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壮年性脱毛症とは、主に40代・50代の男女に見られる脱毛の症状です。薄毛の進行タイプは男女で異なり、男性の場合も、脱毛パターンによって全部で6タイプに分かれます。今回は、壮年性脱毛症の原因と進行タイプ、および治療法についてご紹介します。
壮年性脱毛症の原因
壮年性脱毛症が起こる原因はいくつか考えられます。主に次の3つのタイプです。遺伝
統計データを見れば、遺伝と脱毛症には一定程度の相関関係が認められます。特に、母方の家系に薄毛の祖父や叔父(伯父)がいれば、父方より遺伝する確率が高いようです。とはいえ、必ずしも遺伝するとは限らないため、そこまで気にせず参考程度にとどめておいてください。男性ホルモンの異常
男性ホルモンの異常とは、男性ホルモンであるテストステロンが異常反応を起こして、ジヒドロテストステロン(DHT)に変異することを意味します。男性の頭皮には、5αリダクターゼと呼ばれる酵素があり、これがテストステロンとの結合によって、毛母細胞に悪影響をもたらすジヒドロテストステロンを生成するのです。いわゆる男性型脱毛症(AGA)はこのような男性ホルモンの異常によってもたらされます。乱れた生活習慣
身体の健康にさまざまな影響を及ぼす飲酒・喫煙なども、発毛を阻害する要因です。アルコールは肝臓によって分解されるため、過度の飲酒は肝臓の負担を増やし、結果的に血行障害などを引き起こします。タバコに含まれるニコチンも、血流を悪くする物質。お酒好きで、タバコを1日に何本も吸うという方ほど、これらのリスクに注意する必要があります。
壮年性脱毛症のタイプ
男性の場合
男性の壮年性脱毛症には、Ⅰ型~Ⅵ型まで全部で6タイプあります。
- I型:前頭部から薄毛が進行するタイプ
- Ⅱ型:頭頂部から薄毛が進行するタイプ
- Ⅲ型:前頭部からM字型に薄くなっていくタイプ
- Ⅳ型:前頭部からM字型に薄くなっていき、やがて頭頂部まで薄くなるタイプ
- Ⅴ型:額の真ん中から徐々に薄くなるタイプ
- Ⅵ型:頭頂部から円を描くように薄くなるタイプ
女性の場合
女性の壮年性脱毛症では、主に頭頂部を中心に症状が現れるケースが多く見られます。その上、男性のように広範囲で薄くなることはなく、地肌が透けて見える程度の薄毛でとどまることがほとんどです。症状の進行ペースも、比較的ゆっくりであることが確認されています。壮年性脱毛症の治療法
壮年性脱毛症の治療薬として代表的なものは、ミノキシジルとフィナステリドです。ミノキシジルには血管調整作用があり、毛母細胞への栄養素供給を助けてくれます。一方、フィナステリドは、AGAの主因子であるジヒドロテストステロンの生成を抑える効果があることから、育毛・発毛に効果を発揮する成分です。塩化カルプロニウムやt-フラバノン、アデノシンなど
上記のミノキシジルやフィナステリドの他、以下の成分にも育毛効果が確認されています。
- 塩化カルプロニウム:血管拡張作用や、毛包の活性化作用がある
- t-フラバノン:ヘアサイクルを乱すタンパク質「TGF-β」の産生を抑える
- アデノシン:発毛促進因子「PGF-7」を補う力がある
- サイトプリン:髪の毛の成長因子を生み出す
- ペンタデカン:髪の毛を生成するタンパク質「ケラチン」の合成促進作用がある