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産後は急に抜け毛が増えることがあります。なかなか症状が良くならないと、いつまで続くか不安になるでしょう。しかし一般的には、きちんと対策すれば出産前の状態に回復するので心配いりません。
今回は産後の抜け毛はどれくらいで回復するか、またどんな対策が症状の軽減に効果を発揮するかについてご紹介します。
今回は産後の抜け毛はどれくらいで回復するか、またどんな対策が症状の軽減に効果を発揮するかについてご紹介します。
産後は女性ホルモンにどのような影響を与える?
産後は女性ホルモンの分泌量が急激に低下するため、一般的に抜け毛が増えると考えられています。
女性ホルモンと髪の毛との関係

妊娠中に髪の毛を増やすエストロゲン

産後の女性ホルモンの変化と髪への影響

これらの変化が大きく影響し、髪の毛は抜けやすくなるわけです。
産後の抜け毛は基本的に一過性
このように産後の抜け毛はホルモンバランスの急激な変化が深く関わっているため、基本的に病気でなく一過性の現象と考えられています。朝のブラッシングやシャンプーのとき今まで以上に髪が抜けても、特に心配する必要はありません。ただし出産でかなり体力を消耗している上、授乳でも多くの栄養を赤ちゃんに分け与えるため、栄養不足になりやすい状況であり、毎日きちんと食事して十分に栄養補給することが望まれます。環境の変化や育児のストレスも産後の抜け毛につながるため、生活面でも対策しておくと良いでしょう。
シャンプーの量や泡立て方
最初からたくさんのシャンプーを使う必要はありません。濡らした手のひらに容器からひと押し分だけ出し、泡立てます。透明だったシャンプーが真っ白になれば十分です。その後、髪の長さや毛量に応じてシャンプーを追加していきましょう。産後の抜け毛はいつまで?
産後は女性ホルモンの急激な低下により髪のサイクルが乱れますが、抜け毛がいつまでも続くわけではありません。通常のパターンで生え変わるようになれば、症状も次第に改善されます。髪の毛のサイクル

成長期とは、頭皮から髪の毛が生えてくる時期です。1日あたり0.3~0.5mmほど伸びるといわれ、1年で約15cmに達します。通常はこの期間に4~6年くらい費やされますが、女性ホルモンが活性化する妊娠中は成長期が長くなります。
退行期は、髪が一定の長さまで伸びて成長が止まる時期です。この段階は、一般的に2~3週間くらい続きます。最後は、成長の止まった髪が頭皮から抜け落ちるまでの休止期です。この期間に、新しく伸びてきた髪がもともと生えていた髪を約3カ月かけて押し出します。
このようなヘアサイクルにより1日に50~100本程度が抜けますが、次々に新しい髪が生えてくるので髪の毛が少なくなる心配はいりません。
産後の髪の毛のサイクル

出産直後は、頭皮全体のヘアサイクルが休止期に移行するとも考えられています。通常と異なり、新しい髪が生えてきているかどうかは関係なく、たくさんの髪が一度に抜け落ちて薄毛になる可能性があります。
どれくらいで回復するか?
産後の抜け毛はいつまで待てば回復するか、その目安は一過性の症状であれば出産してから1年ほどです。髪が全体的にまとまって休止期に入ったヘアサイクルは、数カ月も経過すれば自然に成長期へ移ります。産後のホルモンバランスに体が慣れれば、成長期も本来の長さが確保されます。特に栄養不足やストレスが悪影響を及ぼさなければ、徐々に健康的な髪が生えそろうわけです。
抜け毛対策:食事

タンパク質
タンパク質は、髪の毛の9割以上を占める栄養素です。基本的にアミノ酸が結合した成分ですが、タンパク質ごとに内包されるアミノ酸のバランスは異なります。髪をつくるタンパク質は「ケラチン」と呼ばれ、主なアミノ酸は「シスチン」「グルタミン酸」「グリシン」の3種類です。抜け毛予防には、これらのアミノ酸を多く含んでいる食事が適しています。特にシスチンは髪への影響力が大きいといわれ、食材としては牛肉や赤身の魚がおすすめです。亜鉛
亜鉛は「元気の素」ともいわれ、髪を健康的に育てる働きを持っています。タンパク質の吸収率を高めるうえアミノ酸の結合を助ける機能もあるため、ケラチンの生成にも欠かせません。さらに抜け毛の原因となる酵素を抑制する効果もあり、抜け毛予防には必須の栄養分と考えられています。亜鉛を多く含んでいる食材は、牡蠣、レバー、うなぎ、ナッツ類などです。カルシウム
カルシウムは、脳の神経細胞を活性化する栄養分です。脳内で神経細胞の働きが良くなると髪の生成を助け、脱毛予防につながると考えられています。その意味では、カルシウムも抜け毛対策に貢献できるのです。カルシウムは、乳製品や小魚にたくさん含まれます。ビタミンとミネラル
ビタミンは、血行促進に効果を発揮します。血液の循環が良くなると髪にも多くの栄養が届けられるので、髪の成長には不可欠です。一方、ミネラルは髪に潤いを与える作用があります。髪のパサつきは避けられ、健全な育毛環境を保ちやすくなります。これらは魚(カツオ、マグロ)や納豆、また海藻類(ワカメ、昆布)やナッツ類に含まれます。ご紹介した栄養素はいずれも、髪にとっては重要なものばかりです。食事では1つの食材に偏らず、さまざまな種類の食材をバランスよく食べることをおすすめします。
ビ抜け毛対策:生活
出産による大きな環境の変化や育児を通じてのストレスも、髪に負担を与える場合があります。生活面では「ヘアケア」「ストレスケア」を心がけ、「生活リズム」にも配慮すると抜け毛対策に有効です。ヘアケア

おすすめのシャンプー剤は、地肌までケアできるタイプです。あまり力を入れすぎると頭皮にダメージを与えてしまうので、やさしくマッサージするように洗います。トリートメントも忘れずに使い、乾かすときはヘアオイルで栄養を与えると予防効果が高まるでしょう。
ストレスケア
ストレスは、抜け毛を引き起こす大きな原因の1つです。産後も例外ではありません。ストレスを放置せずケアを心がけると、抜け毛から回復するまでの時間を長引かせずに済むと考えられています。 育児中は赤ちゃんに何かあったらいけないため、目が離せないものですし、家事にも追われると、なかなかリラックスできないかもしれません。それでもちょっとした隙間に、温かいハーブティーなどを飲むなどリラックスできる時間をつくると心が休まるでしょう。 赤ちゃんを誰かに預けられる場合は、ヘアケアを兼ねてヘッドスパに足を運ぶという選択肢もあります。いずれにしてもストレスケアは抜け毛の悪化を避けやすくなるため、何か簡単にできるストレス発散の方法を見つけておくと良いでしょう。
生活リズム
睡眠時間は、ホルモンの分泌に大きく関わっています。髪を育てる成長ホルモンは、眠りが深いときに分泌量を増やすと考えられています。生活リズムを整えて十分に睡眠時間を確保しておくと、抜け毛対策にも有効といえるのです。とはいえ、赤ちゃんは深夜でも目を覚まします。出産前と同じく、夜間にまとめて寝ることは現実的に難しいでしょう。一度に睡眠できる時間は、短くなっても仕方ありません。その場合は、細切れに睡眠する方法がおすすめです。しばらくは赤ちゃんに合わせて自分も一緒に昼寝すると、睡眠不足を緩和できるでしょう。
夜泣きや深夜の授乳が減ってきたら、少しずつ規則正しい生活リズムに切り替えていってください。母子ともに早寝早起きを心がけ、それまでの睡眠不足を解消しましょう。
おわりに
産後は、妊娠中に増加した女性ホルモンが本来のレベルまで一気に減少します。この急激な変化に母体は対応しきれず、抜け毛が増えやすくなるのです。あくまで一過性の症状であり、一般的に1年ほど経過すれば元通りに回復します。栄養不足やストレスは抜け毛を悪化させる場合があるため、食事や普段の生活スタイルに配慮して少しでも早く健康的な髪を取り戻しましょう。