【髪の毛の不思議】髪の毛ってどのくらいの強度があるの?

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A.一人の人間に生えている髪の毛をまとめると、自動車10台ほどを引っ張れる強度があります。
昔のテレビ番組で、髪の毛をトラックにくくりつけて引っ張るという「超人技」を見たことがあります。
ほかの人より極端に頭皮が強いのか、髪の毛かトラックに何らかの細工をしてあるのか、あるいは特殊能力のある超人なのか……。
「超人技」を裏付ける根拠はわからなかったものの、幼少にその光景を見て、「世の中には、ふつうの人にはできっこないことをできてしまう人がいるんだな」と悟りました。
そこから数十年が経過し、大人になった私は当時の映像をこう回想します。
「ふつうの人でもできることを、最初にやってみようとチャレンジできる人が『超人』なんだろうな」、と。

1本の髪の毛は100g~150gの重さに耐えられる

実際、1本の髪の毛は100g~150gの重さに耐えられるという研究報告があります。
つまり一人あたり平均して10万本の髪の毛が生えている私たちは、10t~15tの重さに耐えられる髪の毛を備えていることになります。
10t~15tという重さをわかりやすく簡潔に他の物で置き換えると、だいたい自動車10台ほどという計算になります。
話を少し戻すと、髪の毛をトラックにくくりつけて引っ張るという「超人技」は、物理的には誰にでもできる簡単な技だということです。
とはいえ、かつて幼少時に「超人技」を見て興奮したのも事実。今でも彼は「超人」だと思っています。
では彼の何が「超人」なのかというと、先に申し上げた感慨のとおりです。
「ふつうの人でもできることを、最初にやってみようとチャレンジできる人が『超人』なんだろうな」と思います。
科学的に立証されている既成事実であろうと、実際にやってみるまで、真実とは言い切れません。
だからどんなにバカげたことであろうと、それを最初にチャレンジした人はやはり偉大で、「超人」と呼ばれるに値するほどすばらしいと思います。
言い換えれば、「行動力」や「演出力」、「表現力」とも言えるかもしれません。
実際に「超人」であるかどうかはあまり大事なことではなく、「超人」に見えるように尽力することこそが、人に感動を与えたり好印象を与えたりすることができるのだろうと思います。
薄毛でお悩みの方であれば、薄毛治療に巨額の投資をするよりも、増毛しているように見せることがまずは大事でしょう。
これは「行動力」や「演出力」、「表現力」がカギを握ります。

鋼鉄にも匹敵するほどの強度?

さて、髪の毛の強度に話を戻しましょう。
髪の毛の強度については今なお世界各地で研究が進められています。
もしかしたら私たちは、その研究成果によって開発された製品をいつの日か当たり前のように使っているかもしれません。
たとえば髪の毛の強度は、同じ重量で比較したときに、鋼鉄にも匹敵するほどの強度があると考えられています。
しかも引っ張ってから切れるまでに、もとの長さよりも1.5倍ほど伸びるという性質があります。
さらにもっといえば、引っ張る速度によって強度が変わるという性質があることも報告されていて、速く引っ張れば引っ張るほどその強度は高くなるようです。
まだまだ研究は途上ですが、以上のような髪の毛の性質を活かせばさまざまな分野で活用できるはずです。 救助用のロープはその一つでしょう。
あるいは、髪の毛の強度についての面白い研究報告もなされています。
それは「髪の毛が太いから強度が高いわけではない」という報告です。
どうしても私たちの感覚として「太い物ほど頑丈で強い」という価値観がありますが、髪の毛はその既成概念を打ち崩してくれるかもしれません。
実際に、大人の太くてしっかりとした髪の毛よりも、子供の細い髪の毛のほうが単位面積あたりで強い引っ張りに耐えられたそうです。
髪の毛の強度については今後も新しい研究報告が出てくることでしょう。
ちなみに、京都にある東本願寺は明治初期に再建工事がされましたが、そのときには女性信者たちが寄進した髪の毛と麻をよって作った毛綱が重宝したそうです。
その理由として、巨大な木材を運搬するためには通常の綱よりも強度のある綱が必要だったから、だそうですよ。