていて、縮れ毛のタイプが多い人種。
うねりやクセが強いのでボリュームがあるように見え、毛量も多く感じますが細さや毛量もコーカソイドとそれほど変わらないのです。
このうねりが強いのは強い紫外線から頭皮を守るためではないかとされており、縮れて頭皮を覆うことで太陽光からのダメージを遮っているとされています。
まとめ
髪色の人種による違い。
とても奥が深く、人類の進化の過程などさまざまな影響を受けながら今の髪色へとなっているのですね。
今ではヘアカラーで好きな色に染めることができるので、つい忘れてしまいがち。
しかし、親からつないできた遺伝や、人類の進化の歴史も忘れないよう、自分の地毛の色味も大切にしていくことも素敵ですね。
監修者:繁和泉
看護師、予防医学士として17年。その中で毛髪再生外来の診療に携わる。薄毛にともなう患者さんのお悩みに寄り添いながら、医学的なアプローチも含め「長い目で見た」毛髪のための日常生活やケアについての指導を個別性に合わせて提供。
同時に、情報化社会の中でWEBコンテンツで「正しい情報をわかりやすく」発信することに精を出す。